太陽とバラの紹介:1956年日本映画。当時流行していた太陽族のモラルと人間性蔑視に対し、世代の違う木下恵介監督が対決姿勢を示した問題作。映画デビュー間もない中村嘉津雄がナイーブな青年を演じ、高い評価を得た。キネマ旬報ベストテンでは9位に入選。
監督:木下恵介 出演:中村嘉津雄(秋山清)、石浜朗(長谷正比呂)、沢村貞子(清の母)、久我美子(長谷敬子)、有田紀子(秋山薫)
映画「太陽とバラ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「太陽とバラ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「太陽とバラ」解説
この解説記事には映画「太陽とバラ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
太陽とバラのネタバレあらすじ:起
夏の盛りの湘南海岸、海水浴客で混み合っている中に険しい目つきをした青年・秋山清もいます。海に出ていた客の1人が溺れかけ、浜辺の客はそちらへ注目。その隙に、清は客の荷物を漁って盗みを働きます。実は仲間の次郎と長七がわざとその客の浮き輪に穴を開けたのでした。彼らはそんな犯罪行為で小金を稼いでいるのです。清の家族は母親と妹2人。貧しい長屋ぐらしで、母親は通いの家政婦をしながら造花を作る内職をしています。
太陽とバラのネタバレあらすじ:承
母親はまともに働こうとしない清に、「死んだ父親に対して恥ずかしい」と小言をいうのですが、闇屋だった父親のせいで学校でも虐められてきた清にとってはただ小うるさいだけです。それでも真面目に生きようという意思のある清は、母親が持ち込んできた就職話に応じる気になります。その職場は、母親が家政婦に通う長谷という社長の工場で、給与面では母親の内職などよりはるかに好条件でした。
太陽とバラのネタバレあらすじ:転
最初は真面目に勤める清ですが、仲間の次郎と長七の誘いもあって怠けるようになり、給与の前借りをして遊興に使ってしまいます。おまけに、社長の長谷の息子である正比呂が当時流行の太陽族であり、ナイーブなところのある清に興味を持ち、自分の不良グループに引き入れようとするのでした。正比呂は、清の妹である夜間高校生の薫にもちょっかいを出そうとしますが、兄と違ってしっかり者の彼女は正比呂の正体を見破って相手にしません。
太陽とバラの結末
やがて清は正比呂の子分のような形でそのグループと交わりますが、育ちの違う彼はその裕福な子弟たちと打ち解けることもできないのです。正比呂の家に泊まった清は、その姉である敬子が弟のせいで男から酷い目にあわされたことを知り、正比呂への憎悪をたぎらせていきます。再びその裕福な仲間の家で正比呂と会った清は、自分の妹や敬子を軽視する発言を繰り返す彼への我慢が限界に達し、そばにあった置物で正比呂の頭を殴打。彼は血を流して倒れ込みます。その場にいた博打仲間へも暴行を加えた後、清は倒れている正比呂へとどめを刺します。警官に追われ、慌てて逃げる清は母親と顔を合わせた後、電車の線路へ。そのまま向かってきた車両に身を投げ出し、自殺を遂げるのです。
この映画の感想を投稿する