ザ・ギフトの紹介:2015年アメリカ映画。ジョエル・エドガートンが、製作、監督、脚本、出演までこなしたスリラー。仲むつまじい夫婦の前に、夫の同級生だったと名乗る男が現れる。その日から、まるで友情のしるしだと言わんばかりに、夫婦のもとに届けられる“ギフト”。その内容は次第にエスカレートしていき、なぜか夫婦の間にも不穏な空気が流れ出す。アメリカの映画サイトRotten Tomatoesで、93%のユーザー満足度を獲得したセンセーショナルな作品。
監督:ジョエル・エドガートン 出演者:出演者:ジェイソン・ベイトマン(サイモン・カレム)、レベッカ・ホール(ロビン・カレム)、ジョエル・エドガ―トン(ゴードン・モーズリー)、アリソン・トルマン(ルーシー)、デヴィッド・デンマン(グレッグ)、ビジー・フィリップス(ダフィー)、ケイティー・アゼルトン(ジョアン)ほか
映画「ザ・ギフト」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ザ・ギフト」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ザ・ギフトの予告編 動画
映画「ザ・ギフト」解説
この解説記事には映画「ザ・ギフト」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ザ・ギフトのネタバレあらすじ:起
ロサンゼルス郊外。見晴らしのよい一戸建てに、30代半ばの夫婦が越してきました。夫のサイモンはセキュリティー・システム会社の営業職、妻のロビンは起業コンサルタント。シカゴで暮らしていた彼らですが、ロビンが初めての子供を流産。精神が不安定になったため、環境を変えようと引っ越したのです。ある日、夫婦で買い物をしていると、1人の男がサイモンに声をかけてきます。同じ高校だったゴードン・モーズリーだと名乗りますが、サイモンは彼を思い出せません。なんとか笑顔でその場を取り繕い、逃げるように帰宅します。翌日、玄関ドアの前に1本のワインが置かれています。添えられたカードにはゴードンの名が。サイモンは、「どうやって家を知った?」と訝しがります。数日後、サイモンが仕事に出かけている昼間に突然、ゴードンが訪ねてきます。越してきたばかりの夫婦のために、地元業者のリストを作ってきたと言うゴードン。ロビンは彼の親切に感謝し、家に招き入れます。子供部屋に置かれたサルのおもちゃを見たゴードンに、ロビンが笑って言います。「サイモンはサルが嫌いなの」。彼の穏やかな人柄に好感を抱いたロビンは、今夜の夕食を一緒にと誘います。
ザ・ギフトのネタバレあらすじ:承
その夜、テーブルを囲む3人。ゴードンは、高校時代のサイモンを絶賛します。生徒会長で優秀だった。そして今は仕事で成功して美しい妻もいる…。一方、ゴードン自身は軍隊を除隊。職を転々としていました。彼が帰った後、サイモンは違和感を露わにします。「奴は俺を友達だと思っている」。そんなサイモンは、会社で出世の可能性を手にしていました。転職する上司の後釜になれそうなのです。ある晩、夫婦は再びゴードンからの贈り物を発見します。エントランスの池に、数匹のコイが入れられていたのです。不気味に思う2人ですが、その後もサイモンの留守中にゴードンが訪ねてきます。彼は映らないテレビをつなぎ、ゴミ捨てまでやってくれました。複雑な思いのロビン。ゴードンは、2人を夕食に招待します。しぶしぶ彼の家へ出かけるサイモン達ですが、着いてみると予想外の豪邸。到着早々、なぜか急用ができたと外に出るゴードン。それを見たサイモンは、奴がこんな真似をするのは君に気があるからだと、ロビンをからかいます。ところが、戻ってきたゴードンは意外なことを言います。現在、妻とは別居中。ここは妻の実家なので今後どうなるかわからない。呆れ果てたサイモンは、もう二度とうちには来ないでくれと言い捨て、ロビンをうながし帰宅します。翌日、ロビンが見ると池のコイが全て死んでいます。さらに飼い犬のジャングルも消えていました。
ザ・ギフトのネタバレあらすじ:転
怒り狂ったサイモンは、ゴードンの家に向かいます。出てきたのは見知らぬ夫婦。彼らが家の持ち主でした。ゴードンは、夫婦の留守中に入り込んでいたのです。サイモンは警察に届けますが、証拠がないと捜査できないと言われます。数日後、ジャングルが戻り、ゴードンから謝罪の手紙が届きます。しかし、手紙の最後には、「過去のことは水に流そうと思っていた」という謎の一言が。ロビンはサイモンを問い詰めますが、何の覚えもないと言い張る夫。ロビンは不安のあまり、サイモンの留守中に気を失って倒れます。目覚めると、頭がぼんやりしたまま。妻の体を案じたサイモンは、子供を作って一からやり直そうと説得。その後、ロビンは妊娠し、お祝いに訪れたサイモンの妹にゴードンのことを尋ねます。彼女によると、高校時代、男から性的虐待を受けていたゴードンをサイモンとその友人グレッグが目撃。彼らはゴードンを救出し、その後ゴードンが退学になったと言うのです。ロビンはグレッグの所在を調べ、彼に会って真実を聞き出します。ゴードンが襲われた話は、サイモンのでっちあげでした。昔からいじめっ子だった彼は、ゴードンがゲイだと嘘の噂まで流していたのです。そのためゴードンは退学、ゲイを嫌う彼の父親は、息子への殺人未遂で逮捕されていました。その夜、ロビンに責められて逆上したサイモン。ゴードンのもとへ行き、俺の謝罪を受けろと殴りかかります。数日後、会社での出世が確定したサイモンが家でパーティを開いているところへ、ダニーという男が現れます。新しいポストに就くのはダニーのはずでした。サイモンが偽りの内部情報をダニーに流し、彼を陥れていたのです。夫の本性を知ってショックを受けたロビン。その場で産気づき、運ばれた病院で男の子を出産します。
ザ・ギフトの結末
出産に立ち会ったサイモンが病院から帰宅すると、ゴードンから誕生祝いのベビーバスケットが届いています。添えられていたのは、夫婦の家の鍵。ゴードンは、彼らの会話を盗聴していました。同封されたDVDを見てサイモンは驚きます。映っていたのは、部屋で気絶したロビンを見つめるゴードン。彼は、サイモンが大嫌いなサルの面を被っています。ゴードンはロビンの体に触れ、のしかかろうとし、そこで映像が終わります。怒りと恐怖で固まるサイモン。その頃、ゴードンはベッドで目覚めたロビンに花束を渡し、帰るところでした。病院に駆け込んだサイモンは、ゴードンの姿を追いますが見失います。サイモンの携帯が鳴り、ゴードンの声が言います。「彼女との間に、何もなかったと言ってほしいんだろ」。そして、最後の“ギフト”が何かをサイモンに告げます。「赤ん坊の顔を見ろ。目を見ればわかる」。衝撃のあまり、その場に立ち尽くすサイモン。「人に弄ばれるというのはこういうことだ」、そう言ってゴードンは電話を切ります。サイモンは授乳室へ行き、ガラス越しにいるロビンと、その腕の中の赤ん坊を凝視しました。彼を見返すロビンは無表情で、完全に愛情が冷めた目をしています。サイモンはその場に座り込み、頭をかかえます。その姿を遠くから眺めていたゴードン。満足気な顔で去って行きます。
「ザ・ギフト」感想・レビュー
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迫りくる恐怖とゴードンの何かを常に訴える哀し気な瞳が、印象に残る作品でした。サイモンはどうしようもない人間であることを隠して全てを思い通りにしようとしていましたが、段々と化けの皮が剥がされていき計画が崩れ大切な人も離れていく様は、ゴードンが味わった恐怖や哀しさに比べたらまだまだだと思います。また、ロビンがサイモンから距離を置くようになったことは、ロビンにとって最大のギフトだと思います。
プレゼントって贈られ方によっては、こんなに不気味に感じるのかと恐怖を通り越し逆に感心してしまいました。妻であるロビンからすれば、よく知りもしない人から度々贈り物をされる迷惑と恐怖。またガラス張りの新居というのが、その夫婦の無防備さを表していると思いました。直接的な残酷描写など一切ないのに、背筋がぞっとする様な作品です。