盗聴者の紹介:2016年フランス,ベルギー映画。生きるのが不器用な真面目一筋の男。仕事を失い、妻とも別れ、アルコール依存症に陥り眠れぬ日々を過ごしていた。そんな彼が、ある謎の組織から仕事を持ちかけられる。それは国家機密に関わる“盗聴テープ”を文字に起こすことだった…。本国フランスだけでなくハリウッドでも活躍し、日本では「最強のふたり」(2011)の大富豪役で有名となったフランソワ・クリュゼ主演。国の陰謀に巻き込まれ、右往左往する善良な人間の顛末を描くサスペンス映画。
監督:トマス・クライトフ 出演者:フランソワ・クリュゼ(デュバル)、ドニ・ポダリデス(クレマン)、サミ・ブアジラ(ラバルト)、シモン・アブカリアン(ジェルフォ)、アルバ・ロルヴァケル(サラ)、フィリッぺ・レズモント(ドグリュジー)ほか
映画「盗聴者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「盗聴者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
盗聴者の予告編 動画
映画「盗聴者」解説
この解説記事には映画「盗聴者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
盗聴者のネタバレあらすじ:起
フランス人のデュバルは、保険会社で働く生真面目な中年男性。そのあまりの几帳面さが自らを追い込む原因となり、アルコール依存症で会社を退職します。再就職も難しく、グループセラピーを受けながら不安な日々を送っていました。ある日、デュバルに知らない男から電話がかかります。男はクレマンと名乗り、仕事の面接に来てほしいと言います。翌日、教えられた住所にあるビルの一室で待っていたクレマンは、デュバルに「盗聴記録のテープ起こし」を依頼します。クレマンの組織は、自国にとっての危険人物を監視していました。その盗聴内容をタイプライターで一字一句文字にしてほしいというのです。思いもよらない仕事内容に戸惑うデュバルでしたが、高額の報酬に抗えず引き受けることにします。クレマンはデュバルに警告します。「この仕事のことは誰にも話さないこと」。
盗聴者のネタバレあらすじ:承
職場として与えられたのは、あるアパルトマンの一室。定時に出勤し、1人きりでひたすらテープ起こし作業。そして定時きっかりに帰るという生活です。ある日、グループセラピーで一緒の若い女性、サラがデュバルに助けを求めます。彼女の家へ行くと、部屋の中は荒れ放題。酒を飲むたびに知らない男を部屋へ入れ、あげく大ゲンカになってしまうと落ち込むサラ。デュバルはサラの部屋の片づけを手伝ってやります。ある時、いつものように盗聴テープを聞いているデュバルの耳に、信じられない内容が飛び込んできます。それは次期大統領選の密談や、テロリストに関する会話にまで及んでいました。デュバルが恐怖を覚え始めた時、仕事場にジェルフォという男が現れます。ジェルフォはクレマンの部下で、盗聴テープと原稿を受け取りに来たと言います。デュバルはこの仕事を辞めたいと訴えますが、ジェルフォは1週間待てと言います。ジェルフォによると、クレマンもまた誰かに雇われた存在らしいのです。
盗聴者のネタバレあらすじ:転
深夜、ジェルフォはデュバルを連れてある屋敷へ忍び込みます。それはデュバルが聞いた盗聴テープの内容にあった人物、弁護士のアルシャミク夫妻の家でした。夫妻はすでに遺体で発見されています。ジェルフォは、部屋に残されたアルシャミクの手帳を盗むようクレマンに命じられていました。しかし、たまたま屋敷にいた清掃員に見つかり、ジェルフォは躊躇なく清掃員を殺害。ショックを受けるデュバルに、このことを他言すると命はないと脅します。後日、デュバルは知らない男達に車に押し込まれ、治安総局へと連行されます。そこには拷問を受けているジェルフォの姿がありました。指揮官のラバルトは、アルシャミク邸の防犯カメラからデュバルに清掃員殺害容疑をかけていました。治安総局はテロリスト事件に関与するクレマンの組織を追っていて、同じくアルシャミクの手帳も探していました。ラバルトは、クレマンの行方捜査に協力するようデュバルにプレッシャーをかけます。いったん解放されたデュバルが帰宅すると、彼の様子を心配したサラが来ていました。翌朝、ソファーで寝込むサラを置いてデュバルが職場へ行くと、再び2人の男達に誘拐されそうになります。命からがら家に戻ると部屋は荒らされ、サラが何者かに連れ去られていました。
盗聴者の結末
デュバルをクレマンに推薦したのは、デュバルの古い友人ドグリュジーでした。彼の会社は次期大統領候補をバックアップしています。自分がこの事件に巻き込まれた原因がドグリュジーだと気づいたデュバルは、彼を脅してクレマンの連絡先を手に入れます。誰もいない広いスタジアム会場内で、ついにラバルトとクレマンが互いの部下を従えて向かい合います。クレマンはサラを無傷で解放しました。クレマンの目的は、テロリストとの交渉を利用して次期大統領選を優位にすることでした。ラバルトはクレマンに局へ同行するよう命じます。ところがクレマンは、新大統領下の幹部ポストを約束する代わりに情報を隠蔽しろと、ラバルトに裏取引きをもちかけます。2人の会話を聞いていたデュバルは息を呑みますが、なんとラバルトはその条件に同意します。ほくそえむクレマンを見たデュバルは、とっさにラバルトが身につけていた小型マイクに向かって「突入!」と叫びます。周囲を囲んだラバルトの部下達が、一斉にクレマンとその手下達を射殺しました。裏取引きが不可能となったラバルトは、何事もなかったように振る舞います。新大統領が決まり、テロリストが人質を無事解放したというニュースが流れます。デュバルはサラがいる病院へ向かい、彼女の無事を確認するのでした。
「盗聴者」感想・レビュー
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府に落ちず、戻って見直しても分からず、結末を知りたくて検索しました。
主人公を囲む治安総局とクレマンだけでなく、もう一派の組織の存在は?
クレマンを裏切りスパイし清掃員を殺したヤツの組織です。マンションのエレベーターに一緒に乗り込んだ男は、同じく手帳を探してSV車に主人公を乗せて失敗に終わります。その組織と主人公が助けようとした彼女とは無関係なのでしょうか?最後の主人公と彼女の表情もわかりません!謎が残る映画でした。途中から目が離せません。聞き逃せません。
全体を通して終始緊張感のある映画で、ラスト近くまで誰を信用して良いのかも分からない状態でした。
サスペンスとはいかに現実的であるか、理に適っているか だと思います。そうでなければあらゆる映画の密室殺人の犯人が誰か、もしくは何か計画が漏れていると気付いた際に裏切り者が誰なのか、敵と味方は誰なのか、目的は何か など見当も付かず、ご都合主義の暴論すらまかり通ってしまうのです。
小さく散りばめられたヒントやあらゆる繋がりを紐解き、その大きな謎を解いていく と言う点が醍醐味であると思います。
この映画はサスペンスとして観るには理屈に合わない部分が多く、ご都合主義がまかり通ってしまっています。
単純にシリアスなスリルを味わいたいのであれば問題はないのかも知れませんが、この映画では致命傷に思いました。