昭和怪盗傳の紹介:1977年日本映画。金持ちの家ばかりを狙う説教強盗・津田梅吉は庶民のヒーローでありました。貧困格差が激しくなる世の中で、一人戦う現代のねずみ男。そんな彼が家庭を持ち、守るべき者が出来たとき、彼はどう決着をつけるのでしょうか。
監督:岡本喜八 出演者:津田梅吉(仲代達矢)、スエコ(神崎愛)、キクチフミエ(岸田今日子)、警察(田中邦衛)、梅吉の父(大木正司)ほか
映画「昭和怪盗傳」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「昭和怪盗傳」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「昭和怪盗傳」解説
この解説記事には映画「昭和怪盗傳」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
昭和怪盗傳のネタバレあらすじ:起
時は昭和になったばかり。巷で話題の説教強盗・津田梅吉は、今日もまんまと泥棒をやりおおせたのでした。彼は普通の強盗ではありません、神出鬼没の説教強盗です。金持ちの家にばかり忍び込むと、その家主に面と向かって堂々と「お金を頂戴します」と刃物をちらつかせながら宣言するのでした。お金をもらうと、しばし家に居座り、時にはお茶まですすりながら「お宅は防犯管理がなってないね」とか「そんな贅沢な煙草は吸うもんじゃない」などと説教をし、頃合いの時間になると帰っていくのでした。何件も被害報告が出されているのに、なかなか警察が捕まえられないのには訳がありました。梅吉の昼の顔は、警察署に弁当を届ける仕出し屋だったのです。彼は、そこでこっそり警察の張り込み場所や作戦などを聞いて、そこを避けるように泥棒に入っていたのでした。そして彼にはもう一つ、左官屋としての仕事もありました。夜には説教強盗をしながらも、昼間も独楽鼠のように働いていたのです。
昭和怪盗傳のネタバレあらすじ:承
ところが、行きつけのカフェの女給さん・スエコと恋仲になった彼は、この結婚を機に説教強盗などという暗い家業からはきっぱりと足を洗い、堅気として生きていく決意をしました。奮発して二人の家も設けました。気も新たに、久しぶりに左官の仕事を教えてくれた師匠の家へ訪問すると、なんと一家心中をしてしまっていたのでした。貧困に喘いでのことだったと聞いて、真面目に一生懸命働いても生活なんて楽にならないんだと、暗澹たる気持ちで帰路に着きます。そんな時に、街の若い娘やスエコが「説教強盗」について意見しているのをもれ聞きます。彼女たちは口をそろえて「警察や金持ちがしてやられるのをみるのは胸がスカッとする。説教強盗は貧乏人の味方だわ」と言っているのでした。
昭和怪盗傳のネタバレあらすじ:転
強盗から足を洗ったのもつかの間、梅吉はその夜からいっそう張り切って説教強盗を再開します。まずは女流作家・キクチフミエの宅にお邪魔。彼女はなかなか肝の座った女性で、梅吉にブランデーを呑ませると、やや強引に一夜を共にしてしまうのでした。さらには後日、彼女はラジオで説教強盗についての情報をあることないこと並べ立て、梅吉の株(はなから立派なことはしておりませんが)を落としにかかります。これには梅吉もカンカンでした。 この頃になると日本の情勢が不安定になり、赤狩りが始まりました。梅吉も誤解されて赤としてしょっぴかれてしまいます。そこで、カフェでの知り合い・ノリちゃんが赤だったことを知ります。彼女は「貧乏だから赤になったのよ、貧乏人はみんな仲間でしょ。説教強盗と似たようなもんね。彼のすごいのは、たった一人で立ち向かっている所だわ」と梅吉に語るのでした。神妙な顔で家に帰ると、スエコが子供が出来たことを告げるのでした。
昭和怪盗傳の結末
ここらで大きな仕事をやってやらねばなるまいと一念発起した梅吉は、ついに元・内務大臣をターゲットにします。庶民を代表して本気の説教を打ち、彼の不正行為を次々と露にしていきます。ところが、あと一歩の所で防犯ベルを押されてしまい、泣く泣く逃げ出す梅吉なのでした。明け方の線路をとぼとぼと歩いていると、なんと「説教強盗逮捕」の号外がでています。逮捕された男は強盗とは全く関係のない貧乏人なのでした。警視総監はなかなか捕まえられない説教強盗に業を煮やし、無実の貧乏人をさらしあげたのです。「貧乏人はみんな仲間でしょ」、ノリちゃんの言葉が頭に響きます。梅吉は仲間を救うべく、自首しようとしますが、残されたスエコと子供のことを思うと踏ん切りが着きません。そこで梅吉は、スエコの名前で密告し、自分に掛けられた懸賞金をスエコたちに残すことですべてを解決しようとしました。スエコは梅吉が説教強盗だと大分前から気づいていました。そして、陰ながら応援していたのです。そのスエコの猛反対を振り切り、梅吉はおとなしくお縄を頂戴するのでした。さて、時は流れて50年後。今と昔、一体なにが変わったのかと梅吉は問いかけます。ここらでもう一度、どでかいことをしてやろうと、ビル群を見上げる梅吉なのでした。
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