ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男の紹介:2006年アメリカ映画。キャッチコピーは「伝説の大富豪“ハワード・ヒューズの偽りの伝記”を執筆した、ある作家の<真実の物語>」で、1970年代初頭、伝説の大富豪ハワード・ヒューズの偽りの自伝を執筆した作家クリフォード・アーヴィングによる実際に起きた詐欺事件の顛末を、自らがまとめた回顧録『ザ・ホークス 世界を騙した世紀の詐欺事件』を原作にした映画です。
主人公クリフォード・アーヴィングをリチャード・ギアが熱演、偽りが発覚しないように様々な手口を使って危機を切り抜けつつも、次第に追い詰められていく姿をスリリングに描いたヒューマン・コメディ映画です。
監督:ラッセ・ハルストレム 出演:リチャード・ギア(クリフォード・アーヴィング)、アルフレッド・モリナ(ディック・サスキンド)、マーシャ・ゲイ・ハーデン(エディス・アーヴィング)、ホープ・デイヴィス(アンドレア・テイト)、ジュリー・デルピー(ニーナ・ヴァン・パラント)、ほか
映画「ザ・ホークス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ザ・ホークス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男の予告編 動画
映画「ザ・ホークス」解説
この解説記事には映画「ザ・ホークス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:1.プロローグ:これは「現実に基づく物語」
1971年10月20日、ニューヨーク、「あの大富豪“ハワード・ヒューズ”がマグロウヒル出版にやって来る」と聞いたマグロウヒル出版の人々は、大忙しでした。また、ビルの4階は封鎖、そこに会議でいた人も追い出されていました。そのビルの屋上ではヘリで来るハワード・ヒューズのために、急遽、ヘリポートが作られていました。晴天の大空を見上げ、1人の男が待っていました。傍にいた女性は「とにかく指示通りにするのよ」とトランシーバーで部下に指示すると、「クリフ、もう2時37分よ。彼はいったいどこで何をしているの?」と焦りながら、その男に聞いてきました。「何か来るぞ」という声と共に、ニューヨークの摩天楼の上空、一機のヘリがこのビルに近付いてきました。「来たぞ!お出ましだ!」とその男は叫びました。次第に近付くヘリを見ながら、1人屋上に立つ男は「約束、延びたな」と呟きました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:2.売れない三流作家“クリフォード・アーヴィング”
その4か月前、あるパーティにその男は来ていました。そして、彼はマグロウヒル出版の編集者“アンドレア・テイト”に自身が著作した本の出版の件で交渉しました。アンドレアは「ライフ誌のブラット・シルバーが却下したの。彼いわく、フィリップロスの三流コピーだって。…もうこの話は終わり。また、他の作品を書いたら教えて」とその男に告げました。その男は落胆し、パーティから出ていこうとしたとき、男とカップルで来た1人の女性に目を奪われました。カメラのフラッシュを浴び、その男女はパーティに入っていきました。翌日、「美しき男爵夫人」という記事で、その女性は紹介されていました。その女性はニーナ・ヴァン・パラントというアーヴィングの愛人でした。飛行機の中でその記事を見て、大きくため息をついた男は、“クリフォード・アーヴィング”という売れない三流作家でした。「クリフ、もう忘れろよ」と、作家で友人の“ディック・サスキンド”は隣の席から彼を励ましました。アーヴィングは彼に今執筆中の子供用絵本の進捗状況を聞きました。ディックは「『リチャード一世』か? 順調だよ。年内には書き終わる。テーマがいいだろ。戦争と同性愛。子供は戦争が好きだからなあ。問題は同性愛だ。史実を尊重したいんだが…」と話しました。それを聞いたアーヴィングは、「お前なら、大丈夫だ。リサーチに関しちゃ、一流だからな」と励ましました。2人はハバナ諸島・ナッソーに行きました。ホテルのレストランでアーヴィングは、「コーネル大の学生だった頃、教授からはヘミングウェイに例えられてた。それなのに今じゃ、俺も中年だ」とディックに愚痴をこぼし、肩を落としました。ディックはそんな彼を励まし、そこの勘定を全部払おうとしました。しかし、アーヴィングはそれを拒み、レシートに自分の名をサインしました。そのレシートの下には「ヒューズ・インダストリー社所有」と書かれていました。そのホテルはあの伝説の大富豪ハワード・ヒューズのものでした。それにアーヴィングが気付いたのは、その夜の就寝時でした。ホテルの従業員に聞くと「トップの命令で、週末は閉鎖になったんです」としか言いませんでした。アーヴィングは「ハワード・ヒューズがプールを使いたいと言ったら、夜中に客をみんな追い出すのか」と従業員に文句を言い、「力って奴は…」と呟き、友人・ディックと共に仕方なくホテル側が用意した別のホテルに移りました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:3.アーヴィングの一世一代の大計画
そのホテルでアーヴィングはニューズウィーク誌の「ハワード・ヒューズの謎に満ちた半生」という記事を目にしました。ある日、その記事が掲載されていたニューズウィーク誌のハワードの顔の表紙を目にしたアーヴィングは、とんでもない事を思いつき、「ディック!」と大声で友人の名を呼びました。アーヴィングはディックに、自分のアイデアを説明しました。「誰も彼がどこにいるのか知らない。そこの俺が現れるんだ。まず、フェイクを送る。あれも複雑怪奇な男を描いた書いた本だ。そこからなんと彼から手紙が。そこから文通が始まり、やがて共有する友人同士に」と。アーヴィングはその雑誌の記事に掲載されていたハワードの手書きの手紙を見ながら、夜を徹して、筆跡を真似しました。最後の仕上げはサインです。彼は筆圧までも研究し、十二分に細部にもこだわり慎重に「ハワード・ヒューズより」と書き、一通の自分宛の手紙を書きました。アーヴィングは、その手紙をアンドレアに渡し、見せました。彼女は「嘘でしょ」と呟き、驚きました。彼女は早速、出版するための準備にとりかかりました。巨万の富を持つハワードは変人で、部下たちとは直接会わず、連絡は手紙やメモだけ、上層部のメンバーとも全く会わずに、同じようでした。アーヴィングはそこに目をつけたのでした。手紙やメモだけで連絡をとる変人に自分が成りきり、それを捏造し、謎に満ちたハワード・ヒューズという男の本を書けば、一躍、一流作家に成り上がれるのではないかと考えたのでした。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:4.アーヴィング、相棒ディックを巻き込む
アーヴィングからの手紙を持ち、アンドレアは上司たちにそれを見せました。直ぐにマグロウヒル社は手紙の筆跡鑑定を行いました。鑑定の結果は本人のものと出ました。アーヴィングの計画はまず最初の難関をクリアしました。その手紙には、「一切の真実を知られぬまま、人生を終えるのは誠に不本意である。以上の経緯からクリフォード・アーヴィング氏に私の代理人として、自伝の出版の全ての手配を委任する」と書いていました。アーヴィングはハワードとの出版に当たってのコンタクトの方法について、「彼はほとんど外出をしないこと。彼は電話をかけることはあっても、受けることは絶対にない」という噂を元にし、何とかその場を切り抜け、自分だけが彼と話をできる人間と思わせました。出版社との契約にまでこぎつけたアーヴィングに、ディックは捏造がばれたら大変な事になると言い、止めるように説得しました。しかし、アーヴィングはディックの説得には耳を貸さず、「異常な世捨て人が俺を訴えに現れるわけがない。俺はその変人の代理人を務めるわけだから、突拍子もないことを言うほど信用される。どうだ、完璧な計画だろ」と言い、逆に、リサーチでは一流の腕を持つ彼に、この大仕事を手伝ってほしいと依頼しました。まず、ハワードしか知り得ない情報をつかむことがこの大仕事には必要不可欠でした。ディックは仕方なく、アーヴィングの手助けをすることにしました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:5.極秘計画『プロジェクト・オクタヴィオ』
アーヴィングは「ハワードが条件をのんだ。ただし、この件が漏れたら白紙になる。クリフより」という電報を送りました。その電報とハワードからアーヴィング宛の手紙をマグロウヒル出版の社長以下役員たちに見せ、アンドレアは「この本はきっと聖書より売れます。他社が知れば妨害するでしょう。この契約を直ちに確定させ、極秘で進めていくべきです。今後、ヒューズ氏を呼ぶ際は“オクタヴィオ”と。作品名も『プロジェクト・オクタヴィオ』です」と説得しました。しかし、マグロウヒル出版の社長はこの計画進行に慎重でした。契約の前に念には念を入れ、知人のジャーナリストに話を聞くと言いました。その頃、アーヴィングとディックは情報をつかむため、大胆にもバージニア州アーリントンの国防総省に行き、ある人物のもとを訪ねました。警備員の多さに冷や汗をかき緊張するディックを宥め励ましながら、アーヴィングはその人物に面会し、嘘をつき、自社の情報を得たいと願い出ました。アーヴィングはその人物に同僚のディックがトイレに行きたいと嘘を言い、その人物に話しをしている間に、ディックに資料室からあるファイルを盗み出させました。ディックはそれを見つからないように、服の中に隠し、国防省のセキュリティを巧妙にくぐり抜け、2人は貴重な情報を盗み出すことに成功しました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:6.アーヴィング、極秘ネタを入手
アーヴィングは「オクタヴィオのインタビューが遅れている。また連絡する」とアンドレアに電報を打ち、時間稼ぎをしました。その資料から30年以上ハワードの右腕となって航空関係の仕事をした男を見つけました。アーヴィングは航空史の歴史作家と偽ってアポをとり、2人はラスベガスのその男の家を訪ねました。その男からアーヴィングは、ハワードが当時作った会社の膨大な極秘資料を見せられました。そして、その男からその文書の校正を依頼されましたが、持ち出し禁止でそれも今直ぐここでという条件でした。アーヴィングはその男がプールでくつろいで部屋にいない間に、急いでディックに近所でその資料をコピーするようにさせました。計画は成功し、お宝物の極秘資料のコピーに目を通したディックは、そのディープな内部事情が満載の資料にキスしました。アーヴィングは帰って直ぐに、アンドレアに「オクタヴィオが秘密を漏らし始めた。大当たりだ!」と電報を打ちました。その夜、2人はベガスワールドホテルに宿泊しました。そこで2人はハワードが休暇を取るときは、メキシコのチタンにある辺鄙なホテルを必ず選んだことを知りました。どこから居場所を聞いたのか、愛人・ニーナからアーヴィングに伝言が届きました。アーヴィングはニーナに電話すると、ニーナは「会いたい」と言い出しました。既に妻がいるアーヴィングはそれを断り、電話を切りました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:7.アーヴィング、正式契約に成功する
翌朝、アーヴィングはディックから報酬の引き上げを求められました。その時、ホテルにアンドレアからアーヴィング宛に電話がかかってきました。咄嗟に取ったディックはアーヴィングの制しも聞かず、自分の存在を明かしてしまいました。アーヴィングはアンドレアにディックを信頼できる相棒と伝えました。そこで、彼はアンドレアからライフ誌の編集長“ラルフ・ブレーブス”と会うようにと言われました。アーヴィングとディックは、ライフ誌の編集長・ラルフに面会に行きました。ライフ誌でも手紙の筆跡鑑定をしたらしく、その結果は本人のものという結果でした。ディックは緊張のあまり、「プルーンをくれた!」と、ヒューズと会ったときの偽りのエピソードで言う自分の台詞を、先走って言ってしまいました。そして、それはハバナ諸島・ナッソーで最初に会った時だと言ってしまいました。ラルフ編集長は賺さず「最初はメキシコでは?」と突っ込んできました。アーヴィングはその矛盾を解消するために、嘘のエピソードを饒舌に語り、何とかその場を切り抜けました。その後の食事会でもディックは緊張して、打ち合わせにない嘘の話をしました。アーヴィングはその話に合わせ嘘をつきました。ディックは水をがぶ飲みし、心を落ち着かせ、饒舌に嘘をつきました。アーヴィングはマグロウヒル出版と正式契約し、原稿料として10万ドルの小切手を受け取りました。2人はその小切手を直ぐに換金し、大喜びしました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:8.「お前、すごいな」
愛人ニーナを忘れられないアーヴィングは、妻・エディスとの関係で苦悩していました。家族を大切にするディックは、そんな彼にニーナと一緒になっても先は見えないと諭し、妻に聞かれたら正直に話せと言いました。いよいよ原稿を書かなければいけません。2人はハワードの肉声を録音した公聴会の音声を聴きました。初めて聴く彼の独特の声、言葉の言い回しに驚きつつも、アーヴィングは直ぐに彼のモノマネを始め、ディックを笑わせました。アーヴィングはハワードに成りきり、知り得た情報を元にして想像力を総動員し、まず父親の話から始め、その音声をテープに録音しました。それを傍で聴いていたディックは、アーヴィングに感心し「お前、すごいな」と言いました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:9.「揺動、撤退、奇襲だ」
ある日、新聞で「政府が会計の不正を否定」という見出しの記事が載りました。それを公園で読んでいたアーヴィングのもとに、アンドレアが女性誌に掲載された「ハワード・ヒューズの人生」という記事を見せました。アンドレアはアーヴィングをこのままでは訴訟されると問い詰めました。彼は初めて聞いた話で驚き、答えられずにその場を去りました。まずい事になったアーヴィングは直ぐに、ディックに相談に行きました。悲観的に考えたディックは、彼に金を返してやめようと言います。しかし、まさか同じ手口を使う奴がいるとは予想もしなかったアーヴィングでしたが、彼は楽観的に考えていました。そして、アーヴィングはディックにこう言いました。「今、考えるのは、ハワードなら、こんな時どうするかだ。揺動、撤退、奇襲だ」と。アーヴィングはハワードに成りきり、音声を録音しました。「ウィルスとバクテリアは人間にとって最も恐ろしい恐怖である。…」と。それをディックがタイプで文字起こしし、原稿にしていきました。その最中、アーヴィングは切り抜ける妙案を見つけました。アーヴィングはディックに自分が書いたハワードの手紙を持たせて、ナッソーに行かせ、そこのポストからその手紙を投函させました。アーヴィングは「マグロウヒル社 10万ドル」と書いた小切手を用意し、アンドレアに電話をかけ、マグロウヒル出版の親会社の会長である“シェルトン・フィッシャー”を会議に呼ぶように言い渡しました。親会社のフィッシャー会長も出席した会議の日、アーヴィングはこっそり「シェルトン・フィッシャー」宛の偽のハワードからの手紙が届いているかどうかを確かめ、会議に臨みました。会議でライフ誌のラルフ編集長は、アーヴィングに疑惑の念を持ちつつ彼に質問をし、高飛車に脅しました。アーヴィングはそれに答えず、いきなり、会長宛にハワードから手紙が来ていないかと問いました。フィッシャー会長は、手紙を確認すると、それはありました。会長はその手紙を読み始めました。アーヴィングはそれを確認すると、饒舌にその手紙の内容をかいつまんで語りました。そして、ハワードが激怒している偽りの手紙を利用し、契約を破棄すると見せかけ、「もし、おたくらがハワードの契約金を100万ドルにまで上げてくれたらね」と契約金の引き上げを要求しました。感情的になったフィッシャー会長もライフ誌のラルフ編集長も、あり得ない額に大笑いしました。アーヴィングは会議を中途退席し、帰ろうとしました。フィッシャー会長はそんな彼を引き止め、怒りをぶつけました。アーヴィングは会長に、「俺はアーヴィングじゃない!ハワード・ヒューズなんだ!俺の言葉は、彼の言葉だ!」と言い返し、会社の株の買い占めるというでっち上げの話で脅し、契約金の引き上げに成功しました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:10.妻・エディス、スイスへ
「ハワード・ヒューズ様 100万ドル」とタイプされた小切手をマグロウヒル出版から受け取ったアーヴィングは、アジトに帰り、ディックと悩んでいました。そこにアーヴィングの妻・エディスが帰って来ました。2人は小切手の換金方法で悩んでいました。そんな2人にエディスは、スイスに彼の口座を作り、小切手の名義を「H. R. ヒューズ」とイニシャルに変え、偽造パスポートと偽名を作って、そのイニシャルに合う名前の女性が換金に行けば良いという妙案を提案し、換金は自分がすると言い出しました。2人はその妙案に乗り、アーヴィングはイニシャルに変えた小切手を手に入れました。そして、自分の手で、エディスの偽造パスポートを作りました。エディスはそのパスポートの女性に変装しました。そんな頃、マグロウヒル出版からヒューズの自伝本が出る計画が露呈し、ヒューズの弁護士からフィッシャー会長へ出版差し止めの訴訟の連絡があり、新聞でも「ヒューズ氏の弁護士は捏造とコメント」という記事になり、アーヴィングとディックは、やばい状況に追い詰められて来ました。ディックが悲観的になり、パニック状態でアーヴィングに責め寄りました。その時、ニーナからの手紙を見たエディスは、アーヴィングに「まだ続いていたのね!嘘つき!」と怒りをぶつけました。憤りながらもニーナは、スイスに行こうとしていました。そんなニーナを、アーヴィングは宥め、「スイスには行かないでくれ。危険だ。金なんかどうでもいい」と言いますが、彼女は「嘘つき!結局、お金が欲しいんでしょ。それと名声。私は自分のためにやるわ」と言い放ち、スイスに旅立ちました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:11.ハワードからの贈り物
アーヴィングのもとにラスベガスから荷物が届きました。開けてみるとそこにはファイルされた資料が詰まっていました。その中の「ヒューズ・エアクラフト社」という資料を見たアーヴィングは驚きました。そこには「1956年にヒューズ氏がエジソンの弟“ドナルド・ニクソン”に20万5千ドルを献金した」という文書がありました。「これだ!使える…やったぞ!」と彼は呟き、ディックに直ぐ報告し、「国の大統領が糾弾される。凄い力が手に入るんだぞ」と言い、出版しようと言いました。しかし、ディックは「そんな力、俺は必要だと思わない。これを出版すれば、とんでもないことが降りかかってくるぞ」と言い、アーヴィングにこの事は忘れろと言いました。アーヴィングは「忘れる?…神から授けられたんだ!歴史に名を刻める!」と言い、資料の箱を見せて「ハワードはニクソンを倒せと言っているんだ。俺たちの味方なんだよ!」と言い返しました。アーヴィングはその資料を受け取ってから、ハワードに成りきっていました。インタビュー時は髪形や髭までつけ、ヒューズそっくりに変装しました。言葉も声ももうハワードのようでした。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:12.絶体絶命のピンチ
ある日、アーヴィングたちはライフ誌に呼び出されました。事情を聞くと、ハワードの顧問弁護士から連絡があり、今日の午後1時に、ハワード本人から電話がかかってくるということでした。会長は最後に会ったジャーナリストのフランク・マコロフに電話に出てもらうことにしていました。ハワード・ヒューズ本人の声を確認するためでした。驚いたディックは冷や汗をかきつつ、トイレに行くと言い、逃げました。午後1時、電話がなりました。アーヴィングは「茶番はごめんだ」と言い残し、逃げました。しかし、2人は非常階段で鉢合わせになり、閉じ込められてしまいました。アーヴィングはディックを宥めつつ、逃げるのをやめて、戻りました。アーヴィングにマコロフは「彼は君のことは知らないそうだ。…現時点で考えるに、君はペテン師だ」と言い放ちました。アーヴィングは会長から問い詰め、責められました。アーヴィングは脳裡では洗いざらい真実を告白している自分がいましたが、ハワードに成りきっていた自分が出て、会長に「私は、あの二重人格の裏切り者をブタ箱にぶち込める極秘ネタを持っている!奴に猶予を!今後も表舞台に出てこないなら、全部ばらしてやるって!許さん!」と言い残し、出ていきました。会長は彼に「なら、3日以内に原稿を持ってこい!」と命じました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:13.アーヴィングの罠
アーヴィングを外で待っていたディックは、彼についていけなくなり、この仕事から降りると言い出しました。アーヴィングは「大統領の堕落を世界の読者に伝える。それがゴールだ!」と言い放ちました。ちょうどその頃、スイスに着いたエディスは、銀行に行き、偽造パスポートと偽名でH. R. ヒューズの小切手を換金、口座の開設に成功しました。その夜、やけ酒を若い女性たちと飲み楽しんでいるディックを見つけたアーヴィングは、彼に最後までつき合いました。翌朝、アーヴィングは益々、ハワードのようになっていく、自分の音声テープを聴いていました。すると、ディックの部屋から昨夜の若い女性が1人、帰って行きました。彼は彼女に何かを渡しました。目が覚めたディックが部屋から出て、リビングを見ると、昨夜の痕跡が残っていました。また、自分の体から女性の香水の臭いから、ディックは妻がある身でありながら、別の女性と寝たことを悟り、泣きながら、後悔しました。そんな純粋なディックをアーヴィングは慰めました。ディックはショックを受けながらも、また、アーヴィングの音声テープを聴きながら、タイプして原稿に仕上げていきました。アーヴィングは身も心もハワードになっていきました。原稿は順調に仕上がっていきました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:14.アーヴィングの演出
アーヴィングは原稿が仕上がると、また、一計を案じ、マグロウヒル出版に一通の電報を打ちました。それは「オクタヴィオが面会を受け入れた。条件は午後に伝える」というものでした。その後、社長はアーヴィングが捏造したハワードからの手紙を読み、社員たちに指示しました。それには「明日の午後1時よりこのビルの4階部分は全て封鎖すること。カーペットは全て取り払う。その後、床を洗い、ワックスを。…」などの要求が書かれていました。社員たちは急いでその準備にとりかかりました。そして、次の日、ハワードが来る日が来ました。アーヴィングは社長とジャーナリストのフランクに仕上がった原稿を渡しました。題名は『ハワード・ヒューズ自伝』でした。社長たちは部屋でその原稿を読み始めました。アーヴィングはハワードを迎えるために、屋上に行きました。屋上では急遽、ハワードの指示通りの図面のヘリポートが作られようとしていました。アーヴィングは担当責任者ブラットの傍により、密かにポケットから、図面を抜き取ると、見えない所で図面の東西を逆に書き変えました。そして、風でその図面が飛んだかのようにして、ブラットに返しました。そして、屋上でアンドレアと共にハワードが乗って来るヘリの到着を待ちました。ニューヨークの摩天楼の空から、一機のヘリが近付いて来ました。屋上でアーヴィングとアンドレアは、ヘリが屋上に到着するのを待ちましたが、ヘリは屋上で少しホバーリングすると、Uターンして、去って行きました。そのヘリには、ハワードではなく、エディックが乗っていました。アーヴィングはその原因をブラットの図面の写し間違えとし、責任を彼に擦り付けました。ちょうどその時、部屋からアーヴィングが書いた原稿を読み上げた社長たちが出てきました。フランクは、アーヴィングに握手を求め「あれは本物だ。本人と話してなければ知り得ない情報ばかりだ。あの独特な言い回し…」と認め、絶賛しました。社長も絶賛してくれました。アーヴィングはハワード・ヒューズになったような気分でした。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:15.拉致されたアーヴィング
アーヴィングのこの本の出版が明らかになり、ハワードの弁護士は捏造とし、マスコミがアーヴィングに疑惑の目を持ち始めました。そんなある日の深夜、寝ているアーヴィングに妻・エディスから換金に成功したという電話がかかってきました。しかし、エディスは誰かにつけられていると脅え、電話は途中で切れました。それを聞いたアーヴィングは、謎の男たちに拉致されてしまいました。アーヴィングはハワードの下で19年働いたという男に会いました。その男は「彼が道具として使っている者たちは、多くの場合、歴史を動かせる人間だ」「ヒューズ氏は君に送った情報が本に載るのかどうか知りたがっている」とアーヴィングに言いました。アーヴィングはその男に「この本は俺が書いた形で出版される」「頼みがあるなら、本人に直接言わせろ」「俺が彼のメッセンジャーなんだ」「俺は彼を知っている。会う権利があるはずだ」と言い返しました。するとその男はアーヴィングに近寄り、「大統領も君と同じことを言った。…ドアを開ければ会えるものではないんだよ。ドアなどないのだから」と告げました。すると、アーヴィングはその男の手下に羽交い締めされ、ベランダから突き落とされました。幸い、落ちた所はプールで彼は命拾いしました。ほっとしたのも束の間、アーヴィングはまたその男たちに捕まり、「ヒューズ氏はあの情報が本に載ることを望んでいる」と言われました。アーヴィングはその男に「もし載せれば、出版させるってことだな」と聞くと、その男はOKのサインを出しました。アーヴィングは喜びました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:16.露呈し始めた嘘
アーヴィングの著書『ハワード・ヒューズ自伝』の出版記念式典が開かれました。会長も出席していました。社長は演台に立ち、「この本は完全な捏造との批判がありましたが、シャイクスピアでもない限り、そんな事は不可能です。そして、この著者は優秀ですが、シェイクスピアではありません」と言い、アーヴィングを紹介、演台に招きました。彼は喜びで舞い上がりました。アーヴィングはニクソン大統領が賄賂を受け取ったというネタを公表させてくれと、社長に直談判しました。社長はライフ誌の編集長と相談するため、アーヴィングを部屋から出しました。彼は部屋の外に出ると、検察局から電話がかかっていることを耳にし、急いでそこから立ち去ろうとしました。妻・エディスが開設したスイスの銀行口座が露呈したのでした。マスコミはアーヴィングを追いかけ回しました。アーヴィングの本が捏造であるという真相が次第に明らかになってきました。しかし、フィッシャー会長は本の出版命令を下しました。アーヴィングを良く思わないブラットはリークしました。ヒューズの自伝本出版の話はホワイトハウスにも届き、賄賂などの情報が漏洩するのを恐れたニクソンは、敵対する民主党がその本を手に入れているかを偵察させました。これがその後の“ウォーターゲート事件”になります。そんな中、アーヴィングは妻のエディスから、離婚を切り出されました。別れたはずの愛人ニーナとの関係について問われた彼は、妻を繋ぎとめるために偽りの話をしました。ある日、ディックはアーヴィングに仕事から降りると言った夜、妻以外の女と寝たことが、彼がディックをつなぎ止めるための罠だったことを知りました。激怒したエディックはアーヴィングに怒りをぶちまけました。もう吐く言葉は嘘だらけになったアーヴィング、彼の心は異常になり、彼は自分がハワード自身であるかのような錯覚に陥っていました。アーヴィングはエディックに悪態をつき、エディックはアーヴィングと決別しました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男のネタバレあらすじ:17.「これは歴史に残る出来事だ」
その後、ロサンゼルスのテレビ局でヒューズ本人との電話インタビューの番組が放送されました。ハワードは今回の自伝本について「これは歴史に残る出来事だ。…こんな奇抜な脚本は今まで見たことない。これほどまでに想像力を膨らましたホラ話は初めてだ。…しかしながら、内容は素晴らしいものだったと言っておこう。…原稿は偽物だからね」と語りました。もう誰からも信頼されなくなったアーヴィングは、逃走を図りました。妻のエディスの所行も発覚し、愛人ニーナもアーヴィングに見切りをつけました。全てハワードの掌の上で泳がされていたと悟ったアーヴィングに、例の男が来て、「壮大な計画の一部なんだ。実に見事だったよ。ヒューズ氏もそう言っていた」と告げました。その言葉を聞いたアーヴィングは、笑顔を浮かべました。マスコミはこぞって、アーヴィングのコメントを取りに詰め寄りました。彼は車の曇りガラスに「HOAX(でっちあげ)」と指で書き、答えました。
ザ・ホークス ハワード・ヒューズを売った男の結末:エピローグ:その後のアーヴィング
ヒューズはアーヴィングの自伝本を利用し、自分に有利な結果をつかみ取りました。牢屋に入ったアーヴィングは、TIME誌の表紙で「ペテン師・オブ・ザ・イヤー」という形で飾られました。アーヴィングが17か月間服役する一方で、エディスはスイスで1年以上収監されました。2人は1974年に仮釈放になり、アーヴィングとエディスはその後、すぐに離婚しました。政府高官によれば、ニクソンの“ヒューズ恐怖症”が、ウォーター事件を引き起こしました。刑期を終え釈放されたディックは、子供向けの絵本「リチャード1世」を1974年に出版しました。エディックは生涯、書と添い遂げました。アーヴィングは本件を「ザ・ホークス」として上梓しました。1972年の電話出演を最後に、ニューズは表舞台に出ていません。彼はその後1976年4月5日に、死亡が確認されました。しかし、アーヴィングはいまだにヒューズ自伝の出版を目論んでいました。
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