映画「ノベンバー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ノベンバーの紹介：2017年ポーランド, オランダ, エストニア映画。エストニアの寒村。11月の「死者の日」に蘇った死者たちは家族と一緒に食事をし、サウナに入る。精霊、人狼、疫病神が徘徊する中、貧しい村人たちは“使い魔クラット”を使役させて盗みを働きながら極寒の暗い冬を乗り切るべく、それぞれ思い思いに生きていた。そんな中、農夫の一人娘リーナは村の青年ハンスに一目惚れし、一途な想いを寄せているが、ハンスはドイツ人男爵の娘に恋い焦がれる余り、森の中の十字路で悪魔と契約を結んでしまう。原作は、エストニアの代表作家アンドルス・キヴィラフクの『レヘパップ・エフク・ノベンバー』。2018年アカデミー賞外国語映画賞のエストニア代表に選出された。
監督：ライナル・サルネット 出演：レア・レスト（リーナ）、ヨールツン・リーク（ハンス）、イエッテ・ローナ・エルマニス（男爵の娘）、アルボ・ククマギ（レイン）、ディーター・ラーザー（男爵）、ほか
この解説記事には映画「ノベンバー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
エストニアのとある寒村。
村人たちは貧しい生活を余儀なくされており、寒くて暗い冬をどう乗り切るか必死でした。
貴族に雇われた使用人の女は死にゆく主人のドレスを盗み、そのドレスを手に入れたい若き娘リーナは盗んだ指輪で交換を迫りました。村人たちは他人のものを盗み合いながら必死に生きていたのでした。
すると耳障りな金属音とともに怪しげな物体が現れました。魂が宿っているがごとく自立歩行し、隣人の牛を鎖でつないで空中に持ち上げ、主人の家へと届けました。この怪生物は使い魔クラットと呼ばれ、農具や廃材から作られたもので、操るためには「魂」を必要としていました。
クラットの魂は森の交差点で悪魔を呼び出し、3滴の血液と交換に手に入れることができましたが、村人たちはそれすらももったいないとカシスの実を捧げ悪魔をも騙すのでした。
11月1日。今日は諸聖人の日と呼ばれる万霊節です。森で死者たちが蘇り、自宅に帰ってごちそうを食べたり、サウナに入ったりして家族と共に過ごします。リーナも母親と束の間の幸せな時間を過ごしました。
リーナはこの日、村の若者ハンスと知り合い恋心をいただきます。しかし、リーナの父はだらしない身体の意地汚い農夫エンデルに、リーナとの結婚を約束してしまいます。
一方、ハンスはドイツ男爵の美しい娘に一目惚れしていました。リーナがどれほどハンスを想っても、ハンスはちっとも見向きもしませんでした。
男爵の娘の存在を知ったリーナは、村の老いぼれ魔女に相談をします。魔女は「その娘を殺すしかない」と言い、リーナに呪いのかかった矢を渡したのでした。
ある夜、男爵の館でじっと様子を見るリーナ。すると館の屋根の上に男爵の娘が現れました。娘は毎夜、寝装姿で屋根の際まで歩き出す夢遊病者でした。リーナは黙って見過ごすことができず、娘を助け出しました。
その頃ハンスは男爵の娘を自分のものにするために雪だるまのクラットを完成させていました。魂を得るために悪魔へ捧げるのはもちろん血ではなく3つのカシス。騙されたことを知った悪魔はハンスの魂を奪い取ってやると怒り狂いました。
クラットを手に入れたハンスは、男爵の娘を連れ出そうとします。しかしクラットは「人間を盗むことはできない、盗むことができるのは家畜と物だけ」と答えました。ハンスは絶望の淵へと叩き落とされました。
「ハンスの妻になりたい」
そう願うリーナに老いぼれ魔女は黒いドレスを用意しました。ドレスを身にまとい化粧をしたリーナはまるで貴族の娘のようでした。
リーナはドレスのままハンスのもとへとやってきました。雪だるまのクラットも溶けてなくなり、絶望から立ち上がれないハンスにそっと近づき、ただ黙ってひざまずくリーナ。ベールのせいでリーナだと気づかないハンスは、目の前に現れた美しい女性にすっかり心を奪われて一歩も動くことができませんでした。
その頃、男爵の娘は夢うつつのまま屋根を歩いていました。まるでハンスからの愛を失ったことを知ったかのように娘は屋根から落ち、死んでしまいました。
リーナはハンスのもとを去り、歩き出しました。背後に追いかけてくるハンスの気配を感じ、喜びをかみしめながら歩きます。しかし、自分を追い越していったのは悪魔に殺されたハンスを乗せた馬車でした。馬車は男爵の娘の遺体を乗せた馬車とすれ違いました。
絶望したリーナは湖へと身を沈めていきました。しばらく水中を漂っていると、葬られたハンスが現れたのでした。
以上、映画「ノベンバー」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する