からみ合いの紹介:1962年日本映画。南条範夫の同名小説を映画化したもので、小林正樹監督としては異色のミステリー。小林作品のレギュラースタッフである武満徹が音楽を担当し、珍しく純粋なジャズスコアを書いている。
監督:小林正樹 出演:山村聡(河原専造)、岸恵子(宮川やす子)、渡辺美佐子(河原里枝)、千秋実(藤井純一)、宮口精二(吉田禎蔵)、仲代達矢(古川菊夫)、ほか
映画「からみ合い」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「からみ合い」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「からみ合い」解説
この解説記事には映画「からみ合い」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
からみ合いのネタバレあらすじ:起
都心の一等地に本社を構える大会社の社長・河原。胃の不快を覚え、病院で検査をしてもらったところ、胃潰瘍だと診断されます。しかし担当医師の態度に不信を覚えた河原は旧友の医師のところで再検査を行い、自分が胃がんに罹っていることを知ります。余命は1年でした。やがて河原は酒を飲んでいた時に吐血。手術を受けますが、もう死は目の前です。
妻の里枝、秘書課長の藤井、女秘書の宮川やす子、顧問弁護士の吉田、そして吉田の助手の古川に集まってもらった河原は、彼らに頼み事をします。実は過去に関係のあった女性たち3人が河原の子供をそれぞれ産んでいて、いま行方知れずになっています。頼み事というのは、その子供たちを何とか探し出してほしいということでした。妻との間には子供はいないので、もし彼らがちゃんとした人間なら跡継ぎにしたいと考えたのです。河原の財産は不動産、有価証券、現金あわせて3億円ほどですが、河原が死亡するとそれらはすべて妻の里枝に行くことになっています。ところが子供がいるなら話は別――。「もし見つからなかったら、その分の財産は社会事業に寄付する」と河原が言い出したため、里枝は慌てます。法定遺留分の三分の一は確実に妻のものになりますが、欲深い里枝は全額を手に入れたいからです。
からみ合いのネタバレあらすじ:承
河原の指令により、秘書課長の藤井が子供3人のうちのひとりを探し、助手の古川がもうひとり、そして残りのひとりは河原自身が別の人間を雇って探すことになります。里枝はさっそく助手の古川を誘惑し、子供の捜索に手心を加えさせようとします。しかし吉田の注意を受けていたので、その手に乗りません。温泉宿まで足を伸ばした古川は、自分の担当の子供・まり子を発見。ヌードモデルをやっています。ところがそれは古川の勘違いで、実は彼女の姉が河原の子供なのです。まり子は姉を自殺に見せかけて殺害。自分が河原の子供に見せかけようとします。その事実を話した妹は古川に協力を約束させます。
からみ合いのネタバレあらすじ:転
また、河原自身が探すといった子供は、秘書のやす子が頼まれて探すことになりました。大学生になっていたその男の子・定夫は不良だということが分かり、河原の気に入りません。やがて、河原はやす子と話すうちに彼女に手をつけ、愛人にしてしまいます。そして秘書課長の藤井が探していた女の子は幼くして死亡していたことが判明。ところが藤井と男女の関係にあった里枝は昔彼の子供を産み、そのまま養子に出した経験がありました。そこで年格好の似たその実の子供を河原の子・ゆき子として連れてきます。
からみ合いの結末
その後、いよいよ河原の容態が悪化。彼は定夫を除いた2人の子供に遺言を伝えようとしますが、その場に警察がやってきて、殺人容疑でまり子を逮捕。古川も仲間として吉田弁護士に追放されてしまいます。おかげで遺言状は内容を変更する羽目に……。その間にやす子は自分が妊娠したことを河原に告げます。実はそれは別の男との間の子供なのですが、河原はあっさりと騙されてしまいます。その結果、財産は、妻の里枝に3分の1、ゆき子に3分の1、そしてやす子のお腹にいる子供に3分の1づつ分けられることになりました。
やがて河原が死亡。ゆき子が河原の子供ではないことが吉田弁護士の調べでバレてしまい、ゆき子はもちろん、詐欺罪に問われた里枝も相続権を喪失。結局、うまく嘘をついたやす子が最後に笑うこととなったのです。
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