かげろう絵図の紹介:1959年日本映画。天保11年、大御所徳川家斉の信任を得て権勢をふるう中野石翁は13代将軍の座をめぐって陰謀をめぐらす。反石翁派のために大奥でスパイを務める妹と、恋人の新之助ともども陰謀に巻きこまれる姉の二役を山本富士子が演じる。
監督:衣笠貞之助 出演者:市川雷蔵(島田新之助)、山本富士子(登美 / 豊春)、滝沢修(中野石翁)、黒川弥太郎(島田又左衛門)、志村喬(良庵)、木暮実千代(お美代の方)、柳永二郎(徳川家斉)
映画「かげろう絵図」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「かげろう絵図」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「かげろう絵図」解説
この解説記事には映画「かげろう絵図」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
かげろう絵図のネタバレあらすじ:暗躍する中野石翁
天保11年、11代将軍徳川家斉は既に息子の家慶に将軍職を譲って大御所となっていたが実権を手放すことはなかった。家斉の愛妾お美代の方の養父として大奥と大御所に強い影響力をもつ中野石翁は、お美代の方の娘が加賀前田家に嫁いで生んだ竹千代を将軍世継ぎにしようとしていた。一方、石翁一派による政治の乱れを正そうとする寺社奉行脇坂淡路守は無役の旗本島田又左衛門に育てられた登美を大奥のスキャンダルをスパイさせるために大奥の女中として送り込んでいた。特に、お美代の方の若いライバルだった多喜の方がそれに足を滑らせたせいで命を失った踏み台の行方を登美はさぐっていた。しかし、お美代の方の庇護を得てたちまち出世してきた登美に疑いの目を向けた石翁は町奉行所の与力を使い、休暇で島田又左衛門を訪れる彼女を監視させるのだった。登美は、又左衛門の屋敷を訪れた姉の豊春(お春)とも久々に会う。富本節師匠の豊春は又左衛門のおいで剣術師匠の牢人、島田新之助といっしょに暮らしていた。新之助はおじが寺社奉行の片棒をかつぐことにも登美をそれに巻き込むことにも批判的だった。
かげろう絵図のネタバレあらすじ:菊川の懐妊
その日、新之助の隣に住む医師良庵が往診を頼まれる。病人は妙仙寺代参の際に体調を崩した大奥の中年寄、菊川だった。診断は懐妊。彼女は前田家用人でありながら石翁とも通じている奥村大膳と密会を重ねていたのだった。石翁は竹千代を将軍世継ぎにするという大御所の口約束を得たが、お墨付きを書く前に大御所が病に倒れてしまう。しかし、それで野望を捨てる石翁ではなかった。菊川は大奥の勤めをやめて子供を産むと言い張るが、石翁は大膳を通じて石翁の計画を知りすぎていた菊川を殺させて心中の片割れに見せかける。
かげろう絵図のネタバレあらすじ:良庵の行方
石翁はさらにスキャンダル露見を恐れて良庵の命も狙う。一度は隣の新之助の働きで襲撃を逃れるが、結局良庵は石翁の屋敷に連れ込まれてしまう。新之助は良庵の行方をさぐるために石翁の屋敷に忍びこみ、良庵の診た大奥女中のものと思われる持ち物を発見するのだった。そしてその日見つかった水死者がその女中であると確信する。そして、おじの又左衛門に登美がもたらした情報とつき合わせて水死者が菊川とわかる。
かげろう絵図の結末:姉妹の危機
多喜の方が足を滑らせた踏み台は添番の侍、落合が隠していたことがわかった。だが、彼はそれを餌にしてかねてから思いを寄せていた登美を自分の女にしようとするのだった。だが登美もまた落合をつかって情報を得ようとする。石翁の策略のせいで大御所は将軍に対して激怒し、ついに竹千代を将軍世継ぎにするというお墨付きを書く。菊川が殺された時の着物を手に入れた新之助はそれを石翁の庭の木にかけて石翁をおびき出して良庵の安否を問う。しかし、多数の侍が現れたのでどこかに身を隠す。帰宅しない新之助が心配で石翁の屋敷を見に来た豊春は警護の侍にあやしまれてつかまってしまう。彼女の歌声を聞きつけた石翁は彼女が登美の姉であることを察知する。そこへ、大御所危篤の報が届くのだった。豊春の命が危ないと見て新之助が姿を現す。奥村大膳をはじめとする侍たちの相手を引き受けて豊春を逃がす。さらに登城しようとする石翁の手から彼が「お墨付き」と呼んだ書状を奪い取るのだった。多数の侍に囲まれた新之助はお墨付きを持ちかえることができるのか、それとも石翁がそれを奪い返すのか。
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