エリザのためにの紹介:2016年ルーマニア,フランス,ベルギー映画。医師であるロメオには、イギリス留学のための大切な卒業試験を控えた高校生の娘エリザがいる。ある朝、ロメオは車でエリザを学校まで送っていくが、娘の要望に応じて手前で降ろし徒歩で向かわせた。しかし、エリザは白昼堂々校舎の手前で暴漢に襲われてしまう。『4か月、3週と2日』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したムンジウ監督の5作目。教師やジャーナリストの経歴を持つムンジウ監督の鋭い観点でルーマニアの問題を描いた作品。
監督:クリスティアン・ムンジウ 出演:アドリアン・ティティニエ(ロメオ・アルデア)、マリア・ドラグシ(エリザ)、リア・バニャー(マグダ)、マリーナ・マノヴィチ(サンドラ)、ヴラド・イヴァノフ(警察署長)ほか
映画「エリザのために」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「エリザのために」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
エリザのためにの予告編 動画
映画「エリザのために」解説
この解説記事には映画「エリザのために」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
エリザのためにのネタバレあらすじ:起
ある朝、何者かに石で窓を割られてしまいます。ロメオは犯人を探すために外ででますが見つけることができませんでした。朝の支度を済ませ、娘エリザを学校に送るために車へ乗り込みます。車中、明日から始まる卒業試験についてロメオはエリザを励まします。面倒くさそうに相槌を打つエリザは、会話を切り上げたいかのように手前で降ろし歩いていきたいと言います。エリザを降ろしたあと、ロメオは愛人サンドラの家にいました。サンドラを抱き、出勤前の静かな時間をすごしていましたが、ロメオの携帯が鳴り邪魔をされます。電話は職場の病院からでした。エリザが暴漢に襲われ、病院に運ばれたのこと。急いで駆け付けるとすでに妻マグダも来ており、エリザは両親の前で泣き崩れてしまいます。ロメオの友人である警察署長も来てくれ、必ず犯人を捕まえてみせると約束します。そして加えて告げます。借りのある副市長ブライが肝硬変でドナーを探していると。警察署長はすでにドナー登録者リストの順番を早めるよう厚生省で働く友人に話をつけたと言い、ロメオに手術の順番を早めるよう依頼するのでした。
エリザのためにのネタバレあらすじ:承
卒業試験初日、ロメオは学校へ行き、事件を理由に試験官に娘だけ時間を延ばしてもらえないかと交渉します。試験官は難色を示しあいまいな返事でロメオを帰します。ロメオは重病の母親の様子を見に行きます。母親は孫であるエリザを1人で外国へ留学させることに賛成していない旨を伝えます。ロメオもかつては、自国を愛し自らの手で人生を変えようと努力してきた人でした。しかし、改革後も期待は裏切られ、ルーマニアにいる限りは何一つ自由にはならず、真面目に働き慎ましい生活をするしか選択がないことを口にします。この国でうまく生きるにはコネが必要、でもエリザにはそれができる器量がないと、彼女の留学を強く願うのです。これまでに汚いことに身を投じてこなかったロメオでしたが、娘のために副市長との交換条件をのむことを決意します。副市長は試験委員長の奥さんが職場復帰をするために口利きをしたことがあり、その恩があるため採点に融通を利かせてもらえると言うのです。その日の夜、早速ロメオは委員長の自宅を訪れ、合格点を与えるために解答用紙がエリザのものと分かるよう自ら印をつけることを指示します。帰宅したロメオは、妻の反対を押し切りエリザに試験の裏工作の仕方を説明します。しかし、エリザは快く受け入れることができません。そこまで無理をしてまで試験に合格する価値があるのか思いとどまるエリザに、ロメオはこれまでに自力で国を動かすことができると信じたが実現しなかった思いを告げ、エリザには希望のないこの国を捨て別の道を歩んでほしいと諭します。複雑な感情を隠せないエリザは何も答えないままでした。
エリザのためにのネタバレあらすじ:転
試験2日目、ロメオはエリザを学校へ送ったあと、警察へ行き事件の日の防犯カメラの映像を確認します。防犯カメラには犯人がエリザを背後から物陰に引きずり込む姿が映っており、何人かが目撃している様子をとらえていましたが、特に気にとめることもなく通行人は無関心に通り過ぎて行きました。その後、ロメオが愛人サンドラの家にいると、2人の関係を知るはずのないエリザが訪ねてきます。おばあちゃんが倒れてしまったとのこと。急いで母親の家へ向かうロメオ。エリザも交際しているマリウスと向かいます。一命は取り留めたものの、ロメオには冷ややかなエリザの視線が向けられます。これ以上、母親に不倫をしていることを隠さないでほしいと訴えるエリザ。しっかり向かい合い、母親と話し合いをしないのなら明日の試験は行かないと言い放ちます。エリザを祖母の家に残し、ロメオは1人帰宅します。意を決し、サンドラのことを妻に話しますが、不倫の事実を知っていたマグダはロメオに家を出て行ってほしいと告げます。試験最終日、エリザが受験するのか気がかりなロメオは学校の前へと行きます。真相が分からず不安のまま出勤すると、入院中だった副市長のブライを拘留するために2人の検察官がオフィスに来ていました。なんとしても副市長を庇って検察官を追い帰したいロメオですが、ブライの電話が傍受されていたとのこと。捜査が進めばやがて娘さんにも話を聞くことになると含みをもたせ検察官はオフィスを出ます。ロメオは試験委員長にも会いに行きます。ところが、エリザがつけるべき印がついた答案はなかったと告げられるのです。その日の夜、容疑者の面通しでロメオが警察に到着すると、エリザが警察から父についての尋問を受けている声が聞こえました。エリザは父から不正を指示された覚えはないと答えます。マジックミラー越しに4人の容疑者が並べられましたが、この4人の中に犯人はいませんでした。
エリザのためにの結末
ロメオはサンドラの息子マテイを預かることになり、公園へ連れていきます。遊具で遊ばせていると、親同士の言い争う声が聞こえてきました。きちんと順番を守りなさいとしつける親と、待っていたらいつまでたっても遊べないと言う親。順番を待たない子どもにマテイは正義感から石を投げます。マテイをうまく諭すことのできないロメオは、なぜ石を投げてはいけないかお母さんに聞きなさいとだけ言い、マテイを職場へ連れていきます。ロメオが病院へ着くと、副市長のブライが心臓発作で亡くなったことを告げられます。エリザの卒業式、ロメオは学校へ行きます。卒業を迎えるエリザのもと近づき、試験最終日はどうだったか尋ねるロメオ。結果は数日後だが、試験はうまくやれたと聞き、安堵します。エリザはテスト中に涙が止まらなくなり特別に試験時間を延長してもらったのでした。やましいことは何もしていない、と訳あり気な笑顔をロメオに見せるエリザ。エリザは言います。「うまくやれたでしょ?」と。卒業生が壇上に上がり記念撮影をします。そこには晴れ晴れしいエリザの姿がありました。
以上、エリザのためにのあらすじと結末でした。
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