ペインレスの紹介:2012年フランス,スペイン,ポルトガル映画。スペイン、フランス、ポルトガルによるホラー映画。生まれつき痛覚を持たないという、特殊な生まれの子供達。社会にとって危険な存在とみなされた彼らは、その生涯を監禁下で暮らす運命だった。しかし、戦争により多くの命が失われた時、たった1人生き残った少年は、ドイツ軍による恐ろしい陰謀に巻き込まれていく。ファン・カルロス・メディナ監督の劇場長編デビュー作。
監督:ファン・カルロス・メディナ 出演者:アレックス・ブレンデミュール(ダビッド・マルテル)、フェリックス・ゴメス(アダン・マルテル)、トーマス・レマルキス(ベルカノ)、デレク・デ・リント(ホルツマン)、ラモン・フォンセレ(カルセド)、ベア・セグラ(マグダレーナ)、ジュディス(シルビア・ベル)ほか
映画「ペインレス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ペインレス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ペインレスの予告編 動画
映画「ペインレス」解説
この解説記事には映画「ペインレス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ペインレスのネタバレあらすじ:起
1931年、スペインのとある小さな村。痛みを全く感じないという原因不明の病、「無痛症」の子供達が次々と誕生します。自傷行為を繰り返す彼らは極めて危険な存在とされ、カンフラン刑務所で無期限に監禁されることになります。ドイツから来た科学者ホルツマンは、子供達が普通に生きるための研究を始めます。しかし5年後、内戦により刑務所はアナキスト達の占領下に。食料や薬は全て彼らに横取りされ、子供達は飢えや病で息絶えていくのでした。そして現代。優秀な医者であるダビッドは、身重の妻を乗せて車を運転中、事故にあい病院に搬送されます。生まれた息子は助かりますが、妻は死亡。命をとりとめたダビットも、検査で白血病を発症していることが判明します。身内による骨髄移植が必要だといわれたダビッドは、実家の両親を頼ります。ところが彼らは移植を拒否。母親は、ダビッドが実の息子ではないと告白するのでした。
ペインレスのネタバレあらすじ:承
1960年代、カンフラン刑務所に看護婦として勤務していた母親。初めての子を流産でなくして悲しんでいた彼女に、夫はどこからか赤ん坊をもらってきます。それがダビッドでした。命を繋ぐためには実の母親を見つけるしかないと言うダビッドに、なぜか父親は猛反対します。疑惑にかられたダビッドは、現在は廃墟となったカンフラン刑務所を訪れます。そこから当時、刑務所を陣取っていたアナキスト同盟の元会長という男にたどりつきます。男の兄であるホセという男は、ドイツ軍の激しい拷問によって今も病院のベッドの上でした。当時の話を聞かせてほしい言うダビッドにホセは、恐ろしい過去を思い出します。1940年。荒れ果てたカンフラン刑務所にやってきたドイツ軍。彼らがそこで発見したのは、たった1人生き残っていた少年、ベニグノでした。彼は、無痛症の子供の中でもホルツマンが唯一「不思議な能力がある」と言っていた存在でした。ドイツ軍は、異様な姿をしたベニグノに「ベルカノ(再生)」という名前をつけ、軍事に利用することを企んだのでした。
ペインレスのネタバレあらすじ:転
1955年。ホセは、共産主義の片棒を担いだとして捕えられました。ドイツ軍の「人間兵器」であるベルカノから残虐極まりない拷問を受け、それでも奇跡的に脱出して今、ベッドに横たわるホセ。ダビッドは、彼に1枚の写真を見せます。その途端ホセは半狂乱になり、叫びます。「“贖罪司祭”だ!」。ダビッドが見せたのは、自分の父親の写真。父親が、ベルカノを操って拷問を行っていたのです。1963年。ベルカノのいる尋問室に、1人の女性が拘束されます。恐怖に怯えきっている彼女を見つめるベルカノ。しかし、彼が女性を傷つけることはありませんでした。それどころか、彼女を守ろうとかくまう様子を見せるのです。“贖罪司祭”の妻は、流産で子供を亡くしていました。彼は、ベルカノと女性の間に生まれた子供を渡せば、2人の命を助けてやると言います。ベルカノから子供を受け取った司祭は、2人の住む部屋に鍵をかけて扉を封じ、殺すつもりで置き去りにしたのでした。
ペインレスの結末
全てを知ったダビッドが両親の家へ戻ると、母親はバスタブで亡くなっていました。真っ暗な部屋でソファーに座った父親は、長年の恐怖と後悔と息子への愛情を語り、ダビッドの目の前で銃口をくわえ自殺します。再び刑務所を訪れたダビッドは、ベルカノと女性が閉じ込められた部屋の壁を崩し、中に侵入します。無人の部屋の壁には穴が開いており、遠くへ続いていました。ダビッドは先へ先へと這っていき、小さな部屋に辿り着きます。ろうそくで囲んだ祭壇めいた場所に、1人の女性の遺体が横たわっていました。彼女こそ、ダビッドの母親でした。ダビットの背後に、年老いたベルカノが近寄ります。彼はダビッドを襲おうとしますが、まっすぐに自分を見つめる侵入者の目を見た途端、自分の息子だと気がつきます。ベルカノはダビッドを放し、無言のまま妻の遺体に近づくと、抱き上げます。ろうそくが倒れ、またたく間に炎が2人を囲みました。ベルカノはダビッドを見つめています。ダビッドも父親を見つめたまま、その場に立ち尽くします。炎に包まれる瞬間、ダビッドは、病院にいる自分の息子を思うのでした。
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