けんかえれじいの紹介:1966年日本映画。児童文学作家・鈴木隆の同名小説を鬼才・鈴木清順が映画化して異色の青春アクション・コメディです。第二次世界大戦前夜の岡山や会津などを舞台に、喧嘩に明け暮れる中学生の主人公・南部麒六(高橋英樹)の破天荒な青春を描きます。
監督:鈴木清順 出演者:高橋英樹(南部麒六)、浅野順子(道子)、川津祐介(スッポン)、片岡光雄(タクアン)、宮城千賀子(ヨシノ)、加藤武(マンモス先生)、佐野浅夫(近藤大尉)、浜村純(アヒル先生)、松尾嘉代(みさ子)、緑川宏(北一輝)ほか
映画「けんかえれじい」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「けんかえれじい」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
けんかえれじいの予告編 動画
映画「けんかえれじい」解説
この解説記事には映画「けんかえれじい」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
けんかえれじいのネタバレあらすじ:起
1935年、岡山。旧制第二岡山中学校に通う南部麒六(高橋英樹)は下宿先の娘の女学生・道子(浅野順子)に恋心を抱いていましたが、不器用で硬派な性分が災いして何もできずにいました。そんなある日、上級生に道子のことをからかわれた麒六は、その上級生たちにケンカを挑んでぶちのめしてしまい、その様子を見ていた先輩のスッポン(川津祐介)は麒六にケンカの才能を見出し、以後麒六はスッポンのもとでケンカ修行に明け暮れることになりました。しかし、道子とその母ヨシノ(宮城千賀子)にとっては、麒六の修行は奇怪なものに写っていました。やがてスッポンから“ケンカの極意”を伝授された麒六はたちまち学校中の不良をねじ伏せ、タクアン(片岡光雄)率いる学校内の最大派閥にして硬派集団“OSMS団(岡山セカンドミドルスクール団)に加わりました。
けんかえれじいのネタバレあらすじ:承
OSMS団はライバル校である関中のカッパ団と全面抗争に突入、麒六はその暴れっぷりを認められて一気に副団長にまで祭り上げられました。ところが麒六は相変わらず道子と満足に口が聞けず、逆に道子の方から話しかけてくる始末でした。道子は麒六のケンカをやめさせるため、わざわざ部屋に招き入れてピアノの練習をさせました。道子は夜の散歩には必ず麒六を連れて行きましたが、普段のケンカに明け暮れる日々とは打って変わって麒六はガタガタ震えるばかりで何もできませんでした。ところが、この二人の馴れ初めを見ていたタクアンは硬派にあるまじき行為とみなし、麒六を殴りつけようとしました。その場にスッポンが仲間たちを引き連れて駆け付け、麒六はスッポンの指示で物見櫓からOSMS団とスッポン軍団の大喧嘩を高みの見物とばかりに見つけていました。しかしそこへ道子が麒六の父(恩田清二郎)を連れて両陣営の仲裁に入り、道子は麒六に出てくるよう促しましたが、麒六は父が怖くて結局降りられませんでした。
けんかえれじいのネタバレあらすじ:転
麒六は道子への叶わぬ想いをケンカで発散する日々を繰り広げていましたが、そんなある日、麒六は軍事教練にやって来た配属将校の近藤大尉(佐野浅夫)に盾突いてしまい、停学処分を受けてしまいました。麒六はスッポンの「日本人同士じゃ。話せば分かるじゃろう」との言葉を受け、一旦は折り合いをつけようとしたものの、結局麒六とスッポンは岡山に居られなくなり出奔することになりました。叔父(福原秀雄)の住む会津若松に身を寄せることになった麒六は、道子に別れを告げると汽車に飛び乗りました。
会津若松に流れ着いた麒六は喜多方中学校に転校、ここでも転校早々地元の不良たちとケンカを繰り広げてしまいますが、そんな麒六にも俳句を趣味とする金田(野呂圭介)という友人ができました。金田は行きつけのカフェ店員のみさ子(松尾嘉代)に想いを寄せており、未だ道子への想いを引きずっていた麒六は彼女宛てに「お気が向きましたら次のマークに接吻をして送り返して下さい」という手紙を書きましたが、変身は「気が向きません」というそっけないものでした。
けんかえれじいの結末
麒六はライバル校の会津中学の不良集団・昭和白虎隊と名乗る三人組とケンカとなり、やがて喜多方中学の硬派連中をも巻き込んだ一大抗争にまで発展しました。この大ケンカは町中の評判となり、麒六は校長先生(玉川伊佐男)に呼び出されて大目玉喰らうのかと思いきや「人生には後で考えると馬鹿馬鹿しいと思うが、その時には命を張ってやることがある。それが男だ。学生よりもまず男だ」と逆に励まされてしまいます。
その後、叔父の家に戻った麒六の元に、はるばる岡山から道子が訪ねてきました。雪の降る中、麒六は思い切って道子に想いを伝えましたが、この時既に道子は長崎の修道院に入ることを決めており、別れを告げに来たというのです。すがる麒六を振り切り、道子は「お許しください」との手紙を残して去っていきました。失意のどん底に叩き落された麒六は、折しもニ・二六事件を告げる新聞の報道で、カフェで見かけた謎めいた男が事件の首謀者の一人である北一輝(緑川宏)であることを知り、もっと大きなケンカを求めて東京行きの汽車に飛び乗っていきました。
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