怒りの荒野の紹介:1967年イタリア,ドイツ映画。メキシコに近い小さな町を舞台としたマカロニ・ウエスタン作品で、ガンマンに憧れを抱くゴミ掃除人が凄腕のガンマンと出会ったことから辿る数奇な運命を、“ガンマンの心得十ヶ条”と共に描いています。
監督:トニーノ・ヴァレリ 出演者:リー・ヴァン・クリーフ(フランク・タルビー)、ジュリアーノ・ジェンマ(スコット・マリー)、ウォルター・リラ(マーフ・アラン・ショート)、ルーカス・アマン(クッチャー判事)、アンドレア・ポジック(マーレイ)ほか
映画「怒りの荒野」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「怒りの荒野」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「怒りの荒野」解説
この解説記事には映画「怒りの荒野」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
怒りの荒野のネタバレあらすじ:起
メキシコに近い小さな町クリフトン。この町で暮らすスコット・マリー(ジュリアーノ・ジェンマ)は、娼婦の私生児という生い立ちから地元住民から疎まれ、ゴミ掃除人として働いていました。そんなスコットの夢は一流のガンマンになることでした。そんなある日、クリフトンの町に流れ者のガンマン、フランク・タルビー(リー・ヴァン・クリーフ)がやってきました。酒場に入ったタルビーはスコットを侮辱した男を射殺し、正当防衛が認められるも町から出ていかざるを得なくなりました。そんなタルビーにスコットは憧れを抱き、彼の後を追いかけて弟子入りを申し出ました。
怒りの荒野のネタバレあらすじ:承
タルビーはスコットに銃を教え、“ガンマンの心得十ヶ条”を叩き込んでいきました。
一、決して他人にものを頼むな。
二、決して他人を信用するな。
三、決して銃と標的の間に立つな
四、パンチは弾と同じだ。最初の一発で勝負が決まる。
五、傷を負わせたら殺せ。見逃せば自分が殺される。
六、危険な時ほどよく狙え。
七、縄を解く前には武器を取り上げろ。
八、相手には必要な弾しか渡すな。
九、挑戦されたら逃げるな。全てを失う事になる。
十、殺しは覚えたらやめられない。
タルビーがクリフトンの町に来た目的とは、10年前に仲間たちと強奪したものの、仲間の裏切りにより失った金塊の分け前5万ドルを取り戻すことでした。
怒りの荒野のネタバレあらすじ:転
タルビーはかつての仲間ワイルド・ジャック(アル・ムロック)から裏切り者の名を聞き出しました。裏切り者は酒場の経営者マレー(アンドレア・ポシック)やクッチャー判事(ルーカス・アマン)らなど、いずれも町の名士として君臨していました。タルビーは裏切り者の仲間に捕まり、リンチを受けているところをスコットに助けられ、以来二人は信頼で結ばれたコンビとなっていきました。しかし、タルビーは万が一スコットが逆らった場合に備え、スコットが得意とする早撃ちのしにくい銃身の長い銃を買い与えました。やがてタルビーはマレーら裏切り者たちを次々と殺していき、マレーの酒場に火を放った後に新たに酒場やカジノを開き、すっかり町を牛耳る存在として君臨するようになりました。
怒りの荒野の結末
スコットもタルビーの右腕として活動を共にしていましたが、スコットのかつての育ての親であり保安官時代にテキサスでタルビーを追放したことのある老人マーフ・アラン・ショート(ウォルター・リラ)は「タルビーは悪党だ。彼といっしょにいてはいけない」と警告しますが、スコットは聞く耳を持ちませんでした。やがてスコットは敵に襲われて負傷、その間にタルビーは町の保安官ナイジェル(ニーノ・ニニー)を殺害、クッチャーと組んでさらに権力を強めようとしていました。新たに保安官に就任したマーフは住民の銃の所持を禁じるなどの治安改善に乗り出しましたが、タルビーに邪魔者扱いされて殺害されてしまいます。マーフの死にようやく目が覚め、自らの過ちに気が付いたスコットはマーフの遺品である伝説のガンマン“ドク・ホリディ”愛用の拳銃を手にクッチャーやタルビー一味を次々と殺していき、遂にはかつての師匠だったタルビーとの決闘に挑んで倒します。命乞いをするタルビーにとどめを刺したスコットは、銃を捨てて涙ながらに立ち去っていきました。
マカロニ・ウエスタンの貴公子ジュリアーノ・ジェンマ主演の「怒りの荒野」は、私生児の青年が、流れ者のガンマンに弟子入りし、腕を磨いていくというストーリー。
町で横暴を極めていく師に、不信感を抱き始め、遂には運命の”師弟対決”を迎えることになる。
公開当時、日本で人気のあったジェンマだが、本場アメリカの西部劇の悪役でならしたリー・ヴァン・クリーフの圧倒的な存在感にはかなわない。
青年は師から教わった”ガンマンの十戒”を唱えながら、敵を仕留めていくクライマックスは、リズ・オルトラーニのテーマ曲とも見事にマッチし、胸が躍りましたね。