ヒトラーを欺いた黄色い星の紹介:2017年ドイツ映画。第二次世界大戦の時代のドイツ・ベルリンで、ナチスの迫害から逃れ、身分を隠して生き延びた1500人のユダヤ人。実際の生き残りであ4人のユダヤ人の証言を基に製作された、決して生きる希望を見失わなかった4人の若者の姿を描いた伝記ドラマです。
監督:クラウス・レーフレ 出演者:マックス・マウフ(ツィオマ・シェーンハウス)、アリス・ドワイヤー(ハンニ・レヴィ)、ルビー・O・フィー(ルート・アルント)、アーロン・アルタラス(オイゲン・フリーデ)、ヴィクトリア・シュルツ(エレン・レヴィンスキー)、フロリアン・ルーカス(ヴェルナー・シャルフ)、アンドレアス・シュミット(ハンズ・ウィンクラー)、ロベルト・フンガー=ビューラー(フランツ・カウフマン)、ルーカス・ライバー(ヨッヒェン・アーント)ほか
映画「ヒトラーを欺いた黄色い星」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ヒトラーを欺いた黄色い星」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ヒトラーを欺いた黄色い星の予告編 動画
映画「ヒトラーを欺いた黄色い星」解説
この解説記事には映画「ヒトラーを欺いた黄色い星」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ヒトラーを欺いた黄色い星のネタバレあらすじ:起
ナチス支配下のドイツ・ベルリン。20歳の青年ツィオマ・シェーンハウス(マックス・マウフ)は当局から移送命令を受け、両親と共に集合場所に呼び出されました。担当官が一人ずつ名前を読み上げるなか、ツィオマは咄嗟に「工場に戻れと言われています」と嘘をつき、何とか収容所行きを免れましたが、両親とは生き別れになったっきり会うことはありませんでした。
20歳の女性ルート・アルント(アリス・ドワイヤー)は、ユダヤ人はダンスホールへの入場を禁止されていたため、友人宅でレコードをかけながら密かにダンスを楽しんでいました。全ての自由を奪われ、ユダヤ人弾圧が激化する時勢のなか、ルートは家族と共にゲール夫人の元に匿われました。敬虔なキリスト教徒であるゲール夫人は、娘の命を医師であるルートの父に助けてもらっていたのです。ルートは後に、今思えば彼女は反ナチだったと思うと振り返りました。
ヒトラーを欺いた黄色い星のネタバレあらすじ:承
16歳の少年オイゲン・フリーデ(アーロン・アルタラス)は、母の再婚相手がドイツ人だったので、母親は免除されているユダヤ人を証明する“黄色い星”のバッジをつけなくてはなりませんでした。オイゲンは週末だけバスで遠出することができる許可書を手に、彼女にバスに乗って会いに行くのですが、行く先々で常に秘密警察ゲシュタポに厳しく監視されていました。その後、オイゲンは養父のつてで一人だけ共産主義者の一家に匿われました。
両親を亡くし、知り合いのユダヤ人一家に身を寄せていた17歳の孤児ハン二・レヴィ(アリス・ドワイヤー)は、一家がゲシュタポに捕らえられるなかひとりだけ逃げ延び、母の友人であるキリスト教徒のベルガー夫人に匿われました。ハンニはブロンドの髪を金髪に染め、“ハンネローレ・ヴィンクラー”という偽名を名乗って潜伏生活を開始しました。
ヒトラーを欺いた黄色い星のネタバレあらすじ:転
こうしてそれぞれの境遇を抱えた4人のユダヤ人の潜伏生活が始まりました。
ツィオマは出征を控えるドイツ軍兵士に成りすまし、ベルリン市内の空きアパートに身を寄せました。その後もツィオマは危険な長居を避けて20軒ものの部屋を転々としました。
ルートは友人のエレン(ヴィクトリア・シュルツ)とともに戦争未亡人を装って外に出、薄暗い映画館で時を過ごしました。そんなある日、ルートはかつての友人シュテラと再会しました。しかし、シュテラはナチスに魂を売っており、同胞のユダヤ人を見つけては当局に密告するというスパイ活動をしていました。やがてルートはエレン共々ゲシュタポに追われる身となりました。
オイゲンは郊外の活動家ヴィンクラー(アンドレアス・シュミット)に匿われ、身分を隠すためにヒトラー青少年団の制服を与えられました。そんなある日、テレージエンシュタット収容所から脱出してきたヴェルナー(フロリアン・ルーカス)という男がヴィンクラーの家に逃げ込み、収容所におけるユダヤ人大量虐殺の実態を打ち明けました。
各地を転々と逃げ回る日々を送っていたハンニは、映画館で自分に好意を寄せている若い男に声を掛けられました。男は翌日に出征を控えており、映画館の窓口の仕事をしている母にハンニのことを託しました。ハンナは自分の素性を明かし、逃げ場がないことを伝えると、男の母はひとまず自宅に匿ってくれました。ハンナは後に、男の母はユダヤ人でも反ナチ活動家でもないごく普通のドイツ人なのに匿ってくれたことに感謝の気持ちしかなかったと振り返りました。
ヒトラーを欺いた黄色い星の結末
ツィオマはその器用な手先を生かし、ユダヤ人向けの身分証明書の偽装をして生計を立てていました。やがてツィオマはユダヤ人を極秘裏に支援しているカウフマンという男から大量の偽造証明書発注の依頼を受け、友人のルードヴィヒから元アフガニスタン大使館だった作業所を紹介され、幼い頃からの夢だったヨットを買えるほどの稼ぎを手にしました。しかし、ツィオマはナチスのスパイであるシュテラに声を掛けられ、その正体を知らぬまま隠れ家を紹介してしまいました。ツィオマは指名手配され、自転車とカバンを持って作業所から出て行きました。
ハン二は男の母と本当の親子のように暮らしていましたが、そんなある日、ベルリンに侵攻してきたソ連兵がハンニらの前に押しかけてきました。ハンニは自分がユダヤ人であることを明かし、男の母のことを「彼女もユダヤ人で、私の母です」と答えました。
ルートは友人と共に、ドイツ国防軍のヴェーレン大佐の邸宅でメイドの仕事を得ました。ヴェーレン大佐はルートらの正体に気付いていましたが、それでも掃除や子守りの仕事を与えて守ってくれました。やがて大佐の不在を狙って、ソ連軍が邸宅に入り込んできました。ルートはソ連兵に自らの素性を明かしている隙に、友人は偽造証明書をドイツ人のメイドたちに配りました。やがてルートは家族の元に帰ろうとベルリン市街地へ向かい、そこで空爆により甚大な被害を受けた街の惨状を目の当たりにしました。
オイゲンは、ヴィンクラーやヴェルナーとともに、ナチスの残虐さを世に知らしめるためのビラ作りに没頭していました。しかし、ヴェルナーらは密告により逮捕されてしまい、オイゲンはゲシュタポをやり過ごすため屋根裏部屋に身を潜めました。そんなある日、オイゲンの隠れ家にソ連兵が入ってきました。オイゲンは自分たちがユダヤ人であることを証明するために祈りの歌を歌ってみせたところ、一人のドイツ兵がオイゲンに抱き付いてきました。オイゲンは後に、ソ連兵にもユダヤ人がいるって知らなかったと当時を振り返っていました。
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