スタンダール・シンドロームの紹介:1996年イタリア映画。スタンダール・シンドロームとは偉大な美術作品に囲まれた人を襲う心身の異常。フランスの作家スタンダールのフィレンツェでの経験にちなんでフィレンツェの心理学者グラツィエラ・マゲリーニ(本作品にも協力している)が名づけた。連続レイプ犯捜査のためにフィレンツェを訪れたローマの若い女性刑事アンナもまた、幻覚を見、アイデンティティーの危機に襲われる。それが残酷な体験の始まりとなる。アルジェント監督が娘アーシアを主役の刑事に起用。イタリア映画で初めてコンピューター・グラフィックスを用いた。エンニオ・モリコーネの音楽が不穏さをかもしだす。そしてフェデリコ・フェリーニ等の名作で知られる撮影監督ジュゼッペ・ロトゥンノが手掛けた最後の劇映画になった。
監督:ダリオ・アルジェント 出演者:アーシア・アルジェント(アンナ)、トーマス・クレッチマン(アルフレイド)、マルコ・レオナルディ(マルコ)、ルイジ・ディベルティ(マネッティ警部)、パオロ・ボナチェリ(カヴァンナ医師)、ジュリアン・ランブロスキーニ (マリー)その他
映画「スタンダール・シンドローム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スタンダール・シンドローム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スタンダール・シンドロームの予告編 動画
映画「スタンダール・シンドローム」解説
この解説記事には映画「スタンダール・シンドローム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スタンダール・シンドロームのネタバレあらすじ:起・スタンダール・シンドロームの発症、そしてレイプ
フィレンツェ。マネッティ警部の命令で連続レイプ犯の情報を得るために出張中のローマの女性刑事アンナは連続レイプ犯人がそこに現れるという女性からの電話でウフィッツィ美術館へ行く。しかしある絵の中に吸い込まれた気分になって失神し唇を切る。彼女は自分の名前や身分を一時的に忘れてしまう。バッグを置き忘れて去りかけるが、アルフレイドという若い男が追い付いてバッグを渡してくれる。
ホテルに戻ったアンナは、今度は部屋の壁にかかるレンブラントの『夜警』の模写に吸い込まれる。そして、正気に返った彼女を昼間の男、アルフレイドが襲う。彼こそが彼女の追う犯人だった。アルフレイドはアンナを自動車の中に連れ込み、別の女をレイプした挙句、女を射殺するのを見せる。アンナは逃げ出すがアルフレイドは見逃す。
病院に運ばれたアンナは長い髪をはさみで切ってしまう。
スタンダール・シンドロームのネタバレあらすじ:承・アルフレイドの魔手
ローマに戻ったアンナはカヴァンナ医師のカウンセリングを受け始める。ウフィッツィ美術館での体験はスタンダール症候群と診断される。レイプ犯に狙われているかもしれないという恐怖とスタンダール症候群で精神的にまいっているアンナは、カヴァンナ医師の勧めでローマを離れて父と兄弟のいるヴィテルボの実家でしばらく暮らすことにする。彼女は少女時代に母と行った美術館でスタンダール症候群を経験したことを思い出す。また、アルフレイドにレイプされて生き残った他の女性たちの話を聞き始める。
だが、アンナに魔の手が迫っていた。アルフレイドはまずヴィテルボで女店員を誘ってセックスをしてから殺した。そしてある日アンナの家に侵入し、ジムから帰宅したアンナを、護衛の二人の刑事を殺して誘拐し、森の奥の、壁中に不気味な壁画の描かれた洞窟に監禁して犯す。アンナをウフィッツィ美術館へおびき寄せたのも彼だったことがわかる。
それでもアンナはアルフレイドがいないすきに手足の拘束を解き、すきをついてアルフレイドに反撃し、ほとんど死にかけのアルフレイドを激流に蹴り落とした。しかし、下流には多数の水路があるので死体の発見は困難だった。
スタンダール・シンドロームのネタバレあらすじ:転・アルフレイドの影におびえる
ローマに戻ったアンナはアルフレイドにつけられた顔の傷をかくすかのように長い金髪のウィグをする。スタンダール症候群は克服したが、未だにアルフレイドを恐れていた。
彼女は美術を研究するフランス人青年マリーと知り合い、二人はたちまち愛し合うようになる。そんなある日アンナの部屋に無言電話がかかり、アルフレイドからに違いないとアンナは怯える。アルフレイドがマリーを狙うのではと心配し、マリーが研究助手をしている美術館でマリーに会う。彼が仕事を終えるのを外で待つことになる。しかし、マリーは部屋に一人きりになったときに何者かに頭を撃たれて殺される。パトカーが美術館の前に停まるのを見てアンナは異変に気付いて駆け出し、マリーの死体に泣いて取りすがる。
スタンダール・シンドロームの結末:もう一人のアルフレイド
ある晩アンナのアパートをカヴァンナ医師が訪れる。アルフレイドはどうしてアンナのことを全て知っているのかとアンナにカヴァンナが問いつめている時、アパートにアンナの同僚のマルコからアルフレイドの死体が発見されたというニュースが届く。少なくとも三週間は水に浸かっていた死体。アルフレイドがマリーを殺したはずはなかった。
マルコがアンナの部屋に駆けつけたとき、血まみれの壁とカヴァンナの死体を見る。マリーを殺したのはアンナであり、アルフレイドが彼女の心に棲みついてしまったことが明らかになる。アンナはさらにマルコの首を自動車のトランクにはさんで彼を殺し街へさまよい出るが、マネッティ警部指揮の警官たちに抑えられ、警官に抱きかかえられて運ばれる。
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