ユーリー・ノルシュテインのアニメ映画傑作選の紹介:1968年ほかロシア(ソ連)映画。普遍的な世界をアニメーションで丹念に作り上げ、世界中にファンが多いユーリー・ノルシュテインの短編アニメーション6作品。「25日・最初の日」「ケルジェネツの戦い」「キツネとウサギ」「アオサギとツル」「霧の中のハリネズミ」「話の話」。作品それぞれにノルシュテインの錬金術的とも言える美しい感覚が瑞々しく反映されており、長年評価が高い作品集です。
監督:ユーリー・ノルシュテインほか
映画「ユーリー・ノルシュテインのアニメ映画傑作選」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ユーリー・ノルシュテインのアニメ映画傑作選」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ユーリー・ノルシュテインのアニメ映画傑作選」解説
この解説記事には映画「ユーリー・ノルシュテインのアニメ映画傑作選」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ユーリー・ノルシュテインのアニメ映画傑作選のネタバレあらすじ「霧の中のハリネズミ」
星が見え始めた夕暮れ時、小さなハリネズミのヨージックが木苺の砂糖漬けを持って草原を歩いています。友達のコグマと一緒に星を数える約束をしているのです。丸太に座ってお茶を飲みながら星を見上げる時間を、二人はとても楽しみにしています。途中、深い霧に包まれてしまったヨージック。白い馬やコウモリやミミズクや大きな木など、霧の中での動物や自然との邂逅と驚きが幻想的に描かれていきます。途中、コグマが楽しみにしている木苺の砂糖漬けを置いてきてしまったことに気付いて慌てますが、犬が届けてくれます。その後、ヨージックは川に落ちてしまいますが、川の中にいる「誰か」が助けてくれて岸まで連れて行ってくれます。こうしてヨージックはコグマと会うことができました。「ヨージックどこに行ってたんだい!」「君がいなければ一緒に星を数える人がいないもん」としゃべり続けるコグマ。ヨージックはどこかまだ夢から覚めないような表情ですが、やっぱりコグマと一緒がいいなと思い、霧の中にいた白い馬はどうしているだろうと思いを馳せるのでした。児童文学作家のセルゲイ・コズロフの「霧の中のハリネズミ」を基に、ノルシュテインが映画用の脚本を書いた作品。
ユーリー・ノルシュテインのアニメ映画傑作選のネタバレあらすじ「25日・最初の日」
ノルシュテインとアルカージィ・チューリンとの共同作品。ショスタコーヴィッチの交響曲12番《1917年》に合わせ、ロシア革命をグレーと赤の色調で鮮烈に描いている。途中、革命詩人のウラジーミル・マヤコフスキーの詩「僕は過去の総決算をする。昔の日々をかきまわし、いちばん明るい日を探す。すると決って思い出すのは、25日。最初の日だ」が引用されている。
ユーリー・ノルシュテインのアニメ映画傑作選のネタバレあらすじ「ケルジェネツの戦い」
リムスキー・コルサコフのオペラ「見えざる町キーテジ」の間奏曲「ケルジェネツの戦い」を聴いたイワノフ・ワノーがこの曲をモチーフに作品を作ること思い立ち、ノルシュテインに共同監督として参加しないかと勧めたのが始まり。14~16世紀のフレスコ画・イコン(聖像画)を引用して、ロシアとタタールの戦いの悲劇が描かれていく。「許してくれ。さようなら、懐かしいことども。家族の皆々泣くな。戦で死ぬのが我らの運命」と歌いながら戦場へ向かう男達。激しい戦いで力尽きていく男達と悲しみにくれる女達。やがて戦いは終わり、人々は懸命に働いて村は平和と明るさを取り戻していく。切り絵の手法を用いながらも立体的で荘厳な雰囲気を持つ作品となっている。
ユーリー・ノルシュテインのアニメ映画傑作選のネタバレあらすじ「キツネとウサギ」
昔、あるところにキツネとウサギがいました。季節は冬。キツネは氷の宮殿に住み、ウサギは樹皮の家に住んでいます。キツネは氷の宮殿で優雅にスケートをしながら「あんなボロ家を作って・・・私のやることはスマートよ」とウサギをバカにしますが、ウサギは暖炉がある暖かい樹皮の家で慎ましく幸せに暮らしていました。春になり、氷の宮殿がすっかり溶けて住む家がなくなってしまったキツネは、ウサギの家を乗っ取ってしまいます。自分の家から追い出されてしまったウサギは、悲しくて涙をこぼします。ウサギから話を聞いたオオカミがキツネを追い出しに行きますが、オオカミはキツネに「お前をやっつける!」と威嚇されたため、スゴスゴと逃げて行ってしまいます。ウサギはまた独りになり、家で楽しく暮らしていた日々を思い出しては泣くばかり。すると、クマがやって来て、ウサギから話を聞いてキツネを追い出しに行きますが、クマもキツネのものすごい剣幕に圧倒されて「なんと凶暴なんだ!まったく手がつけられない」と驚いて逃げて行ってしまいます。ウサギがまた独りで泣いていると、今度は牛が「やあウサギ君。なぜ泣いているの?」とやって来ます。ウサギはキツネに家を乗っ取られたことを話し、「オオカミ君もクマさんも追い出そうとしたけどダメだった。だから君も追い出せないよ」と諦め気分で投げやりに話します。牛は「そんなことない。必ず追い出す」と自信満々に突進して行ってしまいますが、キツネにやられてすぐに戻って来てそのまま走り去ってしまいます。朝になり、雄鶏が勇ましく歌いながらやって来ます。ウサギから話を聞いた雄鶏は「それじゃキツネを追い出そう」と歩き出します。ウサギは慌ててオオカミくんもクマさんも牛さんもダメだったんだと止めますが、雄鶏は「まずやってみようよ」とパイプを吹かしながらスタスタとウサギの家に行ってしまいます。雄鶏とキツネの大乱闘になり、ついにキツネは降参して逃げていきます。こうしてウサギは家を取り戻すことができ、雄鶏と一緒に仲良く暮らしていくのでした。ロシアの民話「キツネとウサギ」を基に民族的モチーフで作られた作品。
ユーリー・ノルシュテインのアニメ映画傑作選のネタバレあらすじ「アオサギとツル」
あるところに一匹のアオサギがいました。アオサギは近くに住んでいるツルにプロポーズされますが、つい意地を張って断ってしまいます。ツルが帰った後、「何で断ったのかしら私・・・よくないわ。なんのために断ったのかしら。彼はいい人なのに・・・」と落ち込みます。アオサギは思い直して「お嫁に行くわ」とツルに言いに行きますが、「いいえ、アオサギさん。結婚は思いとどまりました。お引き取り下さい」と冷たく断られてしまいます。一方、ツルも断ったことを後悔し、すぐにアオサギを追いかけて「アオサギさん、あなたを引き受けますよ。責任を取ります。結婚してください」と言いますが、アオサギは「結構です!」と怒って去ってしまいます。家に着いたアオサギは「一人より二人で暮らす方がいいわ。仲直りしてお嫁に行くわ」と思い直し、またツルのところへ行きますが、「フェドーラはイーゴリに嫁がない。だってイーゴリは断るからね」とそっぽを向かれてしまいます。その日の夜、花火が上がります。アオサギとツルはそれぞれ独りで花火を見つめます。次の日、ツルはストーブを持ってアオサギの家に行きます。二人は少しずつ近づいて手をつなぎ、ダンスをします。しかし、また些細なことでケンカになってしまい、ツルは帰ってしまいます。アオサギはお土産を持って「お嫁に行くわ」と言いに行きますが、機嫌が直らないツル。ションボリと帰るアオサギをまたツルが追いかけ・・・。こんなふうに二人はお互いに相手を思いながらも行ったり来たりを繰り返すのでした。日本の版画や墨絵からインスピレーションを得て作られた作品。
ユーリー・ノルシュテインのアニメ映画傑作選のネタバレあらすじ「話の話」
ノルシュテインがかつて住んでいたという共同住宅が登場したりと、ノルシュテインの自伝的要素が強い作品。灰色オオカミ、林檎、旅人、詩人と猫、牛と縄跳びをする少女とその家族、戦争で愛する人を奪われた女性達、木を見上げて林檎をかじる男の子、灰色オオカミが詩人から盗んだ紙が赤ん坊に変わるなどのシーンの断片が、タンゴ「疲れた太陽」やバッハなどの音楽と共に夢幻的に描かれていく。また、本作品は映画芸術アカデミーとASIFAによる国際アンケートで「歴史上、世界最高のアニメーション映画」に選ばれている。
以上、映画ユーリー・ノルシュテインのアニメ映画傑作選のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する