サスペリアの紹介:1977年イタリア映画。「決して ひとりでは見ないでください。」という有名なキャッチコピーで、ヨーロッパのバレエ名門校に入学した若い娘を襲う恐怖と惨劇を描いたイタリアのミステリー・ホラー映画です。監督ダリオ・アルジェントの派手な色彩とゴブリンの恐怖を演出する音楽で、スタイリッシュな作品となり、以後のイタリアン・ホラーに大きな影響を与えた「魔女の三部作」の走りと言える秀作です。
監督:ダリオ・アルジェント 出演:ジェシカ・ハーパー(スージー・バニオン)、アリダ・ヴァリ(ミス・タナー)、ジョーン・ベネット(マダム・ブラン)、ステファニア・カッシーニ(サラ)、ウド・キア(Dr.フランク・マンデル)、ほか
映画「サスペリア」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「サスペリア」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
サスペリアの予告編 動画
映画「サスペリア」解説
この解説記事には映画「サスペリア」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
サスペリアのネタバレあらすじ:起
スージー・バニヨンは、高度なバレエ修行のために欧州へ行くことになりました。入門先はフライブルクの名門校でした。午前9時ニューヨーク発、午後10時40分ドイツ着にスージーは乗りました。激しい雷雨の中の到着したスージーは、空港で何とかタクシーを拾い、学校がある「エッシャー街」へと向かいました。人気のない林を抜けると真っ赤な館が現れました。その館がスージーが入学する「フライブルグ・バレエ学院」でした。スージーはタクシーを待たせて、学校に入ろうとすると、一人の若い女生徒パット・ヒングルが出てきました。彼女は何者かに追われて怯えるように叫んでいました。「秘密よ。扉の陰に。アイリスが3つ。青を回して」という言葉を残し、恐怖に顔を引きつらせながら、雷雨の中、立ち去って行きました。いきなり奇妙な光景を目の当たりにしたスージーは、直ぐに玄関に駆け寄り、ドアを開けるように頼みましたが、インターホンからは返ってきた言葉は、何故か冷たい拒絶の言葉でした。途方に暮れたスージーは仕方なく再びタクシーに乗り、一夜を過ごすため街へと向かいました。
その途中、林の中を吸部濡れになりながら、何者から必死で逃げるパットの姿を目にしました。その夜、友人のアパートに逃げ込んだパットは、奇怪な出来事が遭いました。部屋に入ったとき、パットはこの世のものとは思えない呻き声を耳にしました。パットが窓の外を確かめると、闇の中に緑色の目が浮き出ました。その直後、パットは突如窓ガラスを打ち破って現れた毛むくじゃらの腕に締めつけられました。窓ガラスを突き破り外に出されたパットは、腹や胸を幾度もナイフで突き刺されてしまいました。天窓を突き破り、パットは血に染まった無惨な首吊り状態となり、絶命しました。パットの悲鳴を聞きつけて駆けつけた友人も道づれとなり、惨死して絶命してしまいました。
サスペリアのネタバレあらすじ:承
翌日、スージーは再び学校を訪れました。温かく迎え入れてくれたのは、厳格な主任教師ミス・タナーでした。スージーはようやく入学することができました。そこには、現在海外旅行中という校長の代理する副校長のマダム・ブランク、盲導犬に引かれる盲目のピアニスト・ダニエル、ルーマニア人の醜い下男パブロ、マダム・ブランクの甥で9歳になる少年・アルバートたちがいました。
入学初日のレッスン中、突如、体の調子がおかしくなったスージーは、タナーに練習を休みたいと訴えましたが、タナーは「基礎的な力量を見ておきたい」と言い、スージーを踊らせました。スージーは踊りましたが、途中で床に倒れてしまいました。校医の診察を受けたスージーは、増血のために赤ワインを食事の時に飲むようにと言われました。スージーは出された赤ワインを飲むと、なぜかいつも眠くなって直ぐに眠ってしまいました。
スージーはサラと仲良くなり、彼女から学院の様子を色々と細かく知るようになりました。そんなある夜、学院内の寄宿舎の天井から白い蛆虫が大量に落ちてくるという気味悪い事件が起きました。学院内はパニック状態に陥りました。タナーは事件の原因を解明するため、屋根裏へと向かいました。原因はその屋根裏に保存していたハムやソーセージが腐蝕したためでした。そこで、消毒するまでの間、生徒たちは全員、マダム・ブランクの練習用バレエホールにベッドを並べて、寝起きすることになりました。
その真夜中、なかなか眠れないスージーとサラは、不気味ないびきを耳にしました。それは大きな仕切り用の白いカーテンの向こう側から漏れ聞こえていました。2人はその不気味ないびきに怯えました。サラはそのいびきの主が、海外旅行中の校長ではないかとスージーに告げました。翌朝、スージーはタナーにその事に尋ねましたが、ただ冷たい否定の答えが返ってきただけでした。
その翌日、アルバートがダニエルの盲導犬に噛みつかれて、大怪我をするという事件が起きました。タナーは激怒し、ダニエルを罵倒して、彼を即刻クビにしました。ダニエルは「目は見えんが、耳はいいんだ。こんな忌まわしい場所とはおさらばだ」と言い捨てて、出ていきました。
こうした不気味な事件の起こる中、スージーとサラは、夜ごとタナーたちが学校を去る靴音に耳を傾けました。スージーはある事に気づきました。タナーたちの靴音は校外へではなく、校内へと消えていっていました。好奇心にかられたサラは、靴音を追って廊下に忍び出ましたが、収穫は得られませんでした。その夜、ダニエルはビアホールからの帰り道、突然、彼の盲導犬が吠え始めました。ダニエルは何者かにつけられているという不気味な感じを受けました。すると不気味な音と影が走りました。次の瞬間、ダニエルは彼の盲導犬に噛み殺されてしまいました。
ダニエルの死は直ぐに学校中に知れ渡りました。生徒たちの間で「ここは呪われているのよ。エクソシストでも呼ぶべきね」と囁かれ始めました。意を決したスージーは、副校長のマダム・ブランクに最初に変死したパットが「秘密」「アイリス」という言葉を残して逝ったことを告げました。マダム・ブランクからその言葉の意味の答えは返ってきませんでした。
サスペリアのネタバレあらすじ:転
次の夜、スージーの寝室にサラが血相を変えて入ってきました。サラは最初に変死したパットとは仲の良い友達でした。サラはパットから死の直前に奇妙な話を聞かされ、謎めいたメモを託されたことを告げました。サラは「助けてちょうだい。あなた知ってる。魔女を」と言い、必死でスージーに助けを求めましたが、強烈な睡魔に襲われたスージーは眠ってしまいました。「逃げなきゃ」と危機感を感じたサラはメモをスージーに託し、学院から逃げ出そうとしました。何者かが追いかけてくる気配を感じ、サラは屋根裏へ逃げ込みましたが、執拗に何者かが追ってきました。サラは高い窓から隣の工具室に逃げ込みました。そこには無数の細い針金があり、サラは蜘蛛の巣にかかったかのように身動きが取れなくなりました。もがき苦しむサラの腹部を何者かがナイフで突き刺し、最後には喉を掻き切り、殺されてしまいました。
翌朝、サラの姿が見当たらないと不審に思ったスージーにタナーは、サラが荷物をまとめて退学していったことを告げました。奇妙に感じたスージーは、サラの友人の精神科医フランクを訪ね、学院で起きる奇妙な出来事について相談しました。フランクは学院の歴史と魔女についての話をした。スージーはより詳しいことをミリウス教授からも聞けました。
その夜、誰もいない寄宿舎に戻ったスージーは、意を決して赤ワインを捨てて、学院の秘密を暴こうとしました。スージーはサラがメモった靴音の数だけ廊下を歩くと、校長室に辿り着きました。スージーはパットの「アイリスが3つ。青いのを回すの…」という謎の言葉を思い出しました。壁には青いアイリスの飾りがありました。そのアイリスを回すと秘密のドアが開きました。その奥の部屋では教師たちが、危険なアメリカ人のスージーを呪い殺そうという儀式が行われていました。この学院は魔女たちの館だったのです。バレエも、もともと魔女の儀式の踊りから派生したものでした。
教師たちに姿を見られたスージーは、必死で別の部屋に逃げ込みました。そこには校長のエレナ・マルコスが、カーテン越しのベッドで眠っていました。スージーは勇気を振り絞り、カーテンを開けましたが、そこには誰もいませんでした。エレナの嘲笑が響きました。その時、突然、血まみれのサラの死体が動きだし、スージーに向かって来ました。スージーは絶体絶命のピンチに見舞われました。その時でした。雷の光がエレナ・マルコスの透明な身体の輪郭を浮かび上がらせました。スージーは無我夢中で、ガラス製の孔雀の羽根を手に取り、マルコスの喉を突き刺しました。魔女マルコスは死にました。
サスペリアの結末:魔女たちの最期
魔女マルコスの死と共に、赤いバエレ学院が炎に包まれ崩れ始めました。教師たちは阿鼻叫喚を挙げ、苦しんでいました。スージーは何とか館の外に逃げ出しました。折しも、スージーが学院に来たときと同じように、激しい雷雨が降っていました。激しい雨に打たれながら、スージーは笑みを浮かべて、立ち去りました。
「サスペリア」感想・レビュー
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「決してひとりでは見ないでください。」⇒このキャッチフレーズなくして、サスペリアは語れないでしょう。映画公開当時、私は小学校三年生だったので、キャッチフレーズ通り、ひとりでは見ないで、祖父と兄弟と一緒に見に行きました。とても怖かったことを記憶しています。大人気のドリフでも、志村がいかりやの顔を指さして、このフレーズを叫んだり、当時の小学生は、色々な場面で、このフレーズを活用していたと思います。大人になってもう一度見てみたいですね。
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決して一人では観ないでください。
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この映画はイタリアンホラーに多大な影響を与え、今なお名作として語り継がれているダリオ・アルジェント監督の代表作。
バレー学校に潜む魔女の伝説を追ううちに、次々と友達が不可解な死を遂げていくが、そのシーンは今見ても目を背けたくなるような描写になっている。
そういうシーンが怖く感じるのは、そこに行き着くまでの過程が恐怖を煽ってくれるからだ。
とにかくゴブリン作曲のあの曲が最高です。その場その雰囲気にぴったりですよね。
そして、独特の色彩に彩られた映像にゴブリンの曲、たまりませんね。主演を演じているジェシカ・ハーパーの本気で怖がっているかのようなあの表情と絶叫も相まって、怖さが作り上げられている感じがして素晴らしかった。
公開当時のキャッチコピー『決して一人では見ないでください』は、今でも通用すると思う。
「青いアイリスを回すのよ」-往年のホラー少女漫画を彷彿させるベタな展開に大林宣彦監督の「House」を思い出してしまいました。イタリアンホラーの巨匠であるダリオ•アルジェント監督のヒット作。マリオ•バーバといい彼といい、イタリアには変態的なホラー映画監督がいて面白い。ゴブリンのサントラとジャケアートもかっこいい。