リオ・ロボの紹介:1970年アメリカ映画。ハワード・ホークス監督とジョン・ウェインのコンビによる西部劇映画「リオ・ブラボー」「エル・ドラド」に続く三部作の完結編で、無法者が支配する町リオ・ロボを舞台に南北戦争帰りの強者たちが裏切り者を巡って激しい抗争を繰り広げるストーリーです。
監督:ハワード・ホークス 出演者:ジョン・ウェイン(コード・マクナリー)、ホルヘ・リベロ(ピエール・コルドナ)、ジェニファー・オニール(シャスタ・デラニー)、ジャック・イーラム(フィリップス)、ヴィクター・フレンチ(ケッチャム)ほか
映画「リオ・ロボ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「リオ・ロボ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「リオ・ロボ」解説
この解説記事には映画「リオ・ロボ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
リオ・ロボのネタバレあらすじ:起
南北戦争末期。北軍のマクナリー大佐(ジョン・ウェイン)は兵士たちに支給される給料を積んだ金塊輸送列車の護衛の任に就いていました。ところが、列車は南軍のコルドナ大尉(ホルヘ・リベロ)率いる部隊に襲撃され、マクナリーは親友フォーサイス( ピーター・ジェイソン )を失い、自身も捕えられてしまいます。しかし、マクナリーは辛うじて脱出に成功するとコルドナとその部下タスカロラ(クリス・ミッチャム)を捕えて捕虜にします。
リオ・ロボのネタバレあらすじ:承
やがて戦争が終わり、マクナリーは解放されたコルドナら元捕虜たちと酒を酌み交わし、北軍の中に南軍に情報を売った裏切り者がいることを聞き出します。コルドナは裏切り者は2名で、身元こそ知らないものの1人は大きな黒髪の男、もう1人は薄い白髪の男であると告げます。その後、マクナリーは友人のクローニン(ビル・ウィリアムズ)が保安官をしている町を訪れます。そこでマクナリーは、テキサスのリオ・ロボという町から逃れてきた若い女性シャスタ(ジェニファー・オニール)を助け、追ってきた悪党たちを射殺します。シャスタはリオ・ロボを支配している悪徳保安官ヘンドリックス(マイク・ヘンリー)の一味に友人を殺され、自らも追われていたのです。
リオ・ロボのネタバレあらすじ:転
マクナリーは、後からやって来たコルドナから、射殺した悪党はヘンドリックスの一味であり、ヘンドリックス一味の中に裏切り者がいると知ります。コルドナはリオ・ロボに牧場をもつ南軍時代の戦友タスカロラが、リオ・ロボを牛耳る悪党のボス・ケッチャム(ヴィクター・フレンチ)の一味に牧場を乗っ取られようとしており、助けに向かっているところでした。マクナリーとシャスタはコルドナに加勢し、共にリオ・ロボに向かいます。マクナリーはケッチャムこそが裏切り者の1人に違いないと睨んでいました。リオ・ロボに着いた3人は、タスカロラが馬泥棒の濡れ衣を着せられて逮捕され、彼の祖父フィリップス(ジャック・エラム)が捕えられていることを知ります。3人はフィリップスを救出しますが、マクナリーが収監されているリオ・ロボの留置所は守りが固く、まともな攻撃では敵わないとみたマクナリーらは作戦を立てます。
リオ・ロボの結末
マクナリーらはケッチャムの牧場を襲って彼を締め上げ、ケッチャムこそが裏切り者の1人であることを知ります。マクナリーはコルドナを近くの騎兵隊の砦に通報に向かわせると、ケッチャムをリオ・ロボのヘンドリックスの元に連れて行き、タスカロラとケッチャムとの人質交換をしようとしましたが、コルドナはヘンドリックス一味に捕まってしまいます。やむなくマクナリーはケッチャムとコルドナの人質交換に臨みますが、隙を突いて逆襲に転じ、ケッチャム一味を倒すと逃げるヘンドリックスを倒します。リオ・ロボに平和が戻り、コルドナとシャスタは結ばれました。
「赤い河」(1948)を皮切りに、「リオ・ブラボー」(1959)、「ハタリ!」(1961)、「エル・ドラド」(1966)と、ジョン・ウェインとのコンビで西部劇等の傑作を次々と放った、巨匠ハワード・ホークス監督にとって、この「リオ・ロボ」は、盟友ジョン・ウェインと通算5度目のタッグを組んだ遺作。
劇場公開時は、興行的にも批評的にも惨敗を喫してしまい、さすがにハリウッド史上屈指の巨匠でも、年齢による衰えは避けられないかと言われたそうだ。
しかし、「腐っても鯛」ならぬ「腐ってもホークス」。
確かに、ホークス&ウェイン・コンビ作の最高峰「リオ・ブラボー」とは比べるべくもない凡作かもしれないが、それでもなお、ハリウッド伝統の”王道的西部劇”の醍醐味を存分に味わえる、良質なエンターテインメント映画に仕上がっていると思う。
「リオ・ブラボー」と「エル・ドラド」に続く三部作の最終章とされるこの作品は、なるほど前二作と同じく、主人公たちが、保安官事務所に立て籠るという設定を用いている。
しかし、大きく違うのは、この作品の保安官ヘンドリクスが、悪者側だということだろう。
そういうわけで、敵の親玉ケッチャムを人質に、保安官事務所を占拠したマクナリーらは、ボスを奪い返さんとする保安官一味を相手に、攻防戦を演じることになる。
やっぱり、毎回同じことを繰り返すわけにもいきませんからね。
その一方で、軽妙なユーモアとハードなアクションを織り交ぜた、ノリの良い群像活劇という路線は、往時ほどの切れや勢いがないとはいえ、前二作をそのまま踏襲しており、色々な意味で、安心して楽しめる作品に仕上がっていると思う。
若い女性陣から”安全なおじさん”扱いされて、ふてくされるジョン・ウェインもとても可愛い(笑)。
当時、既に60代だったジョン・ウェインの動きが、やけに鈍くてアクション・シーンがキツイとか、その相棒コルドナ役に起用されたメキシコの若手トップ俳優のホルヘ・リヴェロに、ウェインと渡り合うほどのカリスマ性がないとか、なんだかんだで敵の一味が、ヘナチョコ過ぎるとか、色々と粗を探せばキリのない作品ではある。
そもそも、女性のセミヌードが出てくるあたりで、当時の若い観客世代を意識しているものの、それでもアメリカン・ニューシネマ全盛の時代に、この作品のような、”王道的西部劇路線”は、古臭く感じられたはずで、恐らく興行的・批評的な不振の原因は、その辺にもあったのだろう。
脇役陣で光っているのは、飲んだくれのクレイジーなフィリップス老人を嬉々として演じているジャック・イーラム。
「リオ・ブラボー」のウォルター・ブレナンに相当する役柄だが、西部劇の個性的な悪役俳優として鳴らした、ジャック・イーラムの芸達者ぶりが実に面白い。
敵陣へ侵入した際に、門番を片付けたフィリップス老人の「代わりに天国の門へ送ってやった」というセリフは、けだし名言だ(笑)。
これが初の大役で、「おもいでの夏」で私を虜にしたジェニファー・オニールも、鼻っ柱の強い女性シャスタを好演。
ジョン・ウェインの盟友ロバート・ミッチャムの息子クリストファー・ミッチャムは、「チザム」(1970)や「100万ドルの決斗」(1971)でも共演しており、恐らくデュークは、映画界の後見人として後押ししていたのだろうが、残念ながら期待されたほどのスターにはなれませんでしたね。
なお、顔面に傷を負ってセミヌードまで披露するアメリータ役のシェリー・ランシングは、その後、20世紀フォックスの製作部長やパラマウントのCEOを歴任して、ハリウッド史上、最初の女性モーグルになりましたね。
また、ジョン・カーペンター監督作の常連俳優ピーター・ジェイソンが、冒頭で転落死するマクナリーの部下フォーサイス中尉を演じているのも要注目ですね。