家族の肖像の紹介:1974年イタリア,フランス映画。ローマの豪邸で、18世紀にイギリスではやった家族を描いた絵画――家族の肖像――と本に囲まれて一人で暮らす「教授」。二階に強引に間借りした一家によって彼の生活はかき乱されるが、いつしか疑似家族ができかかる。しかし彼らを悲劇が待ち受けていた。
監督:ルキノ・ヴィスコンティ 出演:バート・ランカスター(教授)、ヘルムート・バーガー(コンラッド・ヒューベル)、ドミニク・サンダ(教授の母(回想))、クラウディア・カルディナーレ(教授の妻(回想))、シルヴァーナ・マンガーノ(ビアンカ・ブルモンティ伯爵夫人)、ほか
映画「家族の肖像」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「家族の肖像」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「家族の肖像」解説
この解説記事には映画「家族の肖像」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
家族の肖像のネタバレあらすじ:起・強引な間借り人
ローマで母や妻の思い出と絵画や本と共に一人暮らしを続ける、「教授」と呼ばれる老人にパリの画廊から来た男二人が絵を売りつけようとしている。絵は気に入ったが近々物入りなので教授は購入するつもりはない。男たちが帰ると、それまでてっきり画廊の人だと思っていた女性が二階を見せてほしいと言う。部屋を貸すつもりはなかったが、既にこの家の家政婦の名前や勤続年数まで知っているこの女性――ビアンカ・ブルモンティ侯爵夫人――は押しの強さを見せて二階に上がってしまう。しかも、娘のリエッタ、その婚約者ステファーノまでが家に入ってくる。そして最後に人目を惹く美青年、ビアンカの愛人のコンラッドが現れた。教授はその場は二階を貸すことを断ったが、後でリエッタが、画廊が売りつけようとしていた絵を買ってもってくる。教授は1年だけという条件で部屋をビアンカに貸すことにする。
家族の肖像のネタバレあらすじ:承・コンラッドとの語らい
一階の天井が崩れだして家政婦エルミニアがびっくりする。教授が帰ると家具に布がかけられている。水がもれている所もある。二階に抗議に行くとコンラッドが寝ている。実際に部屋を利用するのは彼だった。諍いになるが、部屋は借りたのでなく買った、自由に改装していいという嘘をビアンカが彼についていたことがわかる。一階に降りてコンラッドは金持ちたちを悪しざまに言って、ビアンカに激しい抗議の電話をする。彼は教授が取り寄せたレコードをかけ、壁の絵の一つ――塔の前に並んだ家族の肖像――に目を留め画家の名を言い当てる。そしてそっくりの絵を友人の家で見たことがあり、その絵の写真をもっていると言う。美術を学んだことがあるのかと問う教授にコンラッドは自分が学生反乱のあった68年の世代であり、その時に大学を去ったことを話す。翌日、リエッタが来て、謝罪するついでに浴室を二倍にする改装を教授に承知させる。コンラッドは前夜に話した写真をもってきた。若者たちと少し打ち解けてきた教授はその夜いっしょに食事をとることを彼らと約束するが、その約束はすっぽかされる。
家族の肖像のネタバレあらすじ:転・襲撃されたコンラッド
間借り人が現れないので教授は二階の改装の指示をせざるを得なかった。久しぶりにコンラッド、リエッタ、ステファーノが現れる。彼らは食事の約束をすっぽかして船旅に出ていたのだ。一羽の鳥が教授への土産だった。その夜、二階で物音がする。外へ教授が出ると見知らぬ男が逃げていく。そして一人宿泊していたコンラッドがけがをしていた。医者に診せることも、他の人に知らせることも拒否するコンラッドを教授は、戦時中に母がユダヤ人やパルチザンをかくまうために作った隠し部屋に入れる。コンラッドのことは誰にも気づかれなかった。ある夜、教授は書斎から音楽が漏れてくるのに気づく。何とリエッタ、コンラッド、ステファーノの三人が裸で踊っているのだ。教授を見ると彼らは服を着始める。教授も若いころははめをはずしていたのではと言われるが、教授は学問、旅、そして戦争で青年時代を過ごしていたのだった。
家族の肖像の結末:疑似家族の晩餐会
教授の元に刑事が来る。国境で拘束されたコンラッドが教授の家にいたと証言したのだ。教授が警察から帰ると二階にはビアンカたちが来ていた。コンラッドが金持ち女のひもになって生活する前はベルリンの過激派で警察に追われる身だったことが明かされる。コンラッドが釈放されたことをリエッタが教授に伝える。そして教授をパーティーに招待する。だが、教授は逆に次の晩に皆で教授と食事をすることを提案する。正装しての食事が終わるころにはビアンカも現れる。まるで家族のようだが、ビアンカがその日の夫の言動を話したことで雰囲気が変わる。夫は突然空港に行って旅立ち、コンラッドと別れるように言ったというのだ。そしてコンラッドは、ビアンカのファシストである夫が共産党や政府に対して企てているテロを自分が密告したのだと言う。右翼であるステファーノがコンラッドとつかみ合いの喧嘩を始める。コンラッドはいなくなってしまう。翌朝、コンラッドからの手紙が届く。コンラッドが帰っているかもしれないと思い教授は喜ぶが手紙には別れのことばが書かれていた。その時二階で大きな爆発音がする。教授がかけつけたがコンラッドは爆発で命を落としていた。心労で倒れた教授。ベッドにビアンカとリエッタが見舞う。ビアンカはコンラッドが自殺したとみなして恨み言を言う。逆に、あれは事故だったとリエッタはいう。教授にはことばを返す力はもはやなかった。
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