素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店の紹介:2015年オランダ映画。人生に何の意味も見出せず、虚しい毎日を生きる大富豪の男。ふとしたきっかけで、“生涯でたった一度の旅”を請け負う代理店の存在を知る。男が依頼したのは、「サプライズな死」。だが、1人の美しい女性と知り合ったことで、色あせた日々が徐々に輝き始める。オランダの国民的人気コメディアン、イェルン・ファン・コーニングスブルッヘが悩み多き大富豪を演じる、ブラック・ユーモアたっぷりのシニカル・コメディ。
監督:マイク・ファン・ディム 出演:イェルン・ファン・コーニングスブルッヘ(ヤーコブ)、エリザベス・アンダーセン(ヤーコブの母)、ジョルジナ・フェルバーン(アンネ)、ヤン・デクレール(ムラ―)、ヘンリー・グッドマン(Mr.ジョーンズ)、テイマー・バルーク(マリッサ)ほか
映画「素敵なサプライズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「素敵なサプライズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
素敵なサプライズの予告編 動画
映画「素敵なサプライズ」解説
この解説記事には映画「素敵なサプライズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」のネタバレあらすじ:起
貴族で大富豪という40才のヤーコブ。たった1人の身内である母親を病で亡くし、広大な敷地にある城や何台もの高級車など、莫大な遺産を相続します。彼は、母親の葬儀で涙1つ流しません。ヤーコブに悲しいという感情はなく、財産への執着もありません。人生は虚しく、今の望みはただ1つ、命を絶つこと。森で首を吊ろうとしたり、車でガスを吸おうとしたり、何度も挑戦しますがそのたびに使用人に見つかり断念。使用人達を解雇し、執事長のムラ―に屋敷を売るぞと宣言したヤーコブ。雨の中、海で自殺を図ろうと車を走らせます。ところがそこで偶然、老人の自殺を幇助する謎の男達を目撃。彼らが落としたマッチ箱に書かれた文字「死後の楽園 終着地への案内人」を見て、住所のビルを訪れます。そこは“生涯一度の旅”を提供する代理店、自殺幇助の会社でした。これだと思ったヤーコブは、数あるプランから最も人気だという方法「サプライズ」を選びます。それは、日時も場所も方法も不明というプランです。ヤーコブが棺桶選びをしていると、同じくサプライズを申し込んだという女性、アンネが話しかけてきます。しかし客同士の接触は禁止というルール。2人は互いの成功を願い、別れます。
「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」のネタバレあらすじ:承
3日間が過ぎました。ヤーコブには何も起こりません。今日は金曜日。いつもなら母親とダンスに行っていたはず。ヤーコブはアンネを誘って出掛けますが、ダンスは苦手だと踊らないアンネ。会場を出た2人の目の前に、大きなトラックが突進してきます。ついに来たとヤーコブはアンネと手を繋ぎ立ちふさがりますが、なぜかトラックは彼らを避けて死ねず。ドキドキしたわと言うアンネに、ドキドキは味わったことがないと平常心のヤーコブ。翌日、朝刊を見たヤーコブは、アンネの働くビルで爆発事故があったと知ります。現場へ急ぐとアンネは無事。安堵したヤーコブは、彼女を屋敷へ招きます。ヤーコブの豪華な城を見たアンネはびっくり。彼女に好意を抱いたムラ―は、ヤーコブの生い立ちを話して聞かせます。ヤーコブは4才の頃、最愛の父親を事故で亡くして以来、全ての感情を失くしてしまったのだと。ジャガーを運転させてもらったアンネは、ヤーコブと海岸まで走ります。ヤーコブは砂浜でアンネにダンスを教え、2人の心は近づきます。そんな彼らを遠くからカメラで撮影する、怪しい男達の姿がありました。
「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」のネタバレあらすじ:転
その夜。ヤーコブはムラ―と“恋”について話します。「恋は理屈じゃありません」と言うムラ―。屋敷を売るつもりでいたヤーコブですが、ムラ―の小屋だけは残すことを決心。そして代理店に出向き、時期を延期してほしいと頼みます。しかし社長は、それは一時の気の迷いですと笑うだけ。ヤーコブの変化の原因がアンネだと気づいた社長は、即座に部下に命じてヤーコブを殺害しようとします。必死で代理店から逃げ出したヤーコブは、アンネを連れて車で逃走。2人の男達がすぐ後ろを追ってきます。運転が達者なアンネは、まんまと追っ手を振り切ることに成功。2人はホテルに泊まりますが、廊下に出たアンネがあの男達に捕まります。路地で待っていたのは代理店の社長と男達。社長はアンネの父親、そして男達はアンネの兄弟でした。彼女はヤーコブの自殺幇助を担当していたのです。殺害をためらうアンネを父親が叱ります。「我が社のモットー、慎重・品位・プロ精神はどうなる?」。明日の正午に必ず決行しろと言い残し、父親達は去って行きます。
「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」の結末
翌日。2人は、ヤーコブの狩猟小屋に身を隠します。しかし、ヤーコブはアンネが隠していた銃を発見。彼女こそが“サプライズ”だと気づきます。感情がなかったはずのヤーコブは、初めてアンネに怒りを感じます。2人はキスをし、互いへの愛情を確信します。屋敷を売るのをやめ、財産を手にして一緒に逃げようと言うヤーコブ。弁護士のフェルメールに電話をかけ、屋敷の売買契約を破棄しろと命じます。ところが、金儲けを企むフェルメールは命令を無視して契約を遂行。一方アンネは、父親に言います。「彼を愛してるの。それだけが大事よ」。娘を理解した父親は、ヤーコブを娘婿に迎えるための条件を提示します。それは、依頼者の1人を殺害すること。ヤーコブが依頼者の部屋を訪ねると、それはなんとムラ―でした。ムラ―は言います。「死んだ妻に会いたいのです」。ヤーコブにムラ―を殺めることなどできません。ところが、ヤーコブが目を離したすきにムラ―は亡くなります。アンネが言います。「彼はサプライズを選んではいない。“愛する人に看取られたい”と言ったの」。ヤーコブに、生まれて初めて“死”を悲しむ気持ちが湧きあがります。ムラ―の葬儀を終え、アンネと結ばれたヤーコブは、悪事を働いたフェルメールを首にします。うなだれたフェルメールの目の前に、代理店のマッチが落ちていました。
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