ハイジ アルプスの物語の紹介:2015年スイス,ドイツ映画。世界中で親しまれ、日本でもテレビアニメ化されて大ヒットしたヨハンナ・シュピリ著の児童文学『アルプスの少女ハイジ』の実写映画版の2015年版です。アルプスの大自然を舞台に、アニメ版でもおなじみのキャラクターのドラマが展開されます。
監督:アラン・グスポーナー 出演者:アヌーク・シュテフェン(ハイジ)、ブルーノ・ガンツ(アルムおんじ)、イザベル・オットマン(クララ)、クィリン・アグリッピ(ペーター)、カタリーナ・シュットラー(ロッテンマイヤー)、ハンネローレ・ホーガー(おばあさま)、マキシム・メーメット(ゼーゼマン)、ペーター・ローマイヤー(セバスチャン)、アンナ・シンツ(デーテ叔母さん)、リリアン・ネフ(バルベル)ほか
映画「ハイジ アルプスの物語」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ハイジ アルプスの物語」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ハイジ アルプスの物語の予告編 動画
映画「ハイジ アルプスの物語」解説
この解説記事には映画「ハイジ アルプスの物語」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ハイジ アルプスの物語のネタバレあらすじ:起
好奇心旺盛な少女ハイジ(アヌーク・シュテフェン)は雄大な大自然を誇るアルプスの小さな村にやってきました。ハイジは幼い頃に両親を亡くし、叔母のデーテ(アンナ・シンツ)に育てられていましたが、新たな仕事に就いたためハイジを育てる余裕のないデーテは村に住む祖父のアルムおんじ(ブルーノ・ガンツ)に預けることにしたのです。ところが、おんじは村人の間では人間嫌いな頑固者として知られており、ハイジの亡き父とも衝突していたという評判でした。
ハイジはすぐさま豊かな自然に溶け込み、放牧のヤギとも戯れ始めました。おんじは最初のうちはハイジを追い返そうとしましたが、デーテはハイジを置き去りにして帰っていってしまい、ハイジはやむなくヤギ小屋に寝泊まりすることにしました。
翌朝、おんじはハイジに搾りたてのヤギの乳を飲ませると、村の牧師(ペーター・ジェックリン)にハイジの預け先を世話してもらうことにしましたが、牧師は3日後に別の町の農家をあたってみるとしながらも「孫なのに放り出すのか?」とおんじを咎め、おんじは仕方なくハイジを家に住まわすことにしました。家の屋根裏部屋には干し草が敷き詰められており、気に入ったハイジは屋根裏部屋で寝ることにしました。
おんじの家にヤギ飼いの少年ペーター(クィリン・アグリッピ)がやってきました。おんじはハイジに手作りのチーズを持たせ、ペーターにハイジの面倒を見てもらうことにしました。ハイジはペーターとすぐに打ち解け、一緒にヤギの面倒をみるようになりました。そしてハイジのひたむきさや健気さは頑なに心を閉ざしていたおんじの心を開いていき、ハイジとおんじは固い絆で結ばれていくようになります。
そんなある日、ペーターは村の学校に行くことになり、ハイジたちとは翌年の春まで会えないと言い出しました。牧師や村人たちはハイジも学校に行く年齢であり、おんじに対してハイジを村の学校に通わせるよう説得しましたが、おんじはハイジを学校に通わせる気はありませんでした。
やがてアルプスに厳しい冬が訪れ、おんじはハイジに木彫りのワシをプレゼントしてくれました。ハイジは早く春が来ることを待ちわびていました。おんじはハイジをソリに乗せて雪山を駆け抜け、ペーターの家に遊びに行きました。ハイジはペーターの母(レベッカ・インダーマウアー)や盲目の祖母(モニカ・グブサー)とも仲良くなりました。学校から帰って来たペーターはハイジの来訪をとても喜び、「学校なんて退屈なところだよ。山で暮らすのに学校なんて行く必要はないよ」というペーターの愚痴に耳を傾けました。ハイジは迎えに来たおんじに「私は幸せよね」と言うのでした。
ハイジ アルプスの物語のネタバレあらすじ:承
アルプスに春が訪れてからしばらく経ったある日、デーテがハイジを連れ戻しに村へとやってきました。フランクフルトの大富豪ゼーゼマン(マキシム・メーメット)が娘の話し相手としてハイジを引き取りたいというのです。先が見つかったのだというのです。おんじは「一度捨てた子だろ?」とデーテの話を断り、ハイジもアルプスから離れる気は全くありませんでしたが、身勝手なデーテは無理やりハイジを馬車に乗せて出発、おんじとピーターから引き離してしまいました。ハイジは汽車のデッキから遠ざかるアルプスの山々を見つめていました。
ハイジはゼーゼマンの屋敷に連れて行かれ、ゼーゼマンの一人娘クララ(イザベル・オットマン)と執事兼教育係のロッテンマイヤー(カタリーナ・シュットラー)のもとに通されました。クララは生まれつき身体が弱く車椅子生活を余儀なくされており、明朗活発なハイジを羨ましく思いました。しかし、厳格で陰険なロッテンマイヤーはハイジのことを母の洗礼名“アーデルハイト”と呼び、お洒落なドレスを着せ、礼儀作法や言葉遣いなど知らないハイジに厳しいしつけを課しました。
ハイジは屋敷での暮らしに全く慣れず、夜な夜なアルプスで過ごした楽しい日々の夢を見ていました。
ハイジはクララと共に家庭教師(マイケル・クランツ)の授業を受けますが、ハイジはアルファベットすらも読むことができず、呆れ果てたロッテンマイヤーは長期出張中のゼーゼマンが戻ったらハイジを山へ送り返すことにしました。
ある時、ハイジは窓からアルプスが見えるか覗いてみましたが全く見えませんでした。そこでハイジは密かにクララと屋敷を抜け出し、街で一番高い塔まで登ってみましたがどの方角からもアルプスを望むことはできず、ハイジはおんじを思い悲観に暮れました。一方、塔の外で待っていたクララは街の人から子猫数匹を譲り受けました。やがてハイジとクララは使用人のセバスチャン(ペーター・ローマイヤー)に保護されて屋敷に戻りますが、ロッテンマイヤーはカンカンなうえに猫アレルギーを発症、子猫は仕方なくセバスチャンが面倒をみることになりました。その日の夕食、ハイジは罰としてロッテンマイヤーから食事抜きを言い渡され、クララの食事中は食道の壁を向いたまま突っ立っていることを強要されました。
ハイジ アルプスの物語のネタバレあらすじ:転
我慢がならなくなったハイジはドレスを脱ぎ捨てて山の服装に着替え、クララとロッテンマイヤーに「山に帰る」と告げました。クララと別れの抱擁をしたハイジは、デーテが別れ際に言った「嫌ならば山に帰れる」との言葉を引き合いにしてそのまま屋敷を出ようとしますが、デーテからハイジを金で買っていたロッテンマイヤーは「デーテの言うことは嘘よ。誰もが憧れる屋敷暮らしじゃない?」と固く引き止め、ハイジが密かに貯めていたパンを取り上げてしまいました。悲しむ姿を見て屋敷に留まらざるを得なくなったハイジでしたが、おんじやアルプスの山々への想いはより一層強まるばかりでした。
ある日、一人で食事を採っていたハイジは、召使いから「クララ様はご病気になったの。あなたのせいよ」と言われ、ロッテンマイヤーの目を盗んで部屋で医師(マルクス・ヘリング)の診察を受けているクララのもとへ忍び込みました。クララは健康的に異常はなく、ハイジになぜ山に帰りたいのか問いました。孤独なクララにとってはハイジは初めての親友であり、クララはいつまでもここに残ってほしいと懇願、ハイジの気持ちは揺れ動きました。
やがて屋敷にゼーゼマンとクララのおばあさま(ハンネローレ・ホーガー)が帰ってきました。クララは父やおばあさまとの再会を喜びましたが、ロッテンマイヤーからハイジのことについて報告を受けたおばあさまは自らの目でハイジの行いを観察することにしました。ハイジはすっかり勉強にやる気を失っていたのですが、おばあさまの優しさに触れて心を開き、おばあさまがアルプスの童話を読み聞かせてくれたことで自分も文字を読めるようになりたいと願うようになっていきました。
おばあさまは屋敷の暮らしはハイジには合わないということを感じ取りましたが、ゼーゼマンはクララがハイジのおかげで明るくなったとして、ハイジを山へ帰す気はありませんでした。
ある日の夜、召使いのティネット(イェラ・ハーゼ)は屋敷内に不審な物音を嗅ぎ付け、ロッテンマイヤーに幽霊がいるのではと報告しました。セバスチャンも交えて屋敷を捜索していると、なぜか鍵をかけたはずの玄関が開けっ放しになっていました。泥棒の入った痕跡はなく、セバスチャンから報告を受けたゼーゼマンは自ら幽霊を退治すると息巻き、クララとハイジには何も告げるなと命じました。
翌朝、目を覚ましたハイジはおばあさまから与えられた童話の本に目を通し、ようやく自分が文字を読めるようになったことに気が付きました。クララやおばあさまたちはハイジの成長を喜び、ゼーゼマンはハイジはずっとこの屋敷で暮らすと宣言しましたが、そのことを聞いた途端にハイジの表情は曇っていきました。
ある雨の夜、おばあさまは屋敷を離れ、ロッテンマイヤーはこの時を待っていたかのようにハイジに辛くあたりました。深夜、チェスを打っていたゼーゼマンと医師は不審な物音に拳銃を取り、屋敷内を捜索したところ、玄関を開けていたのは何とハイジでした。ハイジは突っ立ったまま夜空を眺め、そのまま寝室に戻っていきました。医師はハイジが夢遊病にかかっていると判断、ゼーゼマンが体の冷えたハイジにかけるための毛布を取ろうとしたところ、クローゼットからはハイジが貯めていたパンが見つかりました。医師はハイジの山への思いの強さを感じ、ハイジはホームシックになっているとしてゼーゼマンに彼女を山へ帰すよう忠告しました。ゼーゼマンから伝え聞いたクララは「私だって病気よ」と取り乱し、ハイジに「山に帰ればいいわ。出て行って!」と告げ、そのまま部屋に引き籠ってしまいました。
ハイジ アルプスの物語の結末
ハイジはゼーゼマンの計らいでようやくアルプスに戻れることになりました。出発の日、ハイジはクララとの友情の証として、おんじからもらった木彫りのワシをゼーゼマンに渡し、クララを山へ来させてもらえるよう懇願しました。ロッテンヤイヤーが「これでようやく静かになれる」というのを立ち聞きしたティネットは、皮肉を込めて子猫の1匹に“ハイジ”と名付けました。
セバスチャンに村まで送ってもらったハイジはペーターと再会を果たし、歯が弱い彼の祖母のために屋敷から持ってきた柔らかいパンを、ペーターにはソーセージをお土産として渡しました。そしてハイジはようやくおんじと再会を果たし、二人は固く抱き合って喜びを分かち合いました。
すっかり元気を取り戻し、本来の生活に戻ったハイジはペーターのヤギの世話を手伝い、おんじが作ったチーズを喜んで頬張りました。やがてアルプスに再び冬が訪れ、おんじはハイジを学校に通わせるために冬の間は村で過ごすことにし、読み書きができるようになったハイジはペーターの勉強を手伝う一方でクララに手紙を書き始めました。学校の授業で、生徒たちは教師を務める牧師から将来の夢を聞かれ、ペーターはヤギ飼いを続けると言い、ハイジは作家になりたいとの夢を語りました。
「私の一番の夢は、クララに山に来てもらうことです」・・・ハイジからの手紙を受け取ったクララはハイジにお別れを言わなかったことを思い出し、おばあさまの計らいでハイジの山に行くことになりました。山に辿り着いたクララはハイジとの再会を喜び、おんじは数日間滞在させてほしいというおばあさまの頼みを受け入れて酒を酌み交わしました。
ハイジはクララをペーターに紹介しましたが、ペーターはクララが歩けないことを理由に山のヤギ放牧には同行させませんでした。それでもクララはハイジから山の暮らしを教わり、すっかり元気を取り戻しました。しかし、ハイジがクララに取られたと思い込んだペーターは、嫉妬心からクララの車椅子を崖に落として壊してしまいました。車椅子がないのに気付いたクララは探してほしいと頼み、ペーターの仕業だと見抜いたおんじは「懲らしめないとな」と呟きました。
クララを背負ったおんじとハイジは山を登ってペーターに追い付き、自分が迎えに来るまでハイジとクララの面倒を見るよう言い付けて山を下りました。ハイジがベリーを摘みに行っている間、アルプスの雄大な自然に魅入られたクララは蝶々を追おうとして自然と立ち上がり、ハイジとペーターの手助けを得て少しずつ歩けるようになりました。それからクララはハイジの励ましを受けて歩く訓練を始め、迎えに来たゼーゼマンとおばあさまは車椅子なしで歩けるようになったクララの姿に驚き、ゼーゼマンはクララを独りにさせてしまったことを詫びました。おばあさまは「これからはあなたが自分で書くのよ」とハイジに白紙のノートとペンをプレゼント、村の外の世界も経験したハイジだからこそ誰が何と言おうと自分が楽しいと思ったことはするべきだとアドバイスしました。
名残惜しみながらもフランクフルトへ戻るクララ一行を見送ったハイジは、早速もらったノートに物語を綴り始め、そしてどこまでも広がるアルプスの大自然を駆け回っていました。
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