裸足で散歩の紹介:1967年アメリカ映画。新婚カップルが引き起こす様々な騒動をユーモアたっぷりに描いたコメディ映画。ロバート・レッドフォードとジェーン・フォンダが夫婦役を演じたことで話題になりました。
監督:ジーン・サックス 出演者:ロバート・レッドフォード(ポール・ブラッター)、ジェーン・フォンダ(コリー・ブラッター)、シャルル・ボワイエ(ヴィクター・ヴァレスコ)、ミルドレッド・ナトウィック(エセル・バンクス)、ハーブ・エデルマン(ハリー・ペッパー)、メイベル・アルバートソン(ハリエット)、ほか
映画「裸足で散歩」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「裸足で散歩」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「裸足で散歩」解説
この解説記事には映画「裸足で散歩」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
裸足で散歩のネタバレあらすじ:起
ハネムーンで甘いひとときを過ごしたポールとコリーは、ニューヨークの古びたアパートで新婚生活をはじめます。しかし越してきた新居はエレベーターもない高層階の部屋で、帰宅したポールは部屋まで上がってくるのも一苦労なのでした。弁護士のポールは翌日に大切な仕事を控えています。しかし2月の寒い中暖房は故障し、天窓からすきま風が入ってきます。そんな中コリーの母エセルが突然訪問してきます。エセルは新居を素敵だと誉め、娘の門出を祝ってくれるのでした。夜になるとさらに厳しい寒さが襲い、二人はなかなか寝付けません。チャイムが鳴り、部屋を開けると階上に住む中年男性のベラスコが立っていました。ベラスコはコリーに好意的に接し、皆でパーティーをすることになりました。家賃を滞納して家主に鍵を変えられたというベラスコは、コリー達の寝室を通って自分の部屋へ戻っていくのでした。
裸足で散歩のネタバレあらすじ:承
火曜日になりコリーの母エセルもやってきて、ベラスコの行き着けの店でディナーをすることになりました。陽気な性格のコリーはベラスコとともに飲んで食べて大はしゃぎします。しかしポールとエセルは店の雰囲気に馴染めず、すっかり疲れてしまうのでした。ベラスコは酔ったエセルを家に送り届けることになりました。一方コリーはディナーの席で不機嫌そうにしていたポールの態度が気に入らず、気取っていて面白味がない人だと非難します。ポールはコリーの好奇心の旺盛さを揶揄し、コリーは裸足で散歩するような遊び心もない堅物だとさらにポールを罵倒するのでした。感情的になったコリーは離婚すると言い出し、ケンカした二人はその夜別々に寝ることになるのでした。
裸足で散歩のネタバレあらすじ:転
ソファーで眠ったポールは翌朝風邪を引いてしまいますが、コリーは冷たく接してしまいます。そして早く部屋を出ていくようにポールに告げるのでした。するとそこへコリーの叔母から電話が掛かってきます。エセルが家に帰ってきていないという知らせでした。動揺したコリーがベラスコの部屋に行ってみると、ベラスコの寝巻きを着た母が出てくるのでした。ショックを受け、泣き出すコリーに母は昨晩階段で足を踏み外し、歩けなくなったためベラスコの部屋に泊めてもらったと話すのでした。娘の心配をよそにエセルとベラスコはすっかり仲睦まじくなっていくのでした。一方部屋を追い出されたポールは行き場がなく、公園で一人寂しく酒を煽っています。コリーは母にポールとの離婚を考えていることを打ち明けます。思い悩むコリーにエセルは自分を少し抑え、夫としてポールを立てることで夫婦は必ずうまくやっていけると励ますのでした。母の言葉に自信を取り戻したコリーは、ポールを探して町中歩き回ります。公園で見つけたポールは、すっかり泥酔して裸足で歩き回っているのでした。倒れこんだポールをコリーが抱き寄せますが、ポールはコリーこそ部屋を出ていくべきだと冷たく告げるのでした。
裸足で散歩の結末
部屋に帰ってくると興奮状態のポールは天窓から屋上へと上がり、コリーを仰天させます。コリーは降りれなくなったポールを助けようと屋上に上がり、手を取り合った二人は互いの大切さを再認識するのでした。そして近所の住民が見守る中熱いキスを交わします。二人はようやく仲直りすることができたのでした。
“ニューヨークを舞台にしたお洒落でペーソス感あふれるコメディ映画の佳作「裸足で散歩」”
ニューヨークの演劇のメッカ、ブロードウェイで1963年10月23日に公演の幕を開けてから大ヒット・ロングランを続けた、「おかしな二人」などのウェルメイドなコメディを得意とする劇作家・ニール・サイモンの「裸足で公園を」の映画化作品の「裸足で散歩」。
舞台の演出のマイク・ニコルズに代わって、ジーン・サックス監督が演出し、主演はブレーク前のロバート・レッドフォードが舞台からスライドして、相手役は舞台のエリザベス・アシュレイに代わって、当時、売り出し中だったジェーン・フォンダで、脇をフランスの名優・シャルル・ボワイエ、ミルドレッド・ナットウィック、ハーバート・エデルマンが固めるという豪華で素敵なメンバーが出演しています。
ニール・サイモンが得意とする笑いあり、ペーソスありの都会的な洒落たウェルメイドのコメディ映画として、古き良き時代のアメリカ映画の面白さを堪能出来ました。
ロバート・レッドフォードとジェーン・フォンダは「逃亡地帯」(アーサー・ペン監督)以来、2度目の共演ですが、この二人が新婚夫婦を演じ、ニューヨークのとある古びた屋根裏部屋のあるひどい部屋に住む事になり、そこから巻き起こるゴタゴタを笑いとペーソスで描いていきます。
このようなコメディ映画の良しあしは、脇役の出来不出来で決まる事が多いものですが、この映画では屋上の部屋の住人の「ガス燈」の名優シャルル・ボワイエ、ジェーン・フォンダの母親役のミルドレッド・ナットウィック、電話の工事人役の「男はつらいよ」シリーズにも出演した事のあるハーバート・エデルマンが、ユニークで味のある良い演技をしていて、主役二人に対して、絶妙なバランスの良いアンサンブル演技を示していて、映画全体が非常に良くなったと思います。
ニール・サイモンのいつもの、その独特なウィットの効いたセリフ廻しと都会的な洒落たタッチが観ていて、すごく心地良いというか、ハートウォーミングな感覚がいいんですよね。
そして、彼の得意とする、短いセリフを数人の登場人物が矢継ぎ早やに、かつスピーディに応酬するというコメディタッチの中に、辛辣で皮肉に満ちたペーソス感を醸し出すのが実にうまいなと、いつも感心してしまいます。アメリカ人が、ニール・サイモンのお芝居が大好きな理由がよくわかります。
その後、「明日に向って撃て!」で大ブレークする前の、若き日のロバート・レッドフォードがコメディ映画に出演しているのも珍しく、大いに見どころがあり、泥酔してセントラル・パークの中を裸足で歩き廻り、ゴミ箱を頭から被ったりするなど、コミカルで、非常にチャーミングで素敵な演技を披露しています。
また、若妻役のジェーン・フォンダもまだ、演技派女優になる前の明るくハツラツとした頃の可愛らしさに溢れていて、ロバート・レッドフォードともまさにピタッと息の合った演技を見せています。