ろくでなしの紹介:1960年日本映画。大島渚、篠田正浩と並ぶ松竹ヌーベルヴァーグの旗手、吉田喜重監督の処女作。後の難解な作風とは違い、フランスの心理小説を思わせる簡潔なストーリーと構成になっている。
監督:吉田喜重 出演:高千穂ひづる(牧野郁子)、津川雅彦(北島淳)、川津祐介(秋山俊夫)、三島雅夫(秋山謙作)、山下洵一郎(森下)、林洋介(藤枝)
映画「ろくでなし」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ろくでなし」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ろくでなし」解説
この解説記事には映画「ろくでなし」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ろくでなしのネタバレあらすじ:起
東京のオフィス街を走っていく1台の自動車。歩道を行く若いOLのそばまで来ると停車し、「乗っていかないか。親父の会社に帰るんだろ?」と運転している男が訊ねます。彼は大学生の秋山俊夫。OLの方は秋山の父親の秘書・牧野郁子でした。毎月28日、郁子は秋山の父親の命令で銀行から多額の現金を下ろし、会社に持って帰るのですが、俊夫はそれを奪うつもりなのです。後部座席には彼の学生仲間が3人いました。彼らは半ば無理矢理に郁子を車の中に連れ込み、金の入った鞄を奪います。郁子は首謀者の俊夫を非難しますが、意外にも彼は会社の前まで来るとあっさり鞄を郁子に返却。社長である父親からたっぷり小遣いをもらっている俊夫にとってはその現金など欲しくもなく、ただのお遊びにしかすぎないのです。郁子は彼らを「ろくでなし」と呼び、秋山にその出来事を話しますが、息子に甘い彼はただ笑っているだけです。
ろくでなしのネタバレあらすじ:承
俊夫と仲間は強盗遊びのあとも秋山家でダラダラと過ごしていました。「郁子が俊夫たちのことを批判していた」と父親から聞きつけた俊夫はいたずらを思いつきます。「フランスから帰ったばかりのシャンソン歌手に歌を歌ってもらう」という触れ込みでパーティ会場に知り合いたちを集め、そこに郁子を連れて行こうという計画です。俊夫は郁子がその歌手だと紹介し、無理やりステージに立たせます。そうやって高慢な彼女に恥をかかせてやろうというのです。仲間の一人である北島淳が秋山に頼まれて帰宅途中の郁子をパーティに連れていきますが、俊夫たちと違って純真なところのある淳は土壇場で郁子を助け、外に連れ出します。
ろくでなしのネタバレあらすじ:転
やがて、秋山の会社でカタログ発送のバイトを雇うことになり、淳に好意を感じた郁子はその仕事を彼に世話します。世間に対して反抗的だった淳も気丈な郁子に愛情を覚え、素直にその仕事をすることになります。郁子の部屋に招待され、淳は彼女と肉体関係を持ちますが、素直に気持ちをあらわすことのできない彼は相変わらずニヒルな態度を崩しません。バイトの方も最初はまじめに働いていたのですが、郁子が保護者気取りで仕事場に様子を見に来るため、嫌になって辞めてしまいます。郁子はアパートの部屋まで淳を訪ねてきますが、常識を説く彼女がうるさくなっていた淳は彼女を追い返します。
ろくでなしの結末
そろそろ会社経営の後継者としての立場を考え始めた俊夫に対し、貧乏な遊び仲間のひとりは切羽詰まって金をたかるようになります。そして俊夫がそれをつっぱねると、その仲間は俊夫が持っていた拳銃を盗み、遊び半分でやった現金強奪を再び実行することを決意。銀行から会社の金を持って出てくる郁子を本気で襲おうというのです。淳もなりゆきで彼に同行しますが、土壇場になって郁子への愛情が蘇り、仲間と揉み合いに。淳は撃たれるものの、逃げ出した仲間を車で追い、ひき殺します。そして自らも郁子に抱かれながら息絶えるのです。
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