浪華悲歌(なにわエレジー)の紹介:1936年日本映画。「祇園の姉妹」と同年に作られた溝口健二監督の戦前の代表作のひとつ。脚本家・依田義賢との初コンビとなった記念すべき作品で、キネマ旬報ベストテンでは見事ベストワンに輝いた。パン・フォーカスを意識した構図が印象的。
監督:溝口健二 出演:山田五十鈴(村井アヤ子)、志賀麺家弁慶(麻居惣之助)、梅村蓉子(麻居すみ子)、進藤英太郎(藤野善蔵)
映画「浪華悲歌」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「浪華悲歌」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「浪華悲歌」解説
この解説記事には映画「浪華悲歌」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
浪華悲歌のネタバレあらすじ:起
戦前の大阪。道頓堀の華やかなネオンも夜明けを迎える頃には消えています。麻居製薬の社長・惣之助は今日も広壮な屋敷で目を覚まし、女中に手伝わせながら朝の支度をします。彼女たちには口やかましい彼も、妻のすみ子には頭が上がりません。惣之助は養子なのです。すみ子は婦人会の仕事を手伝ってもらったお礼として、社員の西村に芝居の切符を手渡すため、屋敷とは棟続きのオフィスへ。すみ子が彼に親しく口をきくのを見た電話交換嬢の村井アヤ子は、嫉妬して彼に文句を言います。アヤ子はかねてから西村と付き合っていました。仕事を終えたアヤ子が家に戻ると、相変わらず債鬼が茶の間に居座り、やいのやいの文句を言って彼女を困らせます。父親が会社の金300円を使い込んでいて、すぐに返さなければ告訴すると脅されていたのです。切羽詰まった父親の様子を見て覚悟を決めたアヤ子は、前から彼女に色目を使っていた社長の惣之助のところへ。会社をやめ、高級アパートに移ると、彼の囲い者となります。
浪華悲歌のネタバレあらすじ:承
うまく300円を出させた上で、愛人の生活を続けるのですが、やがて妻すみ子の感づくところとなり、2号の暮らしも終わることに。アヤ子はこれを機会に西村との結婚を考えます。しかし、地下鉄駅で偶然会った妹の幸子から、兄・弘の大学の授業料200円が未納となっていること、それが払えないと決まっている就職口もダメになることを聞かされ、再び悩む羽目に。そこで思いついたのが、惣之助の友人・藤野の存在でした。自分に思し召しがあることを知っていたアヤ子は彼を料理屋に呼び出し、200円を巻き上げた上でそのまま店から逃げてしまいます。藤野は当然激怒しましたが、男を舐めているアヤ子は苦にもしません。
浪華悲歌のネタバレあらすじ:転
これで後顧の憂いなし、とばかり、アヤ子は西村にアプローチ。自ら結婚を迫ります。しかし、アヤ子から自分が惣之助の愛人だったと告げられた彼は驚愕。その場を去ろうとするのです。そこへ刑事がやってきて、2人を逮捕。藤野が警察に訴えたのでした。自分が美人局の共謀者だと間違われた西村は、取り調べで泣き出し、ほうほうの体でようやく釈放。アヤ子には目もくれません。
浪華悲歌の結末
アヤ子も初犯ということで父親に付き添われて家に戻りますが、兄にしろ妹にしろ、せっかくアヤ子が身を犠牲にしてお金を用意してやったというのに、彼女に対して冷淡そのものでした。辛くなってアヤ子は家を飛び出します。道頓堀の川面を見つめながら、アヤ子は運命の苛酷さにひとり耐えるのです。
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