アフガン・トラップの紹介:2011年フランス映画。国連多国籍軍フランス部隊に所属する主人公ナディアはタリバンとの戦いで捕虜となります。そんな窮地に手を差し伸べてくれたのは今はタリバン側の友人ハッサンでした。集団としての正義と個人としての正しさを描く意欲作。
監督:ミゲル・クルトワ 出演:マリ=ジョゼ・クローズ(ナディア)、サミュエル・ル・ビアン(ナディアの上官)、デヴィッド・カンメノ(ハッサン・ワリ)、クリスチャン・シャルムタン(ルロワ大佐)、ほか
映画「アフガン・トラップ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「アフガン・トラップ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
アフガン・トラップの予告編 動画
映画「アフガン・トラップ」解説
この解説記事には映画「アフガン・トラップ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
アフガン・トラップのネタバレあらすじ:起
2010年9月27日、アフガニスタン紛争地域では多国籍軍総勢14万人が活動していました。その内今作の主人公ナディアが所属するフランス軍は3500人です。ゲリラ戦を仕掛けてくるタリバンを相手に今日も作戦に向かうナディア達フランス部隊。今回の作戦目標はジョラヤンという地域です。偵察ではタリバン兵は発見されていないものの気を抜けません。そして作戦部隊が目標地域に移動する際にタリバン兵の待ち伏せに遭います。部隊は装甲車両で身を固めているものの高台からの攻撃に苦戦、犠牲者がでます。負傷者を救助しようと孤立する先頭車両に向かうナディアでしたがそれが裏目にでました。高台から回り込んできた敵兵に見つかり捕虜にされます。そしてナディアと他男性兵士1名を捕虜にした敵兵は仮拠点と思わしき洞窟へと連行しました。事態に気づいたフランス軍はヘリによる捜索活動を実施しますが成果はでませんでした。洞窟でヘリをやり過ごすタリバン兵達はビデオカメラに捕虜にした男性兵士を殺害する映像を撮ります。その光景を間近で見たナディアは恐怖します。しかし事態は思わぬ方向へと動きます。タリバン兵の元に一人の男性が訪ねてきたのです。そして彼らの間でなんらかの話し合いがなされた後彼女は何故か無事解放されたのでした。
アフガン・トラップのネタバレあらすじ:承
フランス軍基地に帰ってきたナディアは無事を喜ばれます。しかし何故解放されたのかは分かりません。そのことで上官に事情を聞かれるナディア。解放される直前に見た話し合いに来た男性が知り合いだったことを話します。男性の名はハッサン・ワリ。彼と彼の姉タマナはナディアがまだフランスで生活していた時の友人でした。フランスに居住していたハッサンとタマナ。しかし彼らは家族が米軍の誤爆被害に遭ったため一時帰国することに。そのまま彼らはフランスに戻ることはありませんでした。一連の報告をしたナディアは数日後対外治安総局の人間を名乗る人物の訪問を受けます。彼はルロワ大佐、ハッサンを追ってここにたどり着いたのでした。彼からハッサンはパシュトゥーン人の武装組織を率いていること。そしてパシュトゥーン人組織はタリバン穏健派で知られており接触できれば犠牲を出さずに話し合いで解決できるかもしれないことを聞かされます。そしてハッサンの友人であるナディアになんとか交渉するきっかけを作ってくれないかと頼みます。軍に所属するナディアが上官の頼みを断れるわけもなく提案を受けることに。情報ではカブールに姉タマナが住んでいるとのこと。タマナと接触したナディアは程なくハッサンとも会う事に。そして久しぶりの再会を喜ぶナディアとハッサンでしたが双方の立場の違いが明白になります。戦争を始めたのはアメリカだというハッサンに9.11事件を仕掛け宣戦布告したのはそちら側だと主張するナディア。しかしハッサンは事件自体がアルカイダによるものでタリバンには関係ないと語ります。このまま交渉は決裂するのか?そんな時ハッサンはある重要情報をナディアに聞かせます。
アフガン・トラップのネタバレあらすじ:転
ハッサンは市場で爆弾テロが行われると語ります。そしてそれは自分の主義に反すると。情報を受け取ったナディアはルロワ大佐に報告しますが独断専行だと非難されます。ハッサンとの会合でナディアは護衛を振り切って単独行動をしたためです。ハッサンと会うためには必要なことでした。しかしそのことでこの件から外されるナディア。テロの警戒は大佐率いる部隊が行うことになります。情報にあった当日、テログループの拘束に成功します。そこで情報の価値を認めたルロワ達上層部はナディアを作戦に復帰させることを決めます。そしてハッサン側も昔の友人ナディアとしか交渉しないと伝えてきていました。ナディアは厳戒態勢のもとハッサンのもとに向かいます。フランスが用意した条件はアルカイダとの決別、その見返りとしてアフガン政府の要職と50万ドルのお金を提供するということでした。しかしハッサンは今の政府に協力することはできないと言います。そしてこの交渉が成立すれば自身や家族の命を狙われると。ですが家族の安全とお金を受け取ること、そしてアルカイダとの決別は了承します。そしてお金は今のこの地方アラサイの知事になるために使うと話します。彼はもともと戦いを選んだのは間違いだったと考えていました。米国がイラクを陥落させたのを見て銃をとったのですが一般市民が泣く姿を見るのは辛く思っていたのです。手段を誤ったことを悔い市民の幸せのため汚職にまみれた現知事を破り自分達で平和を勝ち取ろうと決心したのでした。またそのための協力をフランスに要請したのでした。
アフガン・トラップの結末
ハッサンは交渉を承諾しました。そして現職知事と選挙で戦うことになりました。ハッサンとタマナの父はタリバン政権下ではアラサイの知事でした。しかし紛争で亡くなり現カルザイ政権が任命したマフーズ知事が誕生したのでした。マフーズはお金を有力者へばら撒き対抗勢力を完全に沈黙させていました。そんな状況での出馬ですがフランスと政府に不正行為に対する予防措置として国連の監視を要請したハッサン。不正防止が上手くいけば自分にも充分勝算があるとナディアに話します。そしてようやくフランス軍はジョラヤン村へのルートを確保できました。ジョラヤン村での活動はタリバン過激派からの住民の保護と援助が目的でした。橋の修繕や診療所の開設など部隊の仕事は山積みです。またフランスとアフガニスタン、双方の価値観の相違から色々問題が出てきました。ナディアはそれぞれに折り合いをつけ親友のタマナを看護師として招き入れます。しかしここでカルザイ政権がハッサンの動向に目を付け始めました。ハッサンの知事当選が現実化したことで政権側からフランス当局に圧力がかかったのです。そもそもフランスをはじめとする多国籍軍の役目は治安維持でした。選挙への口出しは余分な軋轢を生んでいました。フランスはハッサン支持を一旦延期することを決定します。しかしこれではフランス軍の護衛を失ったハッサンや家族の身が危うくなります。急いでカブールのハッサン達を迎えにいくナディア。ハッサン達はジョラヤンに拠点を移します。ジョラヤンの有力者も現政権のやり方に憤慨しハッサンに協力することを決めます。しかし部隊基地へと帰るナディアがタリバン過激派に襲われ拉致されてしまいます。彼らの要求はタリバンを裏切ったハッサンの身柄です。ハッサンが行けば彼らに殺されてしまうでしょう。村の長老達は口々にハッサンを止めます。しかしハッサンは決して友人を見捨てられる人間ではありませんでした。ハッサンはナディアの解放と同時に過激派の手で射殺されました。エンディング
以上、映画アフガン・トラップのあらすじと結末でした。
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