キャプテン・フィリップスの紹介:2013年アメリカ映画。ソマリア沿岸を航海していた貨物船マークス・アラバマ号は海賊の襲撃を受ける。船長フィップスは流血沙汰を避けようと海賊と攻防を繰り広げるが連れ去れてしまう。軍が駆け付け特殊部隊の突入が迫る中、フィリップスは自分の為、海賊の為にも必死の説得を続ける。海賊せざる得ないソマリア漁師達の実情も描く、マークス・アラバマ号乗っ取り事件を元にした社会派映画。
監督:ポール・グリーングラス 出演者:トム・ハンクス(リチャード・フィリップス船長)、バーカッド・アブディ(ムセ)、バーカッド・アブディラマン(ビラル)、ファイサル・アメッド(ナジェ)、マハト・M・アリ(エルミ)、ほか
映画「キャプテン・フィリップス」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「キャプテン・フィリップス」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
キャプテン・フィリップスの予告編 動画
映画「キャプテン・フィリップス」解説
この解説記事には映画「キャプテン・フィリップス」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
キャプテン・フィリップスのネタバレあらすじ:起
リチャード・フィリップス船長(トム・ハンクス)は家族をアメリカに置き、単身アデン湾よりモンサバを目指す貨物船マークス・アラバマ号に乗船するため、飛行機に乗り込みました。送ってくれる妻は、年々長い別れが辛くなると言い、フィリップスは変化の早い世の中を生きる子供達の心配をします。
ソマリア、マイルの浜辺では、軍閥の手先が浜辺の村へやって来て、村人が海賊に出ない事を叱責し、将軍に献上する金を工面するため、男達を選抜し、海へ出ます。痩せこけ、興奮作用のある葉を噛む男達、ムセ(バーカッド・アブディ)もその一人でしたが、彼は将軍の手先が仕切る事への不満を感じていました。
フィリップスは港で船に乗り込みます。部下に防護策の鍵が掛かっていない等の不備を指摘し、航路を確認します。船はソマリア海盆を通過するため、警備状況の強化が必須だと告げ、出航しました。外洋に出たアラバマ号は何事も無く航海を続けていました。
ソマリアを出発したムセ達海賊は獲物を物色します。彼等は船団は避け、単独航行している船を狙っていました。フィリップスは海洋当局が流す広報で、海賊活動が活発になっているのを知ります。それを受け彼は、抜き打ちの緊急対応訓練を行うと部下に命じます。救助、そして海賊対策の手順を確認する訓練です。訓練はつつがなく行われましたが、レーダーが2隻の小型船が近付いているのを感知します。フィリップスは海賊の接近と判断し、船内に警戒態勢をとります。
速度を上げたり蛇行し波を立てても海賊は接近を止めないので、フィリップスは向こうが無線を傍受しているはずと思い、近くの警備艇と連絡を取り合っているような一人芝居を始めます。それを聞いた海賊のリーダーは撤退を命令しますがムセは従わず、彼の指揮するボートは貨物船に接近し続けます。しかし、ボートのエンジンが故障し、断念せざる得ませんでした。フィリップスはそれを双眼鏡で確認し安堵します。その向こう、ムセもまた双眼鏡を覗きこみ睨み付けていました。
キャプテン・フィリップスのネタバレあらすじ:承
夜、貨物船でミーティングが開かれます。フィリップスは船員達を労いますが、船員達からは寄港地の変更を要求する声が上がります。しかし目的地以外の寄航は選択できないと、フィリップスは強く彼等をたしなめます。
フィリップスは家族への近況をEメールで送ろうと今日の出来事を打ち込みます。しかし、全て削除し順調だと打ち直しました。海賊達の方ではムセと将軍の手下が険悪な状況になっていました。ムセは、警備艇が近くに居ると思い、慎重に行こうとする手下を殴り倒し、実質リーダーとなって再度襲撃を掛ける事を皆に命じます。
翌朝、ムセ達は襲撃を掛けます。今回は1隻のみでした。フィリップスは逃走を図りながらUS海事局に連絡を取り、現状を報告し、対応を要請します。ムセは接舷を試みますが、貨物船は放水や信号弾を打ち込みながら抵抗を続けます。ムセ達も発砲を繰り返し、遂に貨物船への乗り込みに成功します。
フィリップスは機関を停止し、船員達に機関部へ隠れる事を命じます。ムセ達はブリッジに飛び込んで来て、フィリップスと残っていたブリッジ要員に銃を突き付け、金を要求します。フィリップスはそれに怯えながらも対応します。ムセは彼がヤンキー(アイルランド系アメリカ人)だと名乗ったのでアイリッシュと呼び、交渉を進めます。ムセは船員の姿が見えないので船内放送を使い、出てくるよう要求し、従わない場合はブリッジの人質を殺すと宣言します。フィリップスは金が目的なのだから殺しは無意味だと訴えます。ムセは思い直したように彼を案内人に船内の捜索を始めます。
ムセは少年のビラル(バーカッド・アブディラマン)を伴い機関部を真っ先に捜索しようしますが、フィリップスはうまく誘導して食料のあるキッチンから案内します。キッチンに隠れていた船員達が彼等の接近を知り、目立つ所に飲料水のケースを置きます。キッチンには先程の騒動でガラス片が撒き散らされていて、裸足のムセ達は行動を制限します。
ムセ達が去った後、見付からなかった船員達は、機関部の仲間に無線で連絡を取り、ガラスを撒くよう指示します。機関部に辿り着き、入ったビラルがガラス片を踏んで怪我を負います。また他に逃げ回っている船員の仕業で機関部の電気が落されます。フィリップスは事故と故障だと言いますが、ムセは偶然の訳がないと不信感を抱きます。フィリップスはビラルの手当てをしようと説得します。ムセはフィリップスとビラルをブリッジに戻し、一人で捜索を続けます。ムセは勝手もわからない暗闇に難儀します。そこを潜んでいた船員達は一斉に襲い掛かり、銃を奪い取りました。
キャプテン・フィリップスのネタバレあらすじ:転
ブリッジに戻ったフィリップス達は、無線でムセが捕縛された事を知らされます。ムセは仲間のナジェ(ファイサル・アメッド)に船員達の言う事に従えと命じます。フィリップスは、ブリッジの金庫にある3万ドルと救命艇で手を引けと取引を持ちかけます。ムセは文句を言うナジェを黙らせ、それで手を打ちました。救命艇で双方は顔を合わせます。後はムセ達を追い出すだけでしたが、彼等は船員達の隙を突き、フィリップスを拉致して救命艇で逃走しました。
事件のために展開中のアメリカ艦艇に、フィリップスが誘拐された事が報告され、偵察のために無人機が飛び立ちます。ムセの方は仲間達と無線で連絡を取りますが、母船の方は合流の目処が立っていませんでした。ムセは、自分達の上役がフィリップスで身代金を取る計画を口にします。離れていく救命艇をアラバマ号は汽笛を上げ追尾を開始しました。岸まで36時間、アラバマ号は海軍の到着を待ちます。
救命艇は夜通し航行を続け、ムセ達にストレスが元の苛立ちが目立ち始めます。ムセは気を紛らせるようにフィリップスに「これは通行税だ」と語り始めます。彼等は漁師で、漁場は他国の立派な装備を持った船に荒され、生活もままならない窮状も話し始めます。フィリップスは、怪我に苦しむビラルの手当てを申し出て、許可が出たので応急手当をします。緊張をほぐすために話をしようとしますがナジェが禁じ、ナイフの使用も許されませんでした。
海軍の方では無人機が送ってくる情報から、海賊達の素性を割り出していました。大統領から上陸前に解決しろとの命もあり、特殊部隊が急行していました。母船と連絡は取れましたが、向こうはエンジントラブルで合流できず、貨物船から逃げ帰った事で将軍の怒りを買っているようでした。ムセはフィリップスに、以前ギリシャの船を襲った時に600万ドルせしめたと言います。フィリップスはそれは誰の懐に入ったかと聞きますが、ムセは答えませんでした。ここで止めればお互い利益になるというフィリップスにムセは耳を貸しません。
そんなムセにフィリップスは、もう君は漁師ではないと口にします。ムセ達のストレスは頂点に達し、艇内で惨劇が起きかねない状態になります。その時、鋭い警笛がなりました。海軍が追い付いてきたのです。フィリップスは喜びます。海軍から通信が入り、彼の解放交渉を始めます。そんな時、アラバマ号が離れていきました。ムセはフィリップスに見捨てられたと言いますが、彼は海軍が突入作戦が近い事を感じます。
キャプテン・フィリップスの結末
海軍はムセ達に食料の差し入れをして、フィリップスの無事を確認させるよう要求します。ムセは応じ、フィリップスを外に出します。フィリップスは海軍に自分の座席番号をそれとなく教えます。ムセはフィリップスを艇内に戻し、1000万ドルを要求します。ムセ達はいつの間にか海軍に取り囲まれていましたが、変な余裕を見せ、フィリップスに感謝し、アメリカへ行くと冗談を言い出します。フィリップスは皆殺しに遭うと声を張り上げますが、ムセは諦めませんでした。
刻々と作戦が近付く中、フィリップスは隙を見て海に飛び込み逃げ出します。彼の目に特殊部隊が降下してくるパラシュートが目に入ります。そして彼は、再びムセ達に捕らえられてしまいました。ナジェが興奮して「フィリップスを殺す」と言い出します。操舵するエルミ(マハト・M・アリ)などが止めますが聞かず、ムセが彼を止めました。しかしムセ達がフィリップスの殺害が堪えきれないのは目に見えていて、海軍は「金の準備が出来た」とムセを艦に誘き寄せます。
フィリップスは突入作戦が最終段階に入っている事を察したかのように、駆逐艦へ向かうムセに「3万ドルで手を打っていれば」と言います。ムセは「上からの締め付けがある」と答えます。フィリップスは「漁師なら海賊しなくて良かっただろうに」と重ねて言うと、ムセは「アメリカならそれで良い」と言い残し、海軍艦へ向かいました。
ムセを連れて行く水兵は、フィリップスに目印となる服を与え、それとなく突入する事を告げます。海軍艦に乗ったムセは金を要求しますが水兵達は適当にはぐらかしました。海軍が突入準備を整えた事を勘付いたフィリップスは、ビラルが止めるのも構わず遺書を書き始めます。それを見とがめたナジェはフィリップスに殴りかかりました。ナジェ達と逆上するようなフィリップスはとっ組み合いを始め、フィリップスはビラルに「皆死ぬぞ、降伏しろ」と訴えます。気が動転しているフィリップスは叫び始め、ナジェは彼に銃を向けます。
その時、特殊部隊の一斉狙撃で海賊達は全員射殺されました。血まみれの船内でフィリップスは泣き叫びます。それを海軍が救助しました。その報告を受け海軍艦では、ムセを逮捕します。彼は仲間が全て射殺された事を聞かされ、裁判の為にアメリカへ連行されると告げられます。フィリップスは海軍艦で治療を受けます。淡々と処置を続ける軍医の前、様々な感情が高まり、彼は涙ぐみました。ショック状態でろくに受け答えも出来ませんでした、少しずつ事件の終了を実感していくようでした。
ムセはアメリカで懲役33年の刑を受け、フィリップスは無事家族のもとに戻り、また海上勤務へと戻っていきました。
以上、映画「キャプテン・フィリップス」のあらすじと結末でした。
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