クール・ランニングの紹介:1993年アメリカ映画。「ジャマイカ人が、ボブスレーだって!?」というキャッチコピーでボブスレーを題材にした感動のスポーツ・コメディ映画。寒さ・氷・雪とは無縁な南国ジャマイカのボブスレーチーム(男子4人)が、1988年のカナダ・アルバータ州カルガリー冬季オリンピックに初出場した実話をベースに、架空のエピソードをまじえて、コミカルなタッチながらも感動的に描いた作品です。
監督:ジョン・タートルトーブ 出演:デリース・バノック(レオン・ロビンソン)、サンカ・コフィ(ダグ・E・ダグ)、ジュニア・バヴェル(ロール・D・ルイス)、ユル・ブレナー(マリク・ヨバ)、アービング・ブリッツァー(ジョン・キャンディ)ほか
映画「クール・ランニング」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「クール・ランニング」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「クール・ランニング」解説
この解説記事には映画「クール・ランニング」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:1.プロローグ:「ジャマイカの星」俊足の青年“デリース・バノック”
時は1988年、ここは常夏の国・ジャマイカ、レゲエのリズムで「♪これが君の望む愛なら、手にいれなくちゃ♪本気で欲しいなら、つかみ取るんだ♪…♪」という歌が流れてきました。原っぱで、1人の若い青年がコーチもなく、1人で短距離走の練習をしていました。この青年の名は“デリース・バノック”と言い、目前にはソウルオリンピック・陸上男子100m走の代表選手選考レースが迫っていました。デリースの練習を見守っていた子供たちは、ゴールラインにトイレットペーパーでゴール・テープを作りました。デリースは自慢の俊足を跳ばし、そのコール・テープを走り抜けました。子供たちは大喜びしました。デリースはそのまま、トレーニングのために街へとランニングして行きました。デリースは、その脚の速さとルックスから、街では人気者でした。デリースは、昔のオリンピック100m走で金メダルを獲得した父親を持ち、オリンピック・陸上代表選手の有力候補で、子供たちから「ジャマイカの星」と呼ばれていました。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:2.デリースの親友・お調子者“サンカ・コフィ”
デリースの親友“サンカ・コフィ”は、負けん気が強いところがありましたが、陽気でオチャメでお調子者だったので、彼も子供たちから慕われていました。しかし、母親からは「怠け者のバカ息子」と言われていました。そんなサンカは毎年、お手製の手押し車で坂を下る街で有名な“手押し車レース”に、子供たちとチームを作って出場していました。サンカのチームは、毎年恒例のこのレースで6年連続、優勝していました。今年、優勝すれば7連覇でした。サンカと子供たちは意気込んでレースに臨みました。そんな親友・サンカの活躍を見に、デリースは恋人・ジョイと彼の母親と応援に行きました。サンカは「リズムを感じて、ゴールまで突っ走るんだ」と言い、スタート位置に着きました。サンカは車のドライバー役でした。レース開始のラッパ音がなり、サンカたちはスタートしました。サンカは奮闘し、トップを競り合いましたが、ゴール間近で、相手の車に横からぶつけられ、コースをはずれて屋台にぶつかってしまいました。サンカは惜しくも7連覇を達成できませんでした。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:3.ソウルオリンピック代表選考レース・陸上100m走決勝戦
代表選考レースが明日に迫った日、デリースは恋人・ジョイに「準備万端。誰よりも速く走ってやるよ。オリンピック出場への思いは誰にも負けない」と言い、日々のトレーニングに走って行きました。そして、来る選考レースの日が来ました。100m決勝戦、代表最有力候補と目されていたデリースの隣には、彼を尊敬する“ジュニア・バヴェル”がいました。そして、ジュニアの隣には、デリースをライバル視していた俊足の持ち主“ユル・ブレナー”がいました。ユルはバリバリに気合いを入れていました。この選考レースで上位4位以内に入れば、オリンピックに出場ができます。デリースたちは、スタートラインに着きました。スタートの銃声がなり、一斉に各選手がスタートを切りました。デリースも順調なスタートを切り、トップに立とうと走っていました。隣を走るジュニアもデリースについて行こうと必死で走っていました。その隣のユルもデリースに負けまいと必死でトップを狙い走っていました。さあ、トップはデリースとユル、そしてジュニアの3人での争いでした。ゴールまであと少しのところ、ジュニアが突然、脚が絡んで転倒してしまいました。その転倒に隣で走っていたデリース、ユルが巻き込まれ、転倒してしまいました。デリースは4位以内にも入れず、オリンピックへの出場権を逃してしまいました。デリースは悪夢を見ているような気分でした。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:4.どうしてもソウルオリンピックに出場したいデリースの決断
こんな終わり方では納得がいかないデリースは、レース終了後、「ジャマイカ・オリンピック委員会」にひとり、乗り込みました。デリースは会長に、選考レースのやり直しを直談判しました。しかし、会長からは再レースはできないと断られてしまいました。何としてでもソウルオリンピックに出場したいデリースは、しつこく会長に詰め寄りますが、会長は「それなら、ボクシングか自転車競技で出場しろ」と返してきました。「これも運命だ」と慰める会長の言葉を聞きながら、デリースは部屋の壁に飾っていた写真を眺めました。そこには、昔のオリンピックで金メダルを取った、デリースの父親の写真がありました。また、デリースの父親と一緒に金メダルを持つ白人男性の写真が飾ってありました。デリースはその男性の名を会長に聞きました。その男性は“アービング・ブリッツァー”で、ここジャマイカに住むアメリカ人でした。ブリッツァーはボブスレーの金メダリストで、かつて、デリースの父親を「陸上選手がボブスレーに向いている」と言い、誘いに来たことがあったのでした。ブリッツァーは、今はここジャマイカで、賭けの胴元をして生活しているそうでした。ブリッツァーの行きつけは、海岸の先のあるプールバーでした。「バカげた話だ。ジャマイカ人がボブスレーだぞ」と言う会長の言葉を聞きながら、何としてでもソウルオリンピックに出場したいデリースは、ある決断をしました。デリースは会長から、その写真を借り、「ボブスレーって何?」と聞くと、礼を言って出ていきました。デリースは、本でボブスレーを調べ、親友・サンカに説明しました。その本には「氷上のソリを押す強い脚力の選手」が向いていると書かれていました。サンカは「アイス!?…氷!?」と驚きました。サンカはバカにして、デリースの話を無視しました。デリースはボブスレーでオリンピックに出場しようと決断したのでした。そのチームにサンカに入ってほしかったのでした。デリースはサンカに「ジャマイカで最強の手押し車ドライバー」と言い、何だかんだと頼み込みました。親友・デリースの熱心な頼みに、サンカは絆され、チームに入りました。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:5.デリースとアービング・ブリッツァーの出会い
デリースはサンカと、ブリッツァーに会うため、彼の行きつけのプールバーに行きました。デリースたちがその中に入ると、カウンターでまるまると太った白人男性が1人、ラジオで競馬中継を聴き、熱中していました。その男はどうやら賭けに負けたらしく、ビリヤードの棒を取ると、それでラジオを叩き潰し、負けた鬱憤を晴らしていました。デリースたちは、半信半疑でその男に声をかけると、その男があの金メダリストのブリッツァーでした。若い頃の写真から見る陰もないブリッツァーに、デリースたちは、「ソリの神様」「俺たちにボブスレーを教えてくれ」と頼みました。ブリッツァーは、デリースたちの頼みを断りました。しかし、しつこくデリースたちは、ブリッツァーに付きまとい、頼み込みました。それにウンザリしたブリッツァーは、「明日も来る。明後日も、その次の日も、そのまた…」と言うデリースに、「この島じゃ無理だ。雪がない。時間もない。オリンピックまで3か月。ボブスレーなんて忘れた」と言い放ち、断ってきました。そう言うブリッツァーに、デリースは会長から借りた自分の父親と一緒に写った若き彼の写真を見せました。するとブリッツァーの様子が、徐々に変化し、デリースの言葉に真剣に耳を傾けてきました。デリースはオリンピックに出場したい熱意を込め、ブリッツァーにボブスレーのコーチを頼み込みました。ブリッツァーはデリースの父親譲りの脚を信じ、そして何より彼の熱意に絆され、ようやくコーチを引き受けました。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:6.ジャマイカ代表のボブスレーチーム、結成へ
さあ、まずはボブスレーチームを結成しなければいけません。今はデリースとサンカだけでした。あと最低2人はいないとボブスレーはできません。そのために、急遽、若い男たちを集めて、ボブスレーチームへのメンバーを募集する説明会を開きました。たくさんの若者が集まりました。その中で、ブリッツァーはボブスレーのレースのビデオを、みんなに見せ、説明しました。そのビデオを観ながら、始めは若者たちは「トイレ並みさ」と笑っていました。しかし、ブリッツァーがボブスレー競技には高速の激しいクラッシュがあり、骨が粉々になる危険があると説明し、そのビデオが「命懸けのボブスレー選手」という字幕で終わると、若者たちはみんな帰って、誰も残っていませんでした。そんな中、ユルがゆっくりと現れて来ました。ユルは不機嫌そうに、「これからはチームメイトだ」と言うデリースに、「チームに入っても仲間とは思わないぞ」と言い返してきました。「この島を出たいだけだ」と言うユルは、チームに参加することになりました。これで3人、あと1人必要です。その時、ジュニアが入って来ました。ジュニアは「間に合った?」と聞いてきました。ジュニアはユルとデリースがいるのに、驚きました。ジュニアの転倒でオリンピック出場を逃したユルは、ジュニアに「殺してやる」と怒り、詰め寄ってきました。逃げるユル、追うジュニアでしたが、その間にサンカとデリースが入り、何とかその場を収めました。そして、ジュニアはユルに嫌われながらもチームメイトになり、ジャマイカ・ボブスレーチームが晴れて結成されました。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:7.それぞれのポジション
南国・ジャマイカに氷上はありませんから、ソリもありませんでした。ボブスレーの練習は、手製の4つの車輪がついたボロボロのソリもどき(以下、これを「ソリ車」とします)でした。ブリッツァーは、4人のボブスレーの配置を決めました。体が頑丈で足も速いユルがサードマンに、体が一番小さい身軽なジュニアがセカンドマンに就かせました。そして、いつも手押し車ではドライバー役のサンカをブリッツァーは、ブレーカーに就かせました。サンカはドライバーにしろと怒りましたが、ブリッツァーが「ドライバー役はコースを熟知し、チームメイトの命を預かる大切な役目だ」と説明すると、サンカはブレーカー役に就きました。ドライバー役はデリースとなりました。チームに入ったジュニアは、裕福な家庭で育っていました。彼の父親は、ジュニアに内緒で勝手にマイアミの大企業への就職を決めてきました。実はジュニアは父親と、オリンピックに出るという夢を追いかけずに「現実的に将来を考える」と約束をしていたのでした。ジュニアは喜ぶ父にボブスレーチームに入ったことを、告げることができませんでした。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:8.ジャマイカでのボブスレーの練習
ボブスレーの練習が開始されました。ジャマイカに氷上はないので、ブリッツァーは、ソリ車に4人が次々に乗り、丘から下る道を使って、どれだけ速くゴールの丘の下まで行けるかという練習をさせました。スタートタイムの基準は5.7秒でした。ブリッツァーのコーチのもと、4人は練習を開始しました。始めは全くダメでした。ドライバーのデリースが、ソリ車に乗る前に転倒してしまう有様でした。しかし、日に日に、形になっていき、乗れて速度も出せるようになりました。ブリッツァーは、ソリをスタートさせるときの力をつけるため、サンカの車を4人でできるだけ速く押し動かすという練習をさせました。また、彼は、寒さに耐えさせるため、アイスクリーム車の冷蔵庫に入らせる練習など、ジャマイカで考えられるボブスレーに必要な練習は、4人に何でもさせました。ブリッツァーの練習は厳しいものでした。そして、ある日の練習のとき、4人はソリ車に乗り、速度が出過ぎてブレーキが効かず、丘の下のパトカーに衝突してしまいました。警官たちは4人がボブスレーの練習をしてると言うと、笑いました。その時、丘の上からブリッツァーが「5.9秒だ!よくやった!」と叫びながら、駆けつけて来ました。警官が唖然とする中、ブリッツァーは「その調子だ!ソリを丘の上まで運べ!もう一度だ!」と言いつけ、練習を継続させました。こんな調子で、ブリッツァーのコーチのもとで、4人はボブスレーの練習に励みました。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:9.お金が…ない…
しかし、ジャマイカからボブスレーでオリンピックに出場するには、それなりの資金が必要でした。ブリッツァーは委員会の会長に資金援助を求めました。しかし、会長は「バカげたことを言うな!…我が国を見せ物にする気か!?」とブリッツァーに怒鳴り、資金を出しませんでした。がっくりするブリッツァーでしたが、南国で生まれ育ったデリースたちは違いました。どこまでも楽天的なサンカは「♪俺たちジャマイカのボブスレーチーム♪…♪」と路上で歌を歌って、資金を稼ぎました。腕っ節の強いユルは腕相撲で稼ぎました。デリースは、最初の頃は企業を回って、資金援助を求めましたが、悉く大笑いされ、相手にもされませんでした。そんなデリースはルックスを活かして、女性とキスをすることで資金を集めました。3人はそれぞれのやり方で頑張りましたが、全く足りませんでした。3人ががっかりしていると、ジュニアがやって来ました。ジュニアは持っていたバッグから札束の山を出してきました。ジュニアは父親に黙って、自分の車を売却して資金にしたのでした。ジュニアは、自分の転倒でデリースとユルがオリンピックへの出場権を逃したことを気にしていました。ジュニアはこの大金はそのお詫びの印と言いました。ジュニアは父親には、自分がマイアミの企業で働いていると思わせていました。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:10.いざ、冬季オリンピック会場のカナダ・カルガリーへ
資金調達ができたデリースたちは、コーチのブリッツァーと共に、南国ジャマイカから冬季オリンピックが開催されるカナダのカルガリーに飛びました。初めて見る雪、そして寒さに、デリースたちは驚きました。みんな、外に出る前に持ってきた服を全部着込みました。しかし、外は零下25度、体験したことのない寒さに耐えきれず、4人は服を買い、着ました。ブリッツァーはオリンピックの予選登録に行きました。するとそこで偶然、昔の知人・ロジャー、ラリーと昔の自分のコーチ・カートと出会いました。コーチのカートはブリッツァーを無視しました。「まだ、ダメらしい」と呟いたブリッツァーは、ラリーからも「恥ずかしくないのか」と嫌われていました。それは、ブリッツァーが昔、選手のとき不正行為をしたからでした。ブリッツァーは「気にするな」と言うロジャーに、ある相談を持ちかけました。ブリッツァーはロジャーに、試合用のソリがないまま、ジャマイカから来たことをうち明けました。驚くロジャーに、ブリッツァーは4800ドルという安値で、中古でもいいから、ソリを買いたいと懇願しました。そんな頃、デリースたちは、生まれて初めての氷の上で悪戦苦闘していました。もう4人ともまともに歩けず、ボブスレーの練習以前の問題でした。その夜、デリースはひとり、他のチームがボブスレーの練習をしている実際の姿を見に行きました。それは、想像していた以上に、美しいものでした。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:11.初めての氷上、ボロソリでの練習
翌朝、デリースたち4人にブリッツァーは、ロジャーから安値で買い取ったソリを「新しいメンバーだ」と言い見せました。それは、ボロボロに使い古され、錆び付いたソリでした。そんなソリでも、デリースは「美しい」と呟きました。デリースたちはそのボロソリで練習場に行きました。各国、それぞれピカピカに整備されたソリの中、デリースたちがボロソリで出てくると、他国のチームは皆、唖然とし、一瞬静寂に包まれました。ある国の選手たちは、ブリッツァー率いる4人を嘲笑しました。「俺たち、嫌われ者だな」と言うジュニアの言葉に、ユルは「自分たちと違うものに、人は脅えるんだ」と言い放ちました。その嘲笑した選手は、ヨセフ・グルールという世界一のドライバーでした。ブリッツァーは、最初は手押しでスタートさせようとしました。サンカはトイレに行きたいと言いだしましたが、ブリッツァーは我慢しろと言い、4人をボロソリに乗せ、スタートさせました。初めての氷上のコースをソリで滑走した4人の中、サンカはその速さのあまり絶叫し続けました。そして、ソリはトンネルの中で転倒、トイレを我慢していたサンカはとうとう漏らしてしまいました。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:12.つまはじきにされ、嘲笑のネタにされるジャマイカチーム
その日の夜、ホテルでユルは、現実的で楽天的に生きているサンカと、口げんかをしていました。それはユルが、自分の夢はオリンピックでメダルを勝ち取り、こんな豪邸に住むんだと1枚の写真を見せて言ったからでした。その豪邸は国王の住む宮殿で、サンカはそれを指摘したのでした。ユルはサンカにバカにされ、その写真を握り潰して、放しました。しかし、その様子を見ていたジュニアは、2人の間に立ち、「できるさ。叶えたい夢があるなら。努力して、つかみ取ればいい。本当だよ」と言い仲裁に入りました。そして、ジュニアはユルが放した写真をきれいにし、彼に「できるさ」と優しく言って、写真を渡しました。次の日、4人は初めて氷上で、自分たちの手でソリを押してスタートする練習をしました。しかし、やはり初めてのこと、4人とも失敗し、ボロソリだけがコースを走って行きました。それを写した写真が「ジャマイカチーム、ソリと追いかけっこ」という嘲笑の新聞記事となって、世間に出てしまいました。それを見たジャマイカのオリンピック委員会の会長は、国の恥さらしと憤りました。また、その記事を見たジュニアの父親は、その写真に我が子・ジュニアの姿を見て、憤慨しました。倉庫でデリースがひとり、ボロソリを整備していると、米国のコーチ・ラリーがやって来ました。ラリーはデリースに、ブリッツァーが1972年の大会でソリに重りを乗せて滑走するという不正をし、メダルを剥奪され、このボブスレー界では嫌われ者であることを教えました。そして、その夜、サンカとジュニア、ユルは飲みに行こうとしたとき、一通の電報がジュニアに来ました。それはジュニアの父親からでした。ジュニアは隠していた事がばれてしまい、家に帰って来いと言われました。「帰らないといけない、でも、仲間をおいて帰れない」と悩むジュニアは、サンカ、ユルと飲みに行きました。そこで他国の選手に、ジュニアはからかわれてしまいました。ジュニアは小声で「俺だって男だ」と呟きました。そんなジュニアの姿を見たユルは、ジュニアをトイレの鏡の前に立たせ、鏡に映ったジュニアに向かって、「プライド!」「パワー!」と叫ばせ、強固な意志を持つ訓練をさせました。ジュニアはだんだん怒りが出てきて、ユルを置いて、からかってきた男に文句を言いに行きました。しかし、ジュニアはやっぱり、ダメでした。逆にその男に突き飛ばされてしまいました。そこに入ってきたユルは、その男の顔面をぶん殴りました。そこから、大乱闘が起きてしまいました。後でわかったのですが、その男たちは東ドイツの選手たちでした。ホテルに帰ったユルたち3人は、デリースに叱られました。そこに、ブリッツァーが帰って来ました。ブリッツァーは喧嘩の相手・東ドイツの選手たちに、機転を利かして「ストレスが原因」と言って許してもらえました。しかし、憤慨していたブリッツァーは「勝つために来たんだ!俺はそのつもりだからな!」と3人に厳しく叱りつけました。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:13.ジャマイカチーム、予選失格!?
この事件をきっかけに、チーム4人の団結力は強固になり、翌朝から4人は猛練習を始めました。日に日に、4人は確実にパワーをつけ、ボブスレーの滑走も形になって来ました。
そして、ついに予選が始まりました。ブリッツァーは、密かに注文していたジャマイカ国旗のデザインを模したユニフォームを、4人に着せ、レースに臨ませました。予選の通過タイムは、急遽、変更となり、1分を切らなければなりませんでした。ブリッツァーの昔のコーチ・カートのあからさまな嫌がらせでしたが、彼が審判をするので、文句は言えませんでした。ジャマイカチームの予選滑走が始まりました。ソリはボロソリのままですが、毎日、綺麗に整備はされていました。4人は息を合わせ、スタートしましたが、緊張で少し遅れてしまいました。しかし、その後の滑走は順調に行き、59.46秒と見事、予選タイムを通過しました。4人はそのボロソリをジャマイカの国旗色に塗り、かっこいいソリにし、「穏やかな旅を」という意味の「クール・ランニング」という名前をつけました。4人はブリッツァーと共に、予選通過を祝いました。しかし、その時、「予選落選。失格」の通知が来ました。怒り心頭のブリッツァーは、審判団のいる所に乗り込みました。ブリッツァーが失格の理由を尋ねると、「国際大会で記録を残してないからだ」と言われてしまいました。ブリッツァーの知っている規則ではそんな事はありませんでしたので、彼は審判団に食らいつきました。しかし、カートが今年から変更したと言ってきました。納得いかないブリッツァーは、なおも抗議をしました。ブリッツァーは、カートに「こんなやり方は間違っている。これは、あんたと俺との問題だろ」と言い出し、過去の自分の行った不正が原因ならどんな仕打ちでも受けると断言し、4人の選手には何の関係も罪もないと懇願しました。ブリッツァーの魂のこもった言葉に、審判団は心を動かされ、ジャマイカチームの予選通過が認められました。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:14.本戦開始!ジャマイカチーム、予想を反しての快走!
そして、1988年2月13日、カルガリー・冬季オリンピックが、開催されました。ジャマイカではみんながテレビの前で、デリースたち4人が、ジャマイカの国旗を持ち、行進する姿を見て、応援していました。いよいよ、本戦が始まるとき、ジュニアの父親がやって来ました。彼はジュニアを直ぐに連れて帰ろうとしましたが、ジュニアはユルが教えてくれた勇気の出る方法をして、父親に「僕は自分で決められるよ。大人の男だ!オリンピックの選手さ!」と男らしく言い切りました。ジュニアの言葉と姿を見た父親は、黙って去って行きました。本選が始まりました。初日、バキバキに緊張したジャマイカチームは、強豪のスイスチームの真似をしてスタートしましたが、上手く乗れず、スピードも出ずに自滅し、最下位のタイムでゴールしました。その夜、ホテルでブリッツァーは、明日までに緊張のほぐし方を身につけろと叱りとばしました。4人は考えました。サンカはスタートの時にスイスの真似をするのはやめて、自分たちのスタイルでスタートするべきだと言い始め、デリースと口論になりました。サンカは「最高の自分を出したい」と言うデリースに、「見た目も、歩き方も、話し方もジャマイカ式なら、ボブスレーだって、ジャマイカ式でいく」と言い諭しました。次の日・第2日目、4人は会場に大声でレゲエのリズムでラップを歌いながら、入ってきました。そして、滑走スタートのとき、4人は「リズムを感じろ」「ゴールまで突っ走れ」「クール・ランニング!」と掛け声を合わせて、強豪スイスより速いタイムでスタートをきりました。4人はすばらしい滑走をし、自己ベストタイムをたたき出し、8位に入りました。そして、見ていた人々を驚かせました。その様子は、テレビ中継で見ていた本国ジャマイカの多くの人々を、喜ばせました。その夜、ホテルの部屋でデリースがコースの写真を見ながら、イメージトレーニングをしていると、ブリッツァーがやって来て、食事に誘ってきました。デリースはトレーニングの最中だったので、それを断りました。デリースは気になっていたブリッツァーの過去の不正のことを、質問しました。ブリッツァーは「俺はずっと勝ってきた。だが、そうしているうちに、負けは許されなくなる。…金メダルは最高だよ。だが、それよりも大切なものがある。…ゴールした時に分かるさ」と言い、部屋を出ていきました。
クール・ランニングのネタバレあらすじ:15.本戦最終日、金メダル圏内のジャマイカチームの滑走
翌日・本戦最終日、最後のレース、2日目にベストタイムを出したジャマイカチームにも、金メダルの可能性がありました。今やジャマイカチームには、隠れファンが大勢いました。デリースたち4人は、2日目同様、好スタートを切りました。滑走は好調でした。タイムもすばらしく順調でしたが、綺麗にジャマイカ色に塗り、万全の整備をしても使い古しのソリが問題でした。途中でソリの金具が振動に耐えきれず外れてしまい、ソリが壊れて、コントロールが利かなくなり、カーブ部分で激しくクラッシュしてしまいました。そのまま、暫く4人はソリの下敷きになりながら、自然滑走してゴール近くでようやく止まりました。心配した観客たちが、彼ら4人の無事を祈りながら、寄ってきました。4人は暫く、意識を失っていました。デリースは目を覚まし、目の前のゴールを見ると「ゴールするぞ」とサンカ、ユル、ジュニアに声をかけました。
クール・ランニングの結末:クール・ランニング。金メダルより大切なもの…
救急の人たちが駆けつけて来ましたが、4人は起き上がり、ソリを肩に担ぎながら、ゴールを目指しました。それを見ていた選手の1人から拍手が出てきました。それを機に1人、2人と次第に自然に拍手が起き、最後には観客・選手たちみんなが、ジャマイカチームを拍手で讃えました。ブリッツァーを毛嫌いし、嫌がらせをしていたカートも、拍手でデリースたちを讃えました。4人は大歓声と拍手の中、ゴール目指しました。ジュニアの父親も観戦していました。彼はジュニアに上着を開き、ジャマイカの応援シャツを見せました。デリース、サンカ、ユル、ジュニアは堂々とゴールしました。4人は互いにハグし合い、健闘を讃え合いました。ブリッツァーも4人とハグし合いました。デリースはこのオリンピックで、金メダルを獲得することよりも大切なことを知りました。あるカメラマンが、ブリッツァーを中心にデリースたちの記念写真を撮りました。その写真をジャマイカのオリンピック委員会会長は、デリースの父親の写真の横に飾りました。彼らは英雄として、祖国に迎えられ、4年後のオリンピックでは、強豪の貫禄を見せました。
「クール・ランニング」感想・レビュー
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字幕で見ると、所々ジャマイカPATOWAを喋っていたり、特にサンカは訛りが強かった。諦めてレゲエバンドをやれと叱られていたり、曲がJIMMY CLIFFだったり、最近レゲエにハマりはじめた人は見ててきっと楽しいと思う。
最後に四人がソリを担いでゴールしたシーンは今でも強烈に頭に残っています。
内容自体は王道な作品といえますが、ジャマイカの陸上選手たちがボブスレーで冬季オリンピックに出場するという実話に基づいたストーリーはそれだけで面白さをかき立てられてアイデアの段階で勝利と呼べる作品です。
なにより明るいジャマイカの国民性が作品全体を通して感じられて、コメディチックに描きつつストーリーに重みをもたせることができた点が、シンプルかつ面白い名作を生んでいると感じました。