MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間の紹介:2015年アメリカ映画。1991年に他界してからも今なおカリスマ的人気を誇るジャズの帝王、マイルス・デイヴィスが音楽シーンから姿を消していた1970年代後半の5年間を史実とフィクションを織り交ぜて描いたドラマです。『アイアンマン』『アベンジャーズ』などの名優ドン・チードルの監督デビュー作であり、チードルは主人公マイルスを演じたほか共同脚本も手掛けています。『スター・ウォーズ』などのユアン・マクレガーがマイルスを取材する記者を演じ、演奏シーンではマイルスゆかりの人々が参加したほか、一部でマイルス本人の音源も使用されています。
監督:ドン・チードル 出演者:ドン・チードル(マイルス・デイヴィス)、ユアン・マクレガー(デイヴ・ブレイデン)、エマヤツィ・コーリナルディ(フランシス・テイラー)、キース・スタンフィールド(ジュニア)、マイケル・スタールバーグ(ハーパー・ハミルトン)ほか
映画「MILES AHEAD マイルスデイヴィス 空白の5年間」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「MILES AHEAD マイルスデイヴィス 空白の5年間」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「MILES AHEAD マイルスデイヴィス 空白の5年間」解説
この解説記事には映画「MILES AHEAD マイルスデイヴィス 空白の5年間」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間のネタバレあらすじ:起
「自分が独自の何かを生み出す時は、限界なんてないさ」
大物ジャズミュージシャンのマイルス・デイヴィス(ドン・チードル)は記者の問いにこう答えました。さらにマイルスは「俺の音楽を“ジャズ”なんて呼ぶな。俺の音楽は決して型にはまるようなもんじゃないんだ。言うならば“ソーシャル・ミュージック”だ」と続けました。そして、マイルスは1975年からこれまで5年間もの間活動を停止していた理由を「表現したいものなんてなかったからだ」と語り、活動停止期間には音楽とは全く関係のないことをしていたことを明かしました。
マイルスと「ローリングストーン誌」の記者デイヴ・ブレイデン(ユアン・マクレガー)はギャングに追われていました。銃声が鳴り響く中、二人は車を捨てて逃げようとしましたが、その際にマイルスは新作のテープを落としてしまいました。
この出来事の以前、マイルスは自宅でコカインを吸いながらテレビのボクシング中継を見ていたところ、ドラッグの売人からいつ金を払うのかという催促の電話が鳴りました。しかし、マイルスはこれを無視、自身の新作音源をチェックしました。ラジオを付ければマイルスの特集が組まれていましたが、マイルスは直接ラジオ局に電話すると、誰もが最高傑作と評するアルバムは失敗作だから別のアルバムをかけてくれとリクエストしました。そしてマイルスは離婚した元妻のフランセス・テイラー(エマヤツィ・コーリナルディ)の姿を思い浮かべていました。
マイルスは新作を待ちわびるレコード会社に対し、「曲が欲しけりゃ俺に2万ドルを送ってこい」と要求しました。その時、マイルス邸の玄関にデイヴが現れ、取材を申し入れてきました。マイルスは取材を受ける気もなく、デイヴに殴り掛かってきましたが、デイヴは隙を突いて自宅内に入り込み、デープレコーダーに自宅内の様子を録音しました。激昂したマイルスはデイヴに拳銃を付きつけましたが、デイヴがレコード会社からの要請で訪ねてきたと知るや「お前、車の運転はできるか?」と問うてきました。
MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間のネタバレあらすじ:承
マイルスはデイヴを連れてレコード会社に乗り込みましたが、会社側はデイヴのことを知らず、彼をマイルス宅に送り込んだ事実もないと否定しました。マイルスは自分のセッションテープの権利を明け渡すことを拒否しますが、その場に居合わせたプロデューサーからジュニア(キース・スタンフィールド)という若いミュージシャンの面倒を見てくれと依頼されました。マイルスはキレながら立ち去り、デイヴもセッションテープをネタに見逃してくれと頼むと逃げるように立ち去っていきました。プロデューサーは「あの男は生きているより死んだ方が金になる」と本音を明かしました。帰り際、マイルスは自らが参加したフランセスのレコードジャケットを見て、自らの過去を振り返り始めました。
マイルスは若かりし頃、友人を介してダンサーだったフランセスと出逢い、彼女に一目惚れしたマイルスは連絡先を渡しました。それからマイルスはダンスのレッスンをしているフランセスのもとを訪れ、二人は距離を縮めていきました―—―。
気が付くと、マイルスはデイヴの車を奪って走り去ろうとしていました。街で一番の上物のコカインを知っているというデイヴの説得に応じたマイルスは、早速持ち主である金持ちの子のもとへ向かいました。デイヴの交渉により、マイルスがレコードにサインをすることで価格をまけてもらいましたが、マイルスはその中の1枚であるフランセスとのレコードを見て、彼女と愛し合った日々に思いを馳せていました。
マイルスがデイヴと共に自宅に戻ると、友人たちが勝手にパーティーを開いていました。マイルスは急いでテープを隠すと決して家じゅうを嗅ぎ回らないことを条件にパーティーの続行を許可、デイヴを自宅内のレコーディングルームへと招きました。その頃、パーティーにはレコード会社の重役やプロデューサーらがジュニアを連れて参加していました。
そうとも知らないマイルスは早速コカインにありつき、デイヴに酒を取りに向かわせましたが、デイヴはその際にデープを発見してしまい、その存在はプロデューサーらの知るところとなってしまいます。
MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間のネタバレあらすじ:転
マイルスはデイヴにピアノを聴かせながら自身が影響を受けた音楽について語り、「進化しない音楽は死んだも同然だ」と自らの音楽観を語りました。デイヴは元妻の再婚相手に殴られて離婚手当てを請求されたと打ち明けると、マイルスは自室のサンドバッグを殴らせ、「手当てを請求するような女には近づくな。女房ってのはとても大事なものだ」と語りました。
マイルスはまたしてもフランセスとの日々を思い出しました。マイルスはこのレコーディングルームにミュージシャンたちを迎え入れてセッションに明け暮れ、革新的な音作りに邁進する一方、フランセスは舞台の仕事のため遠方に居ました。マイルスは彼女に代役を立てて今すぐ戻って来るよう告げ、結婚の意志があることを伝えました。やがて二人は結婚、幸せな日々が続くかのように思われました―—―。
翌朝、デイヴが目を覚ますと、マイルスが隠していたテープが盗まれていました。レコード会社の仕業だと気付いたマイルスとデイヴは、ジュニアがリハーサルする場に乗り込みました。マイルスはそこで、ジュニアの野心的な演奏スタイルに若き日の自分を重ね合わせました。あの日、マイルスは自身のバンドのステージにフランセスを招待していたのですが、些細なことから警察とトラブルになり、拘置所に連行されてしまいました。フランセスに迎えられて自宅に戻ったマイルスは、彼女にダンサーを引退するよう求め、彼女も受け入れましたが、やがて二人の間が些細なことから悪化していきました―—―。
マイルスの姿を目撃したジュニアはその場から逃げ出し、マイルスとデイヴが問い詰めると、ジュニアは「確かに僕が盗みました。でも、あなたを助けたくてやったんです。この人(デイヴ)も盗もうとしてたんだ!」と証言しました。しかし、既にテープはレコード会社の手に渡った後でした。
MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間の結末
マイルスとデイヴはジュニアを連れてレコード会社に乗り込み、拳銃で幹部たちを脅しながらテープを奪還しましたが、幹部は用心棒として雇っていたギャングにテープの回収を命じました。マイルスとデイヴは車で逃げますがマイルスは足を撃たれて負傷(ここで冒頭のテープを落とした場面に繋がる)、結局テープを奪われてしまいました。
それでもマイルスはデイヴの忠告を無視して「俺の音楽は必ず取り返す」と宣言、ギャングの足取りを追いましたが、マイルスの傷はかねてからの持病である慢性的な股関節の炎症の痛み、そしてフランセスを傷つけてしまったドラッグなどの問題を思い起こさせました。
マイルスは痛みで朦朧とするなか、とあるボクシング会場に顔パスで潜り込み、最前列で観戦していたレコード会社の幹部やプロデューサーと対峙、そこへデイヴも乱入して会場は大混乱に陥りました。デープを奪還してデイヴと共に逃げるマイルスの目には、リングの上でバンドを率いてトランペットを奏でるかつての自分の姿が映りました。
マイルスはジュニアを連れ、デイヴの車で会場から逃げ去りました。マイルスの脳裏には、フランセスとの別れを決断した日の光景が浮かんでいました。マイルスは病院に行くことを拒んで自宅に戻り、取り戻したテープをプレイヤーにセットしました。音源は未完成のバック演奏のみであり、がっかりするジュニアらを前にしてマイルスは愛用のトランペットを取り出し、二人の前で奏でようとしましたが、長年のブランクからか上手く奏でることはできませんでした。その姿に失望したデイヴはマイルスのゴシップ記事を書くと息巻き、口論になりかけたその時、トランペットを奏でるジュニアの姿にインスピレーションを得たマイルスは彼にピアノを弾かせ、指示を出して曲作りを完成させました。
活動再開を果たしたマイルスはデイヴのインタビューに応じ、「これが俺の答えだ。(音の感想について問われると)それはお前が書くべきことだ」と語ると、フランセスのレコードを携えて仕事場に向かいました。そしてマイルスは気心知れた仲間たちと共に完全復活をアピールするステージに立ちました。
この映画の感想を投稿する