フォー・ザ・ボーイズの紹介:1991年アメリカ映画。ディクシー・レナードとエディ・スパークは、平時置いてはテレビを席巻し、そして戦時に置いては戦地を慰問するトップスターの黄金コンビだった。第2時世界大戦、朝鮮、ベトナムと、三つの戦争と、二人が過ごしたアメリカの激動時代を、ベッド・ミドラーの美しい歌声に乗せて描くヒューマンドラマ。
監督:マーク・ライデル 出演者:ベット・ミドラー(ディクシー・レナード)、ジェームズ・カーン(エディ・スパーク)、ジョージ・シーガル(アート)、クリストファー・ライル(ダニー)、ブランドン・コール(少年時代のダニー)、アリー・グロス(ジェフ)
映画「フォー・ザ・ボーイズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「フォー・ザ・ボーイズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「フォー・ザ・ボーイズ」解説
この解説記事には映画「フォー・ザ・ボーイズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
フォーザボーイズのネタバレあらすじ:起
テレビの特番を控え、スタッフ達は出演者の主役の一人ディクシーが来ない事に焦りを感じていました。スタッフの一人ジェフは、リムジンで彼女を迎えに行きます。彼女の部屋に入ると、飾られている沢山のスター達の写真の中で、戦地慰問で撮られた一枚の写真に目が行きます。そこに往年の名歌手、ディクシーが現れます。ジェフは、彼女に先程の写真に一緒に写っていたエディとの授賞式へ出席する事を頼みます。しかし彼女は、エディとなんて真っ平だと拒否します。授賞式は、二人の軍への貢献を祝した勲章の授賞式でもありました。何かと嫌がるディクシーはレコードを掛けようとしますが、プレイヤーが壊れていました。ジェフは、自分は心の痛み以外は何でも直せると修理を請け負います。ディクシーから許可を得たジェフはすぐに修理を完了し、レコードを掛けます。レコードは第2次世界大戦の時代に録音されたもので、出席を拒むディクシーは鳴り始めた音楽と共に、昔を語り始めます。それは1942年、彼女がそのレコードの録音をした時の事でした。レコーディングに参加している若きディクシーに、陸軍から電報が届きます。夫が軍属である彼女はその電報に一抹の不安を覚えますが、内容は大スターエディのギャグライターをしている叔父アートから、エディのパートナーに推薦したという吉報でした。彼女は息子のダニーを友人に預け、早速アートの所へ飛んで行きます。エディは爆撃隊の慰問を行っていましたが、ディクシーの到着は遅れていました。エディは彼女を待たずにショーを開幕します。遅れて到着したディクシーは、迎えに来たアートに段取りを教え込まれ、飛び入りのように舞台に上がり、その軽妙な話術と歌唱力で兵士達を魅了します。衣装の破損、停電等のトラブルを乗り越えたのですが、エディはディクシーに、MC中に下品なネタを使った等、難癖を付け始めます。彼女とエディの初舞台はエディの定番であるI remember youという歌と無作為な観客への指差しで締められ、盛況の内に幕を閉じました。ディクシーはエディの言葉に傷付けられ、彼への不満を口にします。しかしアートは二人は黄金コンビだと評価します。彼はエディに最強のコンビになると仲直りするよう説得します。エディはアートの顔を立てて彼女の機嫌を取りと共に、慰問ツアーを続けます。
フォーザボーイズのネタバレあらすじ:承
ディクシーは、彼と居れば怖いものはなかったと回顧し、本当にクソッたれだったと彼との慰問の日々を振り返ります。ジェフは、ディクシーに夫マイケルの事を聞きます。名コンビとなった二人のツアーは続き、クリスマスのアフリカ戦線で、エディはディクシーにサプライズを用意します。彼女に内緒で舞台にマイケルを呼び寄せ、感動の対面を演出したのです。ディクシーは思わぬ夫との再会感激し、その日の舞台は最高に盛り上がりました。しかしマイケルは、その戦争から生きて帰る事はありませんでした。戦後二人は、大人気のコンビとしてテレビに引っ張りだこでした。ディクシーの人生は順風満帆のよう見えましたが、検閲官を気にする事にない彼女もダニーの教育には頭を悩ませていました。エディは、冷え切った妻、娘だけの子供達より、そのダニーを事の他を可愛がります。ダニーにとってもエディは理解ある大人でした。ディクシーはエディに息子に悪影響を与えるなと抗議しますが、息子が欲しかったエディはそれに反発します。二人はダニーを巡り、仕事も巻き込んでまるで夫婦のようにいがみ合います。その頃アジアでは朝鮮戦争が始まっていました。そしてテレビ生放送中エディは、なんの前置きも無くディクシーに慰問ツアーを再開する事を宣言します。ディクシーは嫌がりますが、結局はエディと共に朝鮮半島に渡りました。朝鮮戦争は、第2次世界大戦と様相が違っていました。アートは、資本主義と共産主義の代理戦争であるこの戦争に批判的な事を口します。その戦況は芳しくなく、彼等は前の戦争では遭遇しなかった自軍の負傷兵達が苦しむ地獄を見る事になります。目の前で若者が死んで行く事にショックを受けた二人は、お互いの心を癒す為一夜を共にします。世が明け、我に返ったディクシーはそれを恥ます。エディは彼女の魅力を褒めますが、ディクシーは一夜の過ちと忘れる事にしました。クリスマス、彼等は日本に渡り、軍主催のパーティーに招かれます。その席でエディは、プロデューサーからアートが共産主義者の嫌疑掛けられている、解雇しろ説得されます。エディはそれを断り切れずアートはアカ狩りの被害者となり、ディクシーはエディに怒りをぶつけます。しかしダニーはエディを慕い続けました。そのダニーは成長し士官学校で卒業生代表となりました。
フォーザボーイズのネタバレあらすじ:転
ディクシーはジェフに、アートの一件以降仕事も失い、エディに息子を取られ、そのエディとは絶縁、小さな仕事を続けジャズ・クラブを手に入れた事を話します。そして時代は、ベトナム戦争に突入していました。そのジャズ・クラブにアートが尋ねてきます。彼はエディに濡れ衣を晴らして貰いその縁を戻していました。そしてアートは、エディが慰問ツアーを計画していてディクシーを必要としていると告げます。ディクシーの許しを得てエディは店に入って来ます。そして自分の口から慰問ツアーへの誘いを掛けます。ディクシーは断りますが、慰問先をダニーの部隊にすると言われ、彼女は渋々了承しました。ダニーの部隊は最前線の基地に展開していました。彼等は今まで以上に物々しく、騒々しく、危険な場所で慰問を行います。やって来た二人を見たダニーは、やっと仲直りしたかと笑みを浮かべます。しかしその顔はどこか疲れ切っていました。久々の再会に、ディクシーは息子と二人きりで話をします。戦火で荒れ果てた風景を見ながらダニーは、エディと手紙のやり取りでは心配させぬよう嘘を書き、兵士の誰もが疲れ病んでいるとディクシーに溢します。それを聞いたディクシーは、後方に戻すようエディにコネを使わせると言いますが、ダニーは自分は士官でそんな事は出来ないと断ります。舞台が始まり、兵士達はダンサーを取り囲み始めます。危険を感じたエディは早々にディクシーに登場させます。彼女は子守唄のように歌い彼等を静めます。その歌声にダニー、そして兵士達は心の平穏を取り戻し、静寂が生まれます。それを敵の砲撃が打ち破りました。基地は突然の猛攻に晒され、兵士達、更には慰問スタッフにも被害が出ます。そしてその砲撃でダニーは、母親の腕の中で息を引き取りました。
フォーザボーイズの結末
昔語りを聞き終えたジェフは涙を流し、ディクシーを労わります。ディクシーは、愛しいものを残して先立つなと忠告します。ジェフは局に電話を入れ、ディクシーは行かない事を告げました。局では代わりの出演者を探し始めます。ジェフが目を放した隙にディクシーの姿が消えていました。彼は最悪を考え慌てます。トイレに立て篭もったかと思った彼は、扉をこじ開けようとしますが、そこに別な部屋でドレスアップして来たディクシーが現れてました。彼女は、エディ一人では視聴者を満足させられないとテレビ局に向かうようジェフに命じます。番組は始まります。テレビ局にディクシーが到着し、ディレクターが段取りを説明しますが、彼女はそれを聞き流し、ジェフにエディの楽屋へ案内させます。エディの事を考えただけでむかつくというディクシーに、ジェフは絶滅寸前の生物なのでお手柔らかにと言います。彼女は、これで解雇されるだろうというジェフを何でも治せる才能があると賞賛します。案内を終えたジェフは、ディクシーの頬にキスをして去りました。意を決し、ディクシーはノックしてエディの楽屋に入ります。エディは、彼女が大勢の視聴者に怖気づく筈がないと、来る事を確信していました。エディはメイクやマネージャーに楽屋を出て貰い、二人で話を始めます。ディクシーは、最近夢を見て良く眠れるかと聞きます。エディは良く眠れると答えますが、ディクシーは夢見も悪く、良く眠れないと言います。彼女は夢の中で、夫や息子に先立たれたのはエディと共に楽しんだ代償だと神に言われたと言い、私達が殺したと告げます。もう一人では耐え切れないともです。エディはその言葉に、自分達は芸人として兵士達を幸せにしただけだと反発します。自分のやった事に誇りを感じる、今は何百万の兵士と共にダニーを悼もうと言います。ディクシーは悼んでいると言います。それに食って掛かるようにエディは、自分は人生を僻んではないないと言い、ディクシーは人生を捨てて居ないと反論、名誉の代わりに育てた我が子を引き換えにしてしまった、返してくれと訴えます。エディは、ディクシーにお前など要らないと一人で出演すると出ていきました。エディがカメラの前に立ちますが、その横にディクシーが居ない事にスタッフは慌てます。エディは祝福する列席者達に、ここに居ないディクシーを気遣う台詞を言い、多くの戦場で若者が死んだ事を語り始めますが、ベトナムを語る時に言葉が詰まってしまいます。ディクシーはそれを、舞台袖のモニターで見詰めます。その目の前でエディは、ベトナムの慰問で息子が死んだ語り、実は良く眠れないと話します。エディは感極まって来ました。そこにディクシーが現れます。ジェフが見守る中往年の名コンビは復活し、二人が出演した番組のエンディングを再現します。そしてエディは最後にいつものように誰を差そうか指を彷徨わせますが、それは横に居るディクシーに向けまれました。黄金の名コンビは連れ添って退場し、番組の幕は降りました。
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