美女と野獣(2014年)の紹介:2014年フランス,ドイツ映画。本家フランスでは有名な古典メルヘンの一つである美女と野獣の2014年実写版作品。ディズニーアニメで一躍有名になった物語はどう語られるのか、野獣にかけられた呪いの悲しい秘密。2017年にはディズニー製作の実写版「美女と野獣」が公開された。
監督:クリストフ・ガンズ 出演:ヴァンサン・カッセル(野獣/王子)、レア・セドゥ(ベル)、アンドレ・デュソリエ(商人)、イボンヌ・カッターフェルト(プリンセス)、エドゥアルド・ノリエガ、ミリアム・シャルラン、オドレイ・ラミーほか
映画「美女と野獣(2014年実写版)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「美女と野獣(2014年実写版)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
美女と野獣(2014年実写版)の予告編 動画
映画「美女と野獣(2014年実写版)」解説
この解説記事には映画「美女と野獣(2014年実写版)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
美女と野獣(2014実写版)のネタバレあらすじ:没落商人と子供たち
フランスのとある貿易商の船が難破し、商人と息子三人と娘三人は、あらゆる財産を借金のカタに取られ田舎に引っ込む事になった。他の兄弟たちが田舎暮らしを嫌がる中、末娘のベル(レア・セドゥ)だけはそれを拒むことなく受け入れた。田舎暮らしで二人の姉はお洒落ができず辟易している一方、ベルは家事や畑仕事に励んでいた。1ヶ月ほど経ち、難破した三隻の船のうちの一つが見つかった。これで交易品を扱って仕事が出来るし、借金も返せると思った父は都会に戻ろうと子供たちに言う。もちろんベル以外は賛成。姉たちは、都会に戻るため新しい調度品が欲しいと、船の事で街へ交渉に行く父にリストを渡した。ベルにも何か欲しいものが無いかと聞くと彼女はバラの花を一輪だけ欲しいとのこと。交渉の結果、船の積荷は借金のカタとなり商人のもとに戻ることはなく、さらに一緒に連れてきた息子のマキシムが姿を消してしまう。息子の行きつけであろう街の酒場を訪ねると、息子はそこで多額の借金を作りごろつきに狙われている事が分かる。店主の計らいで逃れた商人は家路を急ぐが途中で雪道で馬ごと倒れてしまう。そして、商人は、たどり着いたバラに覆われた古城である野獣の住み家で寒さをしのぎ、空腹な腹を満たした。野獣の城には娘たちがリストにしていた化粧品やドレスがある。商人は誰かに手当てされた馬にそれらを積んで帰ろうとする。
美女と野獣(2014実写版)のネタバレあらすじ:一輪のバラと引き換えになったベルの命
そして、リストの最後に描いてあるベルの望んだバラを一輪摘んでいこうとすると、野獣(ヴァンサン・カッセル)が現れその強欲さを指摘し、罪の代償として命を差すよう宣告する。一日以内に戻ってこなければ、家族も皆殺しにすると脅してきた。なお、野獣の住み家は普段は隠されており、「何よりも美しい」と言う呪文でイバラが開かれる。家に帰った商人は、持ち帰った調度品にはしゃぐ娘たちをよそに、自分は野獣の元に戻らなければならないと言う事を告白する。ベルは自分がねだったバラが原因だと知ると、父親の身代わりとして自分が野獣の元に行くと言う。彼女を産むために母親を亡くした兄姉から父親までも奪いたくはなかったのです。ベルが野獣の住み家を訪れると、そこは静かな春の庭園で、城が彼女を導くように扉が開き、泉のある一室に彼女を通した。用意されたドレスを着て食堂へ下りていくと、野獣と思しき声が「座れ」と命令した。ベルは乱暴な口調に嫌な顔をするが食卓に着いた。すると野獣は言った。領地は散策していいが、日が暮れたら城の外には出ない事。毎晩七時には必ず食卓につけ、もし逃げようとしても森がお前を閉じ込めると。
美女と野獣(2014実写版)のネタバレあらすじ:野獣にかけられた呪いの秘密
夜、ベルは泉の光りに導かれ過去の夢を見る。それはこの城のかつての城主と妻。城主は狩りで黄金の雌鹿を仕留めるのを夢見ていたが、妻は夫が狩りに出て城を長期間空けるのを好まなかった。彼女は黄金の雌鹿を仕留めないと夫に約束させる。やがて二人の間には世継ぎが出来た。そんな夢を見たベルは恐怖心よりも好奇心の方が勝っていたので昼間一人でいる時間は領地を歩き回った。そして、夢で見た城主の妻の墓標をイバラの中に見つける。ベルは野獣に、命令ばかりで嫌だと反抗しながらも、野獣と城に住む生き物と少しずつ心を通わせていった。野獣もベルの無邪気さに惹かれていった。ベルは、一日だけでいいから家族の顔が見たい、その代わりダンスを一曲踊ると交換条件を出します。しかし踊り終えた野獣が家に帰す気が無いと知ると、ベルは夜の森に飛び出し凍った湖で野獣に追いつかれ、そのまま割れた氷の間に落ちてしまう。ベルを助けた野獣は、仕方なく一日だけ、家族の所に行ってよいと、赤いドレスとネックレス、そして部屋の泉の水を万能薬だと言って渡す。そして、夕食までに帰ってこなければ、死ぬのは野獣の方だと言い彼女を送り出した。家に帰るとそこはなぜか武装されていた。ベルは銃を持った兄たちに迎えられる。姉たちは美しい恰好をしたベルにびっくりし、彼女がいなくなってから寝たきりになっていた父親に会わせる。寝たきりの父親のそばでウトウトするベルは再び過去の夢を見る。狩りにのめり込んだ城主が黄金の雌鹿を黄金の矢で打ち抜くと、それは城主の妻だった。彼女は実は森の精で愛がどんなものか知りたいという願いが許され人間に変身していたのだった。怒る森の神は城主に呪いをかけ野獣の姿にしてしまう。この呪いを解けるのは人間の女だけ。森の精の亡き骸は、矢の刺さったまま墓標となりイバラが覆い、城もまた蔦(つた)やイバラに覆われた。
美女と野獣(2014実写版)の結末:ベルの願いは届くのか?呪いが解かれる時
ベルの家では兄たちがベルの脱いだマントに付いていた宝石を見て、野獣の所へ行けば借金を全部返せると、借金取りのゴロツキと共に野獣の城を訪れる。同行していた占い師のアストリッドだけが危険を察知し、森の精の墓標に刺さった金の矢を抜き、ゴロツキのリーダーに渡しここを離れようと促す。しかし城に入り彼らは奪えるものは全て奪って帰ろうとした。それを城の上から見ている野獣。父の横で目を覚ましたベルは、野獣に渡された万能薬を父に飲ませる。父は目を覚まし前のように元気になった。ベルは父親が起きたことを兄たちに伝えようと一階へ降りると、野獣の城へ発った後だった。ベルは残っていた兄と二人で城の近くのイバラの茂みまで行き、森の神に祈った。すると道が開けた。野獣の城の庭では、帰ろうとするゴロツキたちを石の巨人たちが暴れて襲っていた。とめに入ったベルは逆にゴロツキたちの人質になってしまう。そしてベルを奪い返そうとした野獣は、黄金の矢を胸に刺されてしまう。庭が狂い始める。ベルは兄たちと一緒に野獣を自分の部屋の万能薬の泉に運ぼうとするが蔦が彼らの後を追いかけてくる。占い師は石の巨人の下敷きに、ゴロツキのリーダーは庭の草に身体を覆われてしまう。追いかけてくる蔦に応戦する兄たち。ベルは泉に野獣を浸し刺さった矢を抜き、息を吹き返すのを涙を流して待った。その涙が一滴泉に落ちると、呪いの解けた野獣が元の姿の城主に戻り、泉から姿を現した。城の呪いも解けていくのだった。
後日談、城主とベルは子供を授かり、父親と花屋を始めた。兄たちは街に出て印刷業を、二人の姉は結婚した。ベルは子供たちを寝かしつけ、夫と抱きしめ合うのだった。
以上、2014年版 美女と野獣のあらすじと結末でした。
⇒ アニメ版「美女と野獣」のネタバレあらすじ
⇒ 2014年実写版「美女と野獣」のネタバレあらすじ
⇒ 2017年実写版「美女と野獣」のネタバレあらすじ
美女と野獣(2014実写版)のレビュー・感想:人の背負う欲と言う業
メルヘンは往々にして教訓になっている事が多い。この美女と野獣も例外ではない。それは、父親のベルへのバラの花、そして野獣の呪いも城主の黄金の雌鹿を仕留めたいという欲望が発端となっている。呪い=人間の欲望と置き換えてもいい。強欲はやがて、独占欲や支配欲を呼ぶ。茨が外からの人の出入りを拒むように生えていたり、森の精の墓標を覆うように生えていたのはそのせいでは無いだろうか。ただ、茨に関しては森の神の呪いによるところもあるかも知れない。それを打ち砕くのはベルの持つ純真さ。食事のシーンでベルは貴婦人の恰好していながら口数が多く自分でも子供っぽいと言っている。また、恐怖心よりも好奇心が強い所、家族に会いたいと申し出る所など、探せばまだ子供の部分が残っているように思える。このベルの持つ「子供の部分」が救いになっている。借金をしていたマキシムも後日談では印刷所で働いている。教訓としてのメルヘンとしては、人の欲が引き起こした悲劇の連鎖から、「欲張りはいけませんよ」というのが妥当かもしれない。
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