母を求める子らの紹介:1956年日本映画。新聞の「親探し運動」をたよりに行方不明の息子を探し続けるあきは、ある養育院の保母を務めることになる。実際に新聞連載された運動に材を取ったドラマ。主演は母物で名高い三益愛子。監督は子供たちがいきいきと活躍する映画で名高い清水宏。
監督:清水宏 出演者:三益愛子(山本あき)、川上康子(藤沢美佐子)、八潮悠子(杉本千代子)、品川隆二(吉川先生)、三宅邦子(藤沢院長)、 浦辺粂子(おばさん)その他
映画「母を求める子ら」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「母を求める子ら」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「母を求める子ら」解説
この解説記事には映画「母を求める子ら」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
母を求める子らのネタバレあらすじ:武夫を探して
山本あきの息子武夫は7年前、かくれんぼの鬼になって友達を探しにいったきり帰ってこなかった。今は11歳になっているはず。行方不明の武夫について日本中の養育院に照会したが未だに返事は来ない。代用教員をしながら、「親探し運動」で新聞に載る孤児たちの顔写真を手掛かりに、あきは武夫に面差しの似た子供をさがして各地の養育院を訪ねていた。今日は長野県の丘の養育院に行く。あきは路線バスの中で、養育院の少年利男が車掌に無賃乗車を咎められるのに出くわす。次の停留所で利男は下ろされかけるが、あきといっしょに養育院に行くということにしてもらう。新聞掲載の写真は武夫でないことがわかり、あきは帰りかけるが利男を始めとして子供たちがあきに向って「さよなら」と言う。そして今度はいつ来てくれるのかを問う。あきは丘の養育院の保母になる。
母を求める子らのネタバレあらすじ:名乗り出る母と子
藤沢院長は女医だが、赤ちゃんを誤診で死なせたことをきっかけに恵まれない子供たちのための養育院を始めた。院長の養女美佐子、彼女自身孤児だった千代、一人息子が戦死したおばさんが保母を務め、居眠りが趣味の五平爺さんがたった一人の男の職員で事務をする。彼らといっしょにあきは子供の汚れ物の洗濯等に励む。
利男がまたどこかにいなくなる。利男はあきに、長野市内の建具屋の家に母がいることを話す。利男は父が死んでから養育院に引き取られていたが、長野市内に母が生きていることを聞いていたので母を探し続けてやっと母が後妻になった家を見つけたが、母に名乗り出る勇気がなかった。あきはその建具屋に行き母親に利男のことを話す。建具屋は利男を引き取ることを喜んで承知する。あきと共に母親が養育院に行く。照れて隠れていた利男だったが、母と対面して引き取られていった。
母を求める子らのネタバレあらすじ:母への手紙
ある日、正子の母から手紙が来た。新聞で正子が養育院にいることを知ったのだ。今はできないがいつかは迎えに行くという。美佐子から便箋と封筒をもらって母への手紙を喜んで書く正子。それを見て孝一という子供も母への手紙を書き始める。彼の母親は行方が知れないのに。美佐子は母を恋しく思う気持ちに心をうたれる。
美佐子は小学校の吉川先生と恋仲である。そして吉川先生は転任して引っ越すことを機に美佐子にプロポーズする。しかし、孝一の手紙をきっかけに子供たちへの思いが強まった美佐子は結婚する気になれない。美佐子の縁談の断り役のおばさんも今度は断り役を嫌い、あきに相談する。あきは、結婚した美佐子が、子供たちの手紙の宛先の「母」になればいいのではと言う。吉川先生と美佐子は子供達に祝福されて汽車で新しい任地へ出発する。
母を求める子らのネタバレあらすじ:走り出したバスに
養育院に庄吉の父が訪れる。彼は外に女を作って母と庄吉を捨て、その後母が死んで庄吉は養育院に来た。父は女と別れ、今は福島の工事現場に行く途中で養育院を訪れたのだった。だが、庄吉は父を憎んで会おうとしない。父は帰ってしまう。あきは、子供の武夫があなたようだったら悲しいと話す。それを聞いて庄吉はバス停へ向かって走り出す。間に合わずバスは走り出すが、遠ざかる父の背中に向かって「お父さん」と叫ぶ。
母を求める子らの結末:武夫が見つかる。
美佐子から子供たち一人一人に手紙が来る。それに混じって長崎の養育院からあきへの手紙があった。武夫が見つかったのだ。だが病気だという。急いであきは長崎に行く。だが既に武夫は死んでいた。旅回りの劇団で子役をしていた武夫はトラブルを起こした劇団に置き去りにされてから養育院に入れられ、病気になって初めて本名を言ったのだった。母に会うのを心待ちにして「お母さん」と書いた書付を残して武夫は死んだ。
心の傷手を癒すためにあきは養育院を辞めることにする。だが子供たちに見送られて養育院を出ると、心に「お母さん」という声が聞こえる。振り返り、子供たちに「皆のお母さんはいる」と言う。「どこに」と問われて「ここ」と自分の胸を示す。再び養育院で子供等の面倒をみることになる。
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