パピヨンの贈りものの紹介:2002年フランス映画。幻の蝶を探すジュリアンと事情を抱えた少女エルザ。二人の交流を通して、家族へ愛情の伝え方と表し方について改めて問う。へんくつな老人と母親の愛情に飢えた少女の心の交流をほのぼのと描いたヒューマンドラマ。
監督:フィリップ・ミュイル 出演:ミシェル・セロー(ジュリアン)、クレール・ブアニッシュ(エルザ)、ナード・デュー(エルザの母)、フランソワーズ・ミショー(ウェイトレス)、ほか
映画「パピヨンの贈りもの」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パピヨンの贈りもの」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「パピヨンの贈りもの」解説
この解説記事には映画「パピヨンの贈りもの」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パピヨンの贈りもののネタバレあらすじ:起・蝶のいる部屋
長年、イザベルと言う夜行性の蝶を探しているジュリアン、彼の住むアパートの上の階に、とある母と娘が引っ越してきた。ある日、鍵がなく母親も不在で家に入れずにいる娘のエルザを仕方なく家に招いた。興味を持ったエルザが蝶がどうやって生まれるのか尋ねると、飼っているいる幼虫の事から教えた。しかし管理人に子供を預かっている事を話に行っている間に、立入禁止と言い置いた部屋にエルザが入ってしまい、部屋の中で育てていた蝶が逃げ出しているのを見て、エルザをアパートから追い出した。
いざ、蝶を探しに遠出をしようと言うその時、母親と連絡がつかず、一人でいるエルザを見つけた。一緒に連れて行ってと頼むエルザに、他人の子供を何も告げず連れて行くのはまずいと思いつつも、文句を言わない事を条件に車に乗せた。
パピヨンの贈りもののネタバレあらすじ:承・エルザを探す母
管理人にエルザを連れている事を告げようと電話をするも、入れ違いでエルザの母親が帰って来て娘の不在を心配して管理人に話をしている所だった。やがて、二人は携帯電話の電波も届かない山奥までやって来た。
誘拐を心配した母親は警察と一緒にジュリアンの部屋に入り、彼の携帯電話の位置で居場所を探ろうとしたが、エルザが携帯からチップを取り出してしまった後だった。始めは話の噛み合わない二人が、会話に花を咲かせる頃、山小屋に着き他の登山客と共に夜を明かした。
翌日、観察していた鹿が密猟者に撃たれ、悲しむエルザに死は一生の一部だと教えたジュリアンだったが、エルザの採った蝶を標本作製用の薬の入った瓶に入れようとすると、逆にミツリョウシャと言われてしまった。
パピヨンの贈りもののネタバレあらすじ:転・キャンプにて
ホームシックになったエルザを宥め、道なき道に迷いつつも、イザベルの飛ぶ場所に辿り着き、テントと誘蛾灯とシーツを設置したジュリアンは、蜜を吸わないイザベルは三日しか生きない蝶だという事や、発見者がスペイン人だったから女王の名前のイザベルをつけたと言う話をした。
そして夜も深くなり、眠ろうとすると、お話をしてとねだるエルザにシーツに手で様々な動物などの影をつくり物語を聞かせた。
その翌日、雨に降られた二人は、通りかかった近くの牛飼いの家に一晩滞在する事になった。その日はちょうど、牛飼いの主人の誕生日で43歳になったと言う。夜、ジュリアンは自分の息子がうつ病で28歳で死んだ事、蝶を採ってくる事が息子の頼み事でイザベルを探して来てと言ったその息子が生きていれば同じ43歳かもしれない事などを話した。
同じ頃エルザはこっそり母親へ電話をしたが、山奥の知らない家にいると言ったところで話を切ってしまい、母親はエルザが誘拐されたと信じ、テレビに出てエルザの情報提供を求めた。
パピヨンの贈りものの結末:二つのイザベル
キャンプでイザベルを待つ夜、エルザは自分の母親がとても若く、恋と妊娠を同時にし、気づいた時には中絶をするには遅かったと言う話をした。その時ひときわ大きな蝶の影がシーツに映り、ジュリアンが見に行くとイザベルのメスだった。しかし後からやって来たエルザがシーツを倒してしまい、蝶を逃ると、ジュリアンは怒ってあっちへ行けと言ってしまった。
翌朝、エルザが近くにいないことに気づいたジュリアンが探すと、岩穴に落ちたエルザが助けを呼んでいた。ジュリアンは牛飼いの家に助けを頼もうとしたが主人がおらず、警察へ駆け込むと、応じた警察官の所にジュリアンの指名手配写真が届いていた。
ジュリアンは誘拐の容疑で逮捕され、母親が到着したが、岩穴は大人が助けに入れるほど大きくなく、更に脆く危険だと言う事で手詰まりになりそうな時、牛飼い息子のセバスチアンが中に入りエルザを助けるのを手伝った。
後日、嫌疑が晴れ、釈放されたジュリアンは、母親失格だろうかと悩むエルザの母親に、自分が息子に言えなかった、愛していると言う言葉を伝えるように言った。エルザは日常に戻り、ただ、ジュリアンが飼っている幼虫の羽化する所を見ようと心待ちにしていた。そしてとうとう一匹のさなぎが羽化する所に立ち会うと、それはイザベルだった。その夜、空にイザベルを放ったエルザは母親の名前もイザベルなのだと明かした。
以上、映画「パピヨンの贈りもの」のあらすじと結末でした。
パピヨンの贈りもののレビュー・考察:気づかない事
エルザがイザベルというのは最後になって明かされるのだが、ジュリアンが蝶のイザベルを探していたように、エルザも母親のイザベルを探しているように物語が重なる。そして両者とも気づかないほど近くにいたと言う所は同じだが、母親のイザベルは娘に応えることができる。引け目を感じていた母親イザベルが、娘に感情を向けるようになると言う意味でも最後の羽化のシーンは印象深い。
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