ナイル殺人事件の紹介:1978年イギリス映画。ベルギーの名探偵エルキュール・ポアロの活躍を描くミステリー作品。ナイル川クルーズに参加していたポアロは、美貌の資産家リネットと知り合う。彼女は乗客全員から悪感情を持たれていた。ポアロが悪い予感を覚えて間もなく、リネットは船内で何者かに殺害されてしまう。原作はアガサ・クリスティの小説『ナイルに死す』。
監督:ジョン・ギラーミン 出演者:ピーター・ユスティノフ(エルキュール・ポアロ)、ロイス・チャイルズ(リネット・リッジウェイ・ドイル)、サイモン・マッコーキンデール(サイモン・ドイル)、ミア・ファロー(ジャクリーン・ド・ベルフォール)、デヴィッド・ニーヴン(ジョニー・レイス大佐)ほか
映画「ナイル殺人事件」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ナイル殺人事件」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ナイル殺人事件」解説
この解説記事には映画「ナイル殺人事件」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ナイル殺人事件のネタバレあらすじ:憎悪渦巻く豪華客船
若く美しい大富豪の娘リネット・リッジウェイ。最近財産を相続したばかりの彼女の元に、友人ジャクリーン・ド・ベルフォール(愛称ジャッキー)が訪ねて来ます。彼女は婚約者サイモン・ドイルを雇って欲しいと頼みに来たのです。翌日サイモンに会ったリネットは「申し分ないわ」と微笑み、ジャッキーから彼を奪って結婚してしまいました。それを恨んだジャッキーは2人をつけ回すようになり、ハネムーン先のエジプトにまで現れます。ドイル夫妻はジャッキーのつきまといに苛立ちます。その様子を、偶然ベルギーの私立探偵エルキュール・ポアロが目撃していました。ポアロはナイル川クルーズに参加するため豪華客船に部屋を取っていましたが、彼らもまた乗客のようです。乗客の中には、ポアロの友人レイス大佐の姿もありました。他の乗客は、リネットの管財人で横領の疑惑があるアンドリュー・ペニントン。リネットのメイドであるルイーズ・ブルジェ。富豪の老婦人マリー・ヴァン・スカイラーとその使用人バウァーズ。作家サロメ・オッタボーンとその娘ロザリー。社会主義の青年ジェームズ・ファーガスン。そして医師のベスナーです。彼らは皆好ましくない感情をリネットに抱いていました。ポアロは悪い予感を覚えます。
ナイル殺人事件のネタバレあらすじ:発砲事件
夕食後、船内のサロンにはサイモンとジャッキー、そしてジャッキーに引き止められたロザリーの姿がありました。酔っ払ったジャッキーはサイモンを強く詰ります。頭に血が上った彼女はバッグから小型の銃を取り出し、衝動的にサイモンの脚を撃ってしまいました。サイモンは痛みに苦しみながら、ジャッキーを船室に連れて行くようロザリーに頼み、騒ぎを聞きつけてやって来たファーガスンも手伝います。パニックに陥るジャッキーに付き添って貰うためバウァーズを呼び、サイモンの治療のためベスナーを起こすなど、ロザリーとファーガスンはあちこち行ったり来たりします。その後ジャッキーが落とした銃をファーガスンが回収に向かいましたが、何故か銃はどこにもありませんでした。そして翌朝、ルイーズの悲鳴が響きます。船室のベッドでリネットが射殺されていたのです。
ナイル殺人事件のネタバレあらすじ:捜査
早速事件の捜査を始めたポアロとレイス大佐。リネットはこめかみを至近距離から銃で撃たれたようだとベスナーが言います。殺害に使われた銃は小型のもの。そして壁には「J」という血文字が残されていました。ダイイングメッセージのようですが、ベスナーは即死したリネットが遺せるはずはないと断言します。どうやら誰かがジャッキーに罪を着せようとしているようです。犯行時刻は0時から2時の間。一晩中バウァーズに付き添われ眠っていたジャッキーと、脚を負傷したサイモンは容疑者から外れます。しかし2人以外の乗客は全員犯行が可能であり、それぞれ動機になり得る事情も抱えていました。ポアロは「一番不可解なのは銃だ」と語ります。リネット殺害に使われた銃は未だ発見されていません。その後川底から2回発砲したジャッキーの銃が見つかり、それはハンカチ、灰皿と一緒にスカーフに包まれていました。スカーフは昨夜スカイラー夫人が紛失したものです。
ナイル殺人事件のネタバレあらすじ:第2、第3の殺人
夕食前、回復したジャッキーがサイモンとの面会を希望します。ポアロ達は気を利かせしばらくの間彼らを2人きりにします。謝るジャッキーに、サイモンの態度も軟化したようでした。しかし夕食中にルイーズの遺体が発見されます。彼女の手には紙幣の切れ端が握られていました。彼女はリネット殺害の犯人に気付き、脅迫して金を取ろうとしたところを殺害されたようです。更にルイーズ殺害犯を目撃したと言うサロメも射殺されてしまいました。たて続く殺人事件に憤るポアロでしたが、彼には既に犯人が分かっていました。ポアロは乗客を全員サロンに集めます。
ナイル殺人事件の結末:真犯人
リネット殺害は計画的犯行だったと指摘するポアロ。犯人が銃を隠したのは、ポアロ達の知らない「未知の一発」があるからだと語ります。彼はリネット殺害の犯人はサイモンだと告げました。サイモンはジャッキーには撃たれておらず、血のように見えたのは赤いインクだったのです。ロザリー達がジャッキーを部屋に連れて行っている間、1人になったサイモンはリネットを射殺。その後急いでサロンに戻り、ストール越しに自分の脚を撃ったのです。新しい弾を装填して2発しか撃っていないように見せかけ、銃とハンカチ、灰皿をストールで包んでナイルに捨てました。しかしポアロは、サイモンは共犯者に過ぎないと言います。首謀者はジャッキーでした。今も愛し合う2人は協力してリネットを殺害し、その遺産を手に入れる計画を立てていたのです。犯行を知ったルイーズとサロメを殺害したのもジャッキーです。追い詰められたジャッキーは、「もうダメ。終わりよ」と罪を認めました。ポアロの目を盗んで銃を取り返したジャッキーはサイモンを射殺、すぐに自身の頭を撃ちました。こうして事件は解決し、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画ナイル殺人事件のあらすじと結末でした。
豪華客船で起きた殺人事件を名探偵ポワロが犯人を暴くアガサ・クリスティ原作の映画。個人的乾燥ですが、クリスティの小説には(全てとは言えませんが)、ある種のワンパターンがあるように思えます。それは犯人の設定についてです。例えばこの「ナイル殺人事件」「クリスタル殺人事件」(原作「鏡は横にひびわれて」)等の犯人の設定です。これ以上触れるとネタバレになるので言及はしませんが。ただ、この「ナイル殺人事件」を観たときは前述のときとは違い、まだクリスティのことを殆ど知らずに観た映画だったので新鮮な気持ちで楽しめた記憶があります。