アイガー・サンクションの紹介:1975年アメリカ映画。スパイが一人殺され、組織はその報復を行うべくヘムロックを選ぶ。彼が選ばれた理由とは、有能であると同時に高名な登山家でもあったからだった。標的はアイガーの難所、北壁へ挑むパーティに潜んでいたのだ。生存困難な絶壁で、ヘムロックはスパイを探す。イーストウッド監督、主演のスパイサスペンス映画。
監督:クリント・イーストウッド 出演:クリント・イーストウッド(ジョナサン・ヘムロック)、ジョージ・ケネディ(ベン)、ヴォネッタ・マギー(ジェマイマ)、ジャック・キャシディ(マイルズ)、ハイディ・ブリュール(モンテーニュ夫人)、セイヤー・デヴィッド(ドラゴン)、ほか
映画「アイガー・サンクション」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アイガー・サンクション」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「アイガー・サンクション」解説
この解説記事には映画「アイガー・サンクション」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アイガー・サンクションのネタバレあらすじ:第1幕
スパイが一人殺され、彼が持っていたマイクロフィルムが盗まれました。大学で美術講義を行っているヘムロックを、ホープという男が訪ねます。彼はあるスパイ組織に所属しており、ヘムロックもまた同様でした。ホープが組織の長ドラゴンが呼んでいると言うと、ヘムロックは嫌がります。必死に食い下がるホープですが、念願のピサロの絵と高額の報酬を約束され、ヘムロックは呼び出しに応じます。ドラゴンは重病を患っていて薄暗い無菌室で隠遁生活をしていました。彼はヘムロックに、部下が一人殺されたのでその制裁を行えと依頼して来ます。ヘムロックが断ると、ドラゴンは、彼が違法に手に入れた絵画の事を国税庁に通報すると脅してきます。ヘムロックは仕方が無く引き受けます。その交換条件に、報酬金額を二倍に、そして絵の正当性を示す文書を国税庁に送るよう要求します。ドラゴンは了承し、用意しておいた倍額の小切手を手渡します。ヘムロックはチューリッヒに向かい、二人居る標的の内一人を襲います。手際よくその男のアジトに侵入し、その護衛も殺し、制裁を達成します。仕事を終え帰りの飛行機で、女性添乗員がヘムロックに声を掛けてきます。女性ジェマイマは、乗客名簿で彼を調べたと言って他愛無い会話をします。空港に着き、ヘムロックはタクシーを拾います。そこにジェマイマがやって来て相乗りを持ち掛けてきます。運転手は相乗りは困るといってきたので、ヘムロックは彼女を家に案内します。彼は自分の絵画コレクションを自慢し、成り行きで登山家でもあるという事も話します。二人はそのまま一夜を楽しみました。翌朝、ヘムロックはジェマイマが居ない事に気付きます。その時、電話が掛かって来ました。電話の主はジェマイマで、ドラゴンに会ってくれという頼みと、騙した事を謝ってきました。ヘムロックは金と証明書が消えている事に気付きます。
アイガー・サンクションのネタバレあらすじ:第2幕
ドラゴンは、もう一人への制裁を依頼してきます。当然のように断るヘムロックに、ドラゴンは殺された部下はアンリだと言います。アンリはヘムロックの命の恩人でした。ドラゴンがヘムロックに拘るのは理由ありました。制裁の相手が登山家だったのです。今度標的が、足は悪いが、アルプスのアイガー山北壁に挑むパーティに参加する予定を突き止めていました。ヘムロックは経費込みで更に高額な報酬を要求、退職金も含んでいるとこれで引退する事を宣言しました。ドラゴンは了承し、ヘムロックに因縁ある、マイルズという男もボーナスに付けると付け加えてきました。ヘムロックが家に帰ると、報酬の絵が下がっていました。それに、ジェマイマも待っていました。ジェマイマは騙した事を謝り、奪われたのは細菌兵器の情報だったと訴えます。しかしヘムロックは、制裁という殺しの危険性を説きます。そして、ドラゴンと組んでいる限り正しい側に回る事はないと忠告します。ジェマイマは、ヘムロックが飾っている写真に目を移します。その内、目に止まったのは、ヘムロックと一緒に死んだアンリともう、一人過去に裏切られた事にあるマイルズが写っている写真と、彼の登山の先生であるベンの写真でした。ヘムロックは登山のトレーニングにベンの居るアメリカに降り立ちます。彼は一線を退いて、件の北壁アタックの隊長を務めていました。ヘムロックは彼が経営する登山スクールとは名ばかりのリゾートホテルに逗留します。そしてトレーニングはジョージという若い女性が行う事になりました。ジョージのしごきに耐える数日を過ごすヘムロックですが、スクールにマイルズがやってきました。彼はアンリを殺していないと言い、殺した相手を知っていると、自分の身の安全を引き換えにした取引を持ち掛けてきます。ヘムロックは即答せず返事を保留しました。
アイガー・サンクションのネタバレあらすじ:第3幕
ヘムロックは、ベンから登山パーティのメンバーを聞きだします。足を痛めているフライダッグ、美人の妻を連れているモンテーニュ、盗みを働いたポーターを殺した事がある言う噂のあるマイヤー、3人とも一流の登山家です。ドラゴンの方では、誰が標的か、まだ調べが付いていませんでした。ヘムロックのトレーニングは終盤に近付き、ベンと一緒に絶壁を登り切ります。ベンしか登った事のない壁だと聞かされて居ましたが、実はベンもこれが初めてでした。ベンは、ほら吹きを信じるなと言って祝杯を上げます。夜、ジョージがヘムロックの部屋を訪れます。二人で夜を楽しんだ後、ジョージは何故かヘムロックに何かを注射します。彼は遠退く意識でフロントに電話して助けを求めました。気が付くと目の前にベンの顔がありました。彼はマイルズの仕業だと言います。翌朝ヘムロックは、マイルズに話し合いの席を持つ約束をします。その場は別れ、トレーニングの為と称し車を出すと、マイルズが用心棒を連れて尾行して来ました。そして車をぶつけ、襲い掛かってきます。走りながら銃の撃ち合いも行われます。それを制したのはヘムロックでした。彼は用心棒を殺し、マイルズを荒野の真ん中に置き去りに、因縁の決着を付けました。ヘムロックとベンはアルプスに入ります。どこか行き違いありホテル側にベンの部屋がないと揉めますが、ヘムロックの顔で事なきを得ました。ベンは他のパーティメンバーにヘムロックを紹介します。パーティの会議は誰がリーダーになるから始まりました。フライダッグが名乗り出て皆がそれを認めます。フライダッグは早速リーダーシップを発揮し考えていたルートを披露します。そのルートがそのまま採用されました。ヘムロックが北壁を見ているとジェマイマが声を掛けてきました。ヘムロックはジェマイマに前回嵌めた理由を聞きます。彼女はこの制裁の任務を欲していました。それにヘムロックは、行過ぎた愛国心は危険だと諭します。アイガーにはホープもやって来ていました。彼がドラゴンから持ってきた指示は、まだ二人目が判って居ないが山に登れというものでした。ヘムロックがホテルに戻ると、モンテーニュの妻が声を掛けてきます。彼はそれを素気無く扱いました。
アイガー・サンクションのネタバレあらすじ:第4幕
アイガーへパーティが登ります。ベンは、ヘムロックがメンバーの一人と何かあると察しているようで、生きて返って来いと言って来ます。北壁を見上げるジェマイマの横にホープが立ちます。彼は、アンリは元から囮で死ぬ予定だった言い、本当の目的は、今回の犯人を引き摺り出す事だったと言います。ジェマイマはホープを悪党と罵ります。登山は粛々と進み、リーダーのフライダッグが先頭でした。ヘムロックは、メンバーにそれとなく探りを入れつつ山を登ります。勝気なフライダッグ、妻が誘惑を仕掛けてくるモンテーニュ、点検と称し無造作にザイルのほつれた所を切るマイヤー、誰もが怪しく見えます。ベンはその様子をホテルから神経質になって望遠鏡で見ていました。マイヤーが落石を起こしモンテーニュの頭に当たり、滑落しそうになります。ハーケンが抜けて最終的にマイヤーが支えましたが、フライダッグは先に進んでいました。ヘムロックはそれを非難します。いよいよ北壁へアタックを開始します。フライダッグは意気揚々でした。北壁を登り出したパーティを望遠鏡を見ていたベンは、天候が変わり壁が凍り付くと読みますが、パーティは知る術も知らせる術もありません。モンテーニュの妻は中止させないと言いますが、ベンはもう戻れないと一人ごちます。パーティは凍り付いた北壁を登り続けます。落石で頭を打ったモンテーニュが休憩を求めビバークしますが、その最中彼は亡くなりました。平然とモンテーニュの死を受け入れるヘムロックに流石のフライダッグも怪訝な表情を浮かべます。ヘムロックはアタックを中止し、退路を示しました。パーティを見守るベンにジェマイマが声を掛けます。ベンは彼女に下山方向に進んでいる事と、モンテーニュの生死は不明だと説明します。ベンは登らせたくなかったと口にします。仕組まれた死で、無駄死にだとジェマイマは呟きます。ベンは救助隊を編成し、ヘムロック達が向かっている通風孔に向かいます。そのヘムロック達ですが、通風孔へ向かう途中ハーケンが抜け落ち、彼以外が滑落してしまいました。そのヘムロックも宙吊りになり、通風孔を目の前に絶体絶命の危機に陥ります。そこに足を引き摺っている男が姿を現しました。その男はベンでした。助けに来たベンにヘムロックは足の事を指摘します。それを無視してベンは彼を助けます。そして、最後の支えにしているザイルを切れと指示します。一瞬躊躇するヘムロックですが指示に従い、彼は助かりました。ベンは普段は大丈夫だが寒くなると痛む事を説明し、自分がアンリを殺した事を告白します。殺す予定は無かったともです。ホテルの戻るとドラゴンから電話が来て、他の登山家が死んだことで目的は達したと喜んでいました。ヘムロックはドラゴンにベンの事は話さず、標的に制裁した事にしました。ベンはそれに感謝し、また二人で登ろうと約束します。ジェマイマがやって来て、帰ろうと誘ってきます。そして彼女は、3人を殺していないわよねと冗談めかして聞いてきます。
3人の命を飲み込んだ山は、そこに壮大な姿で聳え立っていました。
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