マフィアは夏にしか殺らないの紹介:2013年イタリア映画。1970年代のシチリアを舞台に、フローラへの恋心を胸に成長していくアルトゥーロ。マフィアの抗争にまつわる暗黒時代の史実を交えながら描くヒューマンコメディ。本作に出てくる政治家やマフィアは実在の人物で、特に最後のデモのきっかけとなった2人の判事は、現在のパレルモ空港の正式名称にもなっている。イタリア・アカデミー賞やイタリア映画記者賞で見事新人監督賞を受賞し、2016年にはTVドラマ化され大ヒットを記録した、ピフことピエルフランチェスコ・ディリベルト監督の初監督作品。
監督:ピエルフランチェスコ・ディリベルト 出演:ピフ(アルトゥーロ)、クリスティアーナ・カポトンディ(フローラ)、アレックス・ビスコンティ(幼少期のアルトゥーロ)、ジネヴラ・アントーナ(幼少期のフローラ)、クラウディオ・ジョエー(フランチェスコ)、エンツォ・サロモーネ(ロッコ・キンニーチ)ほか
映画「マフィアは夏にしか殺らない」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マフィアは夏にしか殺らない」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「マフィアは夏にしか殺らない」の予告編 動画
映画「マフィアは夏にしか殺らない」解説
この解説記事には映画「マフィアは夏にしか殺らない」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マフィアは夏にしか殺らないの簡単あらすじ
マフィアは夏にしか殺らないの紹介:マフィアの横暴に住民は見て見ぬふりをして過ごすしかできなかった70年代のシチリア。幼少期のアルトゥーロを虜にしたのは、戦後40年に渡りイタリア権力の中心に君臨していたアンドレオッティ首相と転校生のフローラ。フローラへの恋心を唯一知っているのはキンニーチ判事だけだったが、ある日マフィアによって殺されてしまう。そしてフローラはスイスへ引っ越してしまい恋は叶わなかった。年を経てある出来事をきっかけに再会するが、マフィアと政治家の抗争は2人を引き裂いていく。1992年、反マフィア運動の筆頭者ファルコーネ判事とボルセッリーノ判事がマフィアに暗殺されたというニュースがイタリア中を駆け巡り、遂にパレルモ市民は立ち上がった。歴史に残る大規模なデモで、アルトゥーロとフローラは偶然の再会を果たし、めでたく結ばれた。
以上、「マフィアは夏にしか殺らない」の簡単あらすじでした。
続いて、より詳細なネタバレあらすじを解説します。
マフィアは夏にしか殺らないのネタバレあらすじ:起
1970年代のイタリアの首都パレルモ。ラツィオ大通りの虐殺の日にアルトゥーロのDNAは母の子宮へ着床しました。生まれてからもなかなか話すことをしなかったアルトゥーロでしたが、心配している両親をよそ目に初めて発した言葉は「マフィア!」でした。少しずつマフィアの横暴が見え始めた頃でしたが、住民は人が殺されても、「あいつは女癖が悪かったから仕方がない」などと、決してマフィアのせいにはせず、臭いものに蓋をした状態ですごしていました。小学生になったアルトゥーロは、パレルモ名物のお菓子イリスの存在を教えてくれたジュリアーノ警部が殺されたことを境にマフィアに対し無口でいる住民の感覚に少しずつ違和感を覚え始めます。不安に思うアルトゥーロに父親は諭すように言うのです。「大丈夫、マフィアは夏にしか殺らないから」と。そんなアルトゥーロはある日、クラスにやってきた転校生フローラに一目惚れをしてしまいます。それまでに恋をしたらマフィアに殺されると思っていたアルトゥーロはひたすらフローラへの恋心を隠そうとするのですが、フローラと同じアパートに住むキンニーチ判事だけは見破ります。
マフィアは夏にしか殺らないのネタバレあらすじ:承
恋に悩むアルトゥーロに父親は関心を持ってくれません。そんな中、ふとテレビに目を向けると、そこにインタビューを受けるアンドレオッティ首相がいました。奥様へのプロポーズについて語っているアンドレオッティ首相を見て、まるで自分の悩みを聞いてくれているかのような気持ちになり、一瞬にしてファンになってしまったのです。部屋には首相のポスターを貼り、学校の仮装学芸会ではアンドレオッティ首相に扮したりもします。アルトゥーロは政治に興味を持ち始めます。あるきっかけで知り合ったジャーナリストのフランチェスコに弟子入りをし、ダッラ・キエーザ将軍に強行インタビューを敢行するなど、少しずつ政治的な感性を磨いていきます。同級生のフィフィに邪魔されながらもフローラに恋心を抱き続けたアルトゥーロですが、ある日フローラからスイスへ引っ越すことを告げられ、遂に愛の告白を決意します。フローラが引っ越す日、彼女のアパートの前に愛のメッセージを書くのです。最初にそのメッセージを発見したキンニーチ判事は微笑ましい思いで、アルトゥーロにエールを送りながら車に乗り込んだのですが、キーを回した瞬間、車は爆発。無残にも命を落としてしまいます。こうしてアルトゥーロの思いは届かず、フローラはスイスへと旅立ってしまいました。
マフィアは夏にしか殺らないのネタバレあらすじ:転
青年になったアルトゥーロは職探しに奮闘した結果、やっとの思いで小さな放送局の司会アシスタントを始めます。ところが、司会者の横で鍵盤を弾くという仕事はあまりにも退屈で、アルトゥーロは失敗を繰り返してしまいます。またいつもと同じように鍵盤を弾いていると、そこにフローラが現れます。フローラはキリスト教民主党の代議士サルヴォ・リーマの秘書としてパレルモに戻ってきたのでした。その後、司会アシスタントはクビになってしまいますが、フローラのおかげで代議士の広報担当記者の仕事を得ることができました。アルトゥーロはフローラの気を引くために一生懸命働きます。しかし、フローラと一緒に働ける幸せはそう長く続きませんでした。パレルモを牛耳るマフィアの大ボス、トト・リーナが政治家たちの首をゆっくりと絞めはじめたのです。フローラが担当する代議士リーマも犠牲になりました。バイクに乗った2人組に射殺。マフィアとの癒着の噂が耐えなかったアンドレオッティ首相に対して警告の暗殺でした。それを機に意見の食い違いでフローラとの間に亀裂ができ、別れを余技なくされてしまいました。
マフィアは夏にしか殺らないの結末
トト・リーナの横暴は一層激化し、とどまることを知りません。反マフィアを唱える政治家は例外なく暗殺されてしまいます。これまでにアルトゥーロが成長していく過程で出会ってきた、ジュリアーノ警部、キンニーチ判事、ダッラ・キエーザ将軍、そしてサルヴォ・リーマまでが犠牲になっていきました。毎日、マフィアと政治家の抗争を目の当たりにし、誰もがいい加減マフィアの仕業と認めざるを得なくなってきた矢先、大きな事件が起こります。1992年、反マフィア運動を率いてきたファルコーネ判事とボルセッリーノ判事がマフィアに暗殺されてしまいます。市民から愛されていた2人の命を奪ったマフィアに対して、遂に住民は立ち上がり沈黙を破ります。マフィアを追い出すために、歴史に残る大規模なデモが行われ、アルトゥーロも参加します。街中がカオスの中、ここでアルトゥーロはフローラと偶然の再会を果たします。数年後、アルトゥーロの手には小さな赤ちゃん、横にはフローラの姿があります。マフィアの凶弾に倒れた人々のモニュメントを巡り、アルトゥーロは赤ちゃんにむかって一人ひとり説明をしています。息子が成長し歩けるようになってもまた親子3人で記念碑を訪れ、語りかけるのです。ジュリアーノ警部って人はね…、キンニーチ判事って人はね…と。
以上、「マフィアは夏にしか殺らない」のあらすじと結末でした。
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