やさしい本泥棒の紹介:2013年アメリカ,ドイツ映画。1938年・第二次世界大戦が勃発しようとしていた。ドイツの赤狩りから逃れた共産党員の夫婦は女の子と男の子の二人を連れて汽車に乗り、ミュンヘンの田舎町に向かっていた。子供たちを養子に出す為であったが、途中で男の子が亡くなってしまう。女の子・リーゼルは優しい夫・ハンスと口の悪い妻・ローザの幼女となる。リーゼルは墓掘り人の手引書と書かれた本を大事に持っていた。ハンスはリーゼルが字が読めないと知り、読み書きを教える。リーゼルは本を読むことでいろいろなことを知り成長していく。しかし、ドイツの命令で本を読むことを禁止され、本が燃やされるが、その中からリーゼルは一冊を持ち帰ったのです。
監督:ブライアン・パーシヴァル 出演:ジェフリー・ラッシュ(ハンス)、エミリー・ワトソン(ローザ)、ソフィー・ネリッセ(リーゼル)、ベン・シュネッツァー(マックス)、ニコ・リアシュ(ルディ)、キルステン・ブロック(ハインリッヒ)、ほか
映画「やさしい本泥棒」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「やさしい本泥棒」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
やさしい本泥棒の予告編 動画
映画「やさしい本泥棒」解説
この解説記事には映画「やさしい本泥棒」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
やさしい本泥棒のネタバレあらすじ:起
1938年、第二次世界大戦が勃発しようとしていた。ドイツの赤狩り(共産党狩り)が厳しくなり、共産党員の夫婦は、子供たち2人をミュンヘンの田舎町に養子に出すため、汽車に乗っていた。しかし、汽車の中で男の子が鼻血を出し急死する。途中で弔いをして、お墓に埋めます。その時、墓堀作業人のポケットから本が落ちます。女の子リーゼルはそれを拾い大事に持ちます。リーゼルは汚れた服を着た金髪の少女でした。ミュンヘンの養母・ローザは養子は二人のはずがリーゼル一人だったので、養護手当てが少なくなると不機嫌になります。養父・ハンスはリーゼルに優しく手を差し伸べてくれました。リーゼルはフーバーマン家の幼女として、学校に通わせてもらいます。登校日、隣のルディが学校に一緒に行こうと誘いに来ます。ルディは友達になろうといろいろ話しかけます。学校で、リーゼルが名前を書けなかったことで、字を知らないバカ呼ばわりされてからかわれます。その中の一人・フランツにリーゼルが飛びかかり、めちゃくちゃに殴り倒します。リーゼルは字が読めないだけでバカじゃないとはっきりした言葉で言い、ルディは彼女の言葉に逆らわず調子よく話します。夜になって寝室にハンスが来て、リーゼルが大事そうに持っている黒い本に目が止まります。自分の本か?と問うと、前は違ってたけど、弟の形見だと話します。ハンスはその本に何が書いてあるのか知りたいか?と問うと、リーゼルは目を輝かせて知りたいと応えます。ハンスはリーゼルに本の文字を教えます。その本のタイトルは、墓掘り人の手引書と書かれていました。
やさしい本泥棒のネタバレあらすじ:承
1938年11月、街はナチスにより、ユダヤ人の店は破壊され、人々は乱暴されます。マックスは母の願いで、一人逃げ出します。ハンスとリーゼルは本を読む勉強を続けて、墓掘り人の手引書を読み終えました。ハンスはリーゼルを地下室に連れていき、辞書をプレゼントします。壁に分からない単語を書き出して勉強します。ルディは、ベルリンオリンピックで金メダルを取った黒人選手ジェシー・オーリンズをマネして叱られます。リーゼルは口の悪いローザを好きではありません。広場では、ヒトラーの誕生日に演説があり、悪影響のある本を燃やしています。リーゼルとルディもその場で見ています。フランツは、リーゼルの生母が共産党員だと罵り、二人に本を燃やせと強制して、二人は本を火に投げ込みます。
やさしい本泥棒のネタバレあらすじ:転
広場に残ったリーゼルは燃え残った本を拾います。その様子を白髪交じりの女性が見ていました。リーゼルの隠し持った本をハンスが見つけますが、持ちかえります。リーゼルは生母が共産党員だったのかをハンスに問いただし、総統が連れていったのだと気づくと総統なんか大嫌いと言います。ハンスは二度と言ってはいけないと強く戒めます。リーゼルが拾った本は、HG・ウエルズ著・透明人間でした。地下室で二人は読み始めます。その時、ドアを強くたたく音がします。マックスが合言葉を言うと家に率いられます。マックスは怪我をしていました。それを見ていたリーゼルにハンスは、マックスとの関係を話し、誰にも言ってはいけないと口止めします。マックスが自分の作ったスープを美味しく飲んでいるとローザが言ったとたん、マックスはむせ返ります。リーゼルはローザから用事を言いつけられ、町長の家に洗濯物を届けて代金を貰いに行きます。町長婦人は代金を支払ったあと、本が好きなの?と声をかけ、リーゼルを書斎に招きいれ、本を見せます。リーゼルが広場で本を拾うのを見ていた女性でした。リーゼルは夢を運ぶ人の本を読み始め、その姿を婦人が優しく見つめています。婦人はリーゼルにまた本を読みにいらっしゃいと言い、勇気のある子だと言いました。死神が、戦争で若者たちは敵に突進していると思っているが、本当は私に向かって突進していると話します。リーゼルが婦人を訪ねて本を読んでいると、本に書かれた名前は誰かと聞きます。婦人は本の好きな子で、この書斎の本を全部呼んだと話します。戦争で亡くなった息子のことでした。リーゼルは何も言えませんでした。マックスとリーゼルは仲よく話すようになっていました。ローザの意見で、マックスを人に見られないように地下室に移動させることになりました。マックスはリーゼルに外の様子をリーゼルのイメージで教えてくれるように頼みます。リーゼルが町長宅の書斎で本を呼んでいるところを町長に見られて、追い出されます。洗濯物の仕事を断られ、ローザは訳がわからなく不機嫌になります。ローザは一日二食にすると宣言します。ルディの父親も出征していきます。リーゼルとハンスが地下室に雪を持ち込み、マックスと雪投げをします。マックスはリーゼルに赤い表紙の本をプレゼントし、この本を自分の言葉で埋め尽くすように言います。マックスが熱を出して倒れています。三人は必死で看病します。リーゼルは町長宅の書斎に忍び込み本を盗み出します。リーゼルは繰り返し、本を盗み読み続けます。ローザは一生懸命マックスの看病をします。町長の家の前でルディに本を盗んでいるのを見つかってしまいます。ルディは赤い本をみつけ、マックスって誰だと問い詰めます。ルディはマックスをかくまっていることを聞きます。そこにフランツが来て、赤い本を川に投げ捨てます。ルディが川に飛び込み本を引き上げ、リーゼルの心にルディの優しい気持ちが伝わります。憲兵が各家庭の地下室を調べに来たので、マックスをリーゼルのベッドの下に隠します。地下室を調べますが何もありません。憲兵はハンスに党員になるように勧めて出て行きます。ローザが学校に来てリーゼルにマックスが意識を取り戻したことを教えます。二人は喜んで抱き合い、リーゼルはローザの本当の心を知ります。憲兵のユダヤ人狩りが酷くなりました。捕らえられる人をハンスがかばい憲兵に名前を控えられてしまいます。ハンスは自己嫌悪に鳴き、マックスは家を離れます。ハンスに召集令状が届きました。汽車に乗るハンスを見送り、ローザは残されたアコーディオンを持って泣きます。
やさしい本泥棒の結末
1942年、空襲が悪化します。防空壕で恐怖におののく人たちにリーゼルは話を聞かせます。みんなは耳をそばだてて聞いています。戦場では、ハンスの乗ったトラックが爆撃に合います。街で連行されるユダヤ人の中にマックスに似た背中を見つけ、リーゼルは名前を呼びながら追いかけます。リーゼルとそれを止めるルディは兵隊に倒されます。二人の母親が連れ戻します。リーゼルを父親そっくりだと言い、ローザは笑います。トラックから杖を持ったハンスが降りてきます。リーゼルとハンスは抱きしめあいます。ローザがハンスのアコーディオンを嬉しそうに聞いています。ハンスがリーゼルにマックスにしたことは意味があったのかと言うと、リーゼルは人間として普通のことをしただけだと言います。立派に成長したリーゼルをハンスは喜びます。リーゼルはマックスから貰った赤い本に自分の物語を書き始めました。自分が汽車に乗り、幼女に貰われて来て今にいたるまでを綴ります。死神が出て来て、自分が招いた人たちのことを語ります。リーゼルの弟、そして母親。フランツ、口の悪さを後悔しているローザ、もう一度アコーディオンを弾きたかったハンスの思いを話します。ハンスとローザが眠っている。街の建物が爆撃されていきました。朝になり、破壊された建物の中を捜索する人々。地下室からリーゼルが助け出されます。ハンスとローザの亡き骸を見て泣きだします。運ばれて来たルディに近づき、愛してると言うルディにキスをします。ルディは死神に抱き盗られました。ルディの死に顔を見てリーゼルは倒れてしまいます。気がついたリーゼルは、目にした本を手にします。町長夫妻を見たリーゼルは婦人に抱き付きます。2年後の1945年、アメリカ軍がドイツを占領します。リーゼルはルディの父親の仕事を手伝っています。そこに、スーツ姿のマックスが現れ、リーゼルは抱き合います。死神の話が続き、リーゼルが90歳で亡くなったこと、彼女の本は人々に感銘をもたらしたと話します。夫と子供に恵まれ、最後に愛をくれた人々を思い浮かべて亡くなったのだと話しました。
ジェフリー・ラッシュ氏のファンで、この作品を手にしました。
WWⅡ戦時下のドイツの一般市民を、共産主義国から来た一人の少女を通じて描いています。
引き取られた先の家では、敵国から来た文字の読み書きができない少女を身分を隠し学校に通わせ、そして、養父の恩人の頼みでユダヤ人を匿うことになる。最初はぎくしゃくした関係も、一つ屋根の下に暮らし、日がたつにつれ、家族と呼べるようになっていった。
おそらく、この一家のように匿った家は多くあったのだと思う。人種や国の違いなどというものは、友人になってしまったら、全く関係ないものだし。
ユダヤ人と少女の奇妙な友情やドイツ人との家族愛、そして、ほのかな恋愛も、戦況が激しくなる中で、進んでいく。
戦争が終わり、行方不明になっていた匿ったユダヤ人と少し大きくなった少女が再会するシーンは心を揺さぶります。
現実かどうかは定かではないですが、日本のWWⅡと重なるところもあり、WWⅡドイツの違った一面を見る作品だと思います。是非。