昔々、アナトリアでの紹介:2011年トルコ,ボスニア・ヘルツェゴヴィナ映画。カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したトルコ発のクライム・ロードムービーです。殺害された遺体を発見するため、容疑者立ち合いのもと捜索を続ける警察官たち。検事や検死外科医も含めた彼らの脳裏によぎる思いとは…。タイトルの『アナトリア』とは“小アジア”を意味しています。
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン 出演者:ムハンメト・ウズネル(医師)、イルマズ・アルドアン(検事)、タネル・ビルセル(検察官)、アーメット・ムンターズ・タイラン(アラップ・アリ)、フィラット・タニシュ(ケナン)、アルジャン・ケサル(ムフタル)ほか
映画「昔々、アナトリアで」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「昔々、アナトリアで」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
昔々、アナトリアでの予告編 動画
映画「昔々、アナトリアで」解説
この解説記事には映画「昔々、アナトリアで」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
昔々、アナトリアでのネタバレあらすじ:起
ある日の夜、アナトリアの草原を3台の車がひた走っています。車はやがて1本の木の付近で止まり、そこから降りてきたのは殺人事件の容疑者ケナン(フィラット・タニシュ)とその弟ラマザン(バーハン・ユルディズ)を実況見分のため連れてきた警察官や検事(イルマズ・アルドアン)、検察医(ムハンメト・ウズネル)、軍警察など十数人です。警察官らはケナン兄弟が埋めたという遺体現場を捜索しているのですが、ケナン兄弟の曖昧な供述に振り回されて中々見つけられずにいました。手掛かりはどうやら湧き水のある場所らしく、捜索の間に警部の部下のひとりは検察医に「このあたりは今でも野蛮で危険な場所です。いつ誰に不意打ちを食らって殺されるかわからない。自分で自分の身を守らなければいけない。でも人間はいつか死ぬ。永久には生きられない」と語ると、検察医は「100年足らずでみな消えていなくなる。君も私も検事も警部も。こんな詩がある。“なおも時は過ぎ、私の痕跡は消え失せる。闇と冷気が疲れた魂を包むだろう”」と返しました。
昔々、アナトリアでのネタバレあらすじ:承
捜索の合間を縫って、検事は検察医と語り合っていました。検察医に離婚歴があることを知った検事は、以前に友人の妻が5ヶ月後のこの日に死ぬと言い、その日が来ると言葉通りに死んだことを打ち明けました。捜索は難航し、ケナンの一転二転する供述にキレた警部が彼を殴りつけ、検事は慌てて止めに入りました。結局一行は近くの村の村長(アルジャン・ケサル)の自宅で休憩を取ることになり、村長は一家総出で歓迎してもてなしました。捜索隊の一行は、村長の娘(カンス・デミルジ)を一目見るなりその美しさについ見とれてしまいます。彼女の眼差しに心を揺り動かされ、涙したケナンの前に、彼が殺した被害者ヤシャル(エロール・エールラスラン)の幻が現れました。そしてケナンは警部に対して自供を始めました。ヤシャルの息子は実は自分の子であり、そのことを知らなかったヤシャルと喧嘩になった際に殺してしまったのだ、と。一方、検察医は検事に友人の死んだ妻について再度尋ねると、検事の妻は出産した数日後に「これで死ねる」と言って死んだということであり、医師の診断では心臓発作だということだったのですが、検察医は薬の副作用の可能性も示唆しました。
昔々、アナトリアでのネタバレあらすじ:転
翌朝、ケナンの供述により手足を縛られたヤシャルの遺体が発見されました。首都アンカラへ戻った一行に人々が詰め寄り、ケナンに対して罵声を浴びせました。その中にはヤシャルの妻(ニーハン・オクツク)と息子がおり、息子はケナンに対して石を投げつけました。ケナンとラザマンは裁判にかけられることになり、ヤシャルの検死を担当することになった検察医は自分の部屋で離婚した妻の写真、そして自分が少年だった頃の写真に目をやりました。それから街に繰り出した検察医でしたが、行きずりのカフェの店主が昨日ヤシャルを見かけた男がいたと言うのです。しかし、ヤシャルは数日前に死んだはずなのに。
昔々、アナトリアでの結末
ヤシャルの検死の前に検察医は検事と死んだ友人の妻について語り合っていました。どうやら彼女が飲んでいた薬とは、過剰摂取すると心臓麻痺を起こすという“ジゴキシン”という薬らしいのです。検察医は憶測としながらも、検事の友人の妻は自殺した可能性があると語り、検事は以前に自身の浮気が発覚した時の様子を語りました。検察医は「ほとんどの自殺が人を罰するためではないですか」と応えました。やがて検死解剖が始まり、検察医とその部下は今後の裁判の焦点になるであろう重大な事実に気付きました。ヤシャルの身体にはこれといった異常は発見されず、どうやらヤシャルは生きたまま埋められた可能性があるというのです。検察医は窓の外に目をやると、そこには土手を下って帰って行くヤシャルの妻と息子の姿がありました。
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