僕のスウィングの紹介:2002年フランス映画。ジプシーのミラルドにギターを習い始めたマックスは、その家に住むスウィングに淡い恋心を抱く。音楽に乗せて流れる少年のひと夏の思い出。
監督:トニー・ガトリフ 出演:オスカー・コップ(マックス)、ルー・レッシュ(スウィング)、チャヴォロ・シュミット(ミラルド)、マンディーノ・ラインハルト(マンディーノ)、ベン・ズィメット(リベルマン医師)、ほか
映画「僕のスウィング」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「僕のスウィング」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「僕のスウィング」解説
この解説記事には映画「僕のスウィング」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
僕のスウィングのネタバレあらすじ:ジプシーの音楽に惹かれた少年
バカンスで、祖母の家に来ていた少年マックスは、カフェでギターを弾いていたミラルドにジプシーのギターを教えてもらえることに。ミラルドは、町の骨董屋に身を寄せているジプシーで、その家にはマックスと同じ年頃のスウィングとカロが住んでいた。マックスの祖母はギターを教わるようになった彼が、川に入ったりするようになったことを怒り、彼が外に出ないように門にカギをかけた。しかし、しかし呼びに来たスウィングについてミラルドのパーティーに行くためにマックスは門を乗り越えた。途中でカロと買い出しついでにビールを飲みながら、マックスはスウィングが女の子である事に気づいたことをカロに告白した。トレーラーハウスで、懇意の医師を呼んでパーティーが始まると、人が集まり音楽は早大になっていった。マックスはカロとスウィングと一緒にトレーラーの中で眠った。夜半、ミラルドはアラブ人の店を開けさせ店の中で店主と呼んだ医師とともに酒盛りをした。その帰り、鉄条網をつま弾く医師は、鉄条網を見ると無性にむかつくのだとこぼした。翌朝、マックスは迎えに来た祖母と共に骨董屋に家まで送り届けられた。
僕のスウィングのネタバレあらすじ:少年の淡い恋
スウィングに恋心を抱き始めたマックスは、祖母の家の屋根裏の整理をしたいから、骨董屋である彼女の父親に来てほしいと言って、彼女と話す口実にした。恋心ゆえにマックスは音楽を身に着けるのは楽譜からでなく耳からだと言うミラルドのとのギターの練習にも身が入らず、頭痛を訴えると、ミラルドはマックスを森へ連れてゆき、頭痛に効く花や、食べられる実、虫刺されに効く葉など、森に生える草木で有用なものを教えてくれた。そして、最後に愛する人が夢に出てくる花のおまじないを教えると、マックスはスウィングとそのおまじないを実行した。その夜、教えてもらった草を日記帳にスクラップにして眠ると、マックスは空を飛ぶ夢を見た。
僕のスウィングのネタバレあらすじ:スウィングとの約束
祖母の上にマックスを預けている彼の母は、マックスをギリシアに連れて行く気でいた。スウィングに一緒に行かないかと誘うと、彼女はここに残って、反対されるなら二人で森の中で暮らそうと言って、お守りの首飾りをマックスの首に掛けた。ミラルドは、以前はトレーラーで旅をしていて、今は旅をしなくなってしまった、遠くへ行きたいと、ミラルドに話し、同じくトレーラーに住んでいた老婆は二次大戦中にトラックで連行された家族の事や弟とリールまで逃げ延びたことを語った。そしてそれまではマックスの練習風景を見るだけだったその老婆も歌いだした。ミラルドは静かな川べりで、蓄音機でレコードを聴きながら曲の練習をし、マックスとスウィングはそれを運ぶ間に二人で遊んだ。しばらくして、町で女性のための平和コンサートと称して、骨董屋のサロンでジプシーの音楽を広める音楽会を開いた。その日、マックスはスウィングに家まで送ってもらった。
僕のスウィングの結末:別れは唐突に
翌日、マックスは黒い瞳を弾くが、テンポがめちゃくちゃだと怒られてしまう。そして、練習するマックスをトレーラーに残しコーヒーを入れに行ったミラルドは、戸口で倒れた。ミラルドの見る風景はだんだんと高く上り、やがて大地を見下ろしていた。ミラルドのトレーラーとギターは焼かれ、残ったギターのネックをマックスとスウィングは川へ流した。涙の止まらないマックスは、迎えに来た母親とギリシアへ旅立つことになり、ここで書いた日記を読めないと断るスウィングに無理矢理渡した。スウィングが家の外に置いてしまったその日記には、ジプシーの日記というタイトルが書かれていた。
以上、映画僕のスウィングのあらすじと結末でした。
僕のスウィングのレビュー・感想:放浪しないジプシー
ジプシーと言えば、定住しないと言うのがイメージとしてあるのに反して、この作品に出てくるミラルドはトレーラーハウス住んでこそいるものの、骨董屋の庭に身を寄せている。ともに暮らしている老婆からすれば、放浪の末どこか安住の土地を見つけると言うのも一つの選択だったのかもしれないが、ミラルドの「遠くへ行きたい」という言葉に見受けられるように、ジプシーの血を引いた次の世代は旅をすることを望んでいる。そして、川の向こうに住む(富裕層の暗喩)マックスはここにとどまるミラルドとは逆に、スウィングと一緒にいたいと望みながらも、別れてギリシアへ旅立ってしまうと言うのがなんとも皮肉に映る。
しかし、ミラルドが「死」という形で手に入れた自由は「遠くへ行きたい」と言う彼の願いを叶えたのではないかと思うと、彼の目線で移された美しい大地の風景に、どこか救われた気がする。
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