悪魔の愛人: リダ・バーロヴァの紹介:2016年スロバキア, チェコ映画。第二次世界大戦前のベルリン。並外れた美貌を持つリダは女優の夢を叶えるため邁進していた。リダは女優として成功するためにナチス・ドイツの宣伝大臣・ゲッペルスに接近するが、やがてその権力と知性に惹かれていく。ゲッペルスの愛人となったチェコ女優・リダ・バーロヴァの生涯を描いたドラマ作品。
監督:フィリプ・レンチ 出演者:タチアナ・パウホーフォヴァー(リダ・バーロヴァ)、カール・マルコヴィクス(ヨーゼフ・ゲッベルス)、ギデオン・ブルクハルト(グスタフ・フレーリッヒ)、シモナ・スタショヴァー(リダの母)、マルチン・フバ(リダの父)
映画「悪魔の愛人 リダ・バーロヴァ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「悪魔の愛人 リダ・バーロヴァ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「悪魔の愛人 リダ・バーロヴァ」解説
この解説記事には映画「悪魔の愛人 リダ・バーロヴァ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
悪魔の愛人 リダ・バーロヴァのネタバレあらすじ:起
1930年代、プラハのルツェルナ・バー。そこには後にドイツで活躍する女優、リダ・バーロヴァの姿もありました。老女となったリダは1人の女子学生の求めに応じ、自分の生涯を語り始めます。
1934年のベルリン。リダは女優になる夢を叶えるためオーディションに参加します。並み外れた美貌を持つリダは配役にぴったりだと認められるものの、訛りが抜けず何度も台詞を失敗してしまいます。それを見かねた発音指導のスタッフは、オーディションに合格させるため、昼夜を問わず発音レッスンに励みます。
後日、リダは訛りが抜けた流暢なドイツ語を披露し、さらに自慢の歌とダンスで制作陣を魅了していました。無事にオーディションに合格し、憧れていたドイツ人俳優・グスタフとの共演を果たします。グスタフもリダの美貌に魅了され、やがて2人は恋人同士となります。
悪魔の愛人 リダ・バーロヴァのネタバレあらすじ:承
ある日、撮影現場にヒトラーと大臣・ゲッペルスが視察に訪れます。当時ナチスは映画をプロパガンダの一環として利用していました。
後日、主演を務めた「ヴェニスの船唄」が好評を博し、リダはグスタフと同居を始めます。偶然にも新居はゲッペルスの自宅近くにありました。近所づきあいとしてリダとグスタフはゲッペルスのホームパーティーに誘われます。
パーティーではゲッペルスがユダヤ人排斥を周囲に語る中、リダに熱い視線を注いでいました。それ以降、リダはゲッペルスと急接近し始めます。
同じころ、ハリウッドからも出演のオファーを受けるようになります。ハリウッドに事務所を構えるリッチーは女優として成功したいなら、戦争が激しくなる前にドイツから離れるべきだと諭します。それでもリダはゲッペルスと会うことを止めませんでした。
ドイツの情勢も大きく変化していました。リダは常連だった店の主人が強制収容所に連行されている現場に遭遇します。また、女優仲間のツェバもオーストリア人という理由で主役を降板させられていました。見かねたリダは、ゲッペルスへ直談判することを決意します。ゲッペルスにとって、好意を寄せるリダが会いに来てくれることは予想外の出来事であり、ツェバの続演を快諾します。
後日、ゲッペルスとリダの密会が新聞に報道されていました。グスタフは動揺の余り別れを告げますが、本心ではまだリダを愛していました。グスタフが制止する中、リダは家を飛び出しゲッペルスの車に乗り込みます。
その後、ハリウッドから高額契約の話が舞い込みますが、リダは契約を断ります。ゲッペルスと共に生きることを決意していたのです。
悪魔の愛人 リダ・バーロヴァのネタバレあらすじ:転
ゲッペルスは妻・マグダにリダと交際していることを告げ、離婚を申し込みます。しかしマグダにとってゲッペルスとの離婚はどうしても避けたいことでした。離婚を回避するべく、マグダはヒトラーへ夫の浮気と浮気相手がリダであることを告げます。
1938年、ゲールシュタインハウスに滞在していたヒトラーは、ゲッペルスへリダと別れるよう迫ります。ゲッペルス夫妻はドイツ国民にとって模範的な夫婦と知られており、離婚することは国民への裏切りに他ならなかったのです。
ゲッペルスから別れを告げられたリダは、さらに撮影中の作品を降板させられ、公の活動とドイツ国外へ出ることも禁止されました。失意の中にあったリダは飛び出し自殺を図りますが、運よく居合わせた助監督のクリスによって助け出されます。秘かに思いを寄せていたクリスは、リダを故郷プラハへ逃がそうと脱出の手助けをします。
クリスの助けを借りて脱出した夜、街は火に包まれ、大勢のユダヤ人が暴行を受けて収容所へ送られていました。戦時中最大のユダヤ人迫害であり、のちに「水晶の夜」と呼ばれる出来事です。明け方、リダは無事国境を越え、故郷プラハに戻ることができました。
悪魔の愛人 リダ・バーロヴァの結末
1945年9月、リダは国家反逆罪で起訴されます。裁判の結果によっては絞首刑になる可能性もありました。リダの家族もその影響を受け、母は警察の尋問中に亡くなり、妹も情緒不安定の末自殺していました。ただ一人生きていた父も足を負傷し、3ヵ月は安静を必要とする状況にありましたが、リダを救いたい一心で足を切断し、助命の為に奔走します。
しかしある日、リダは看守に呼び出されます。呼び出されたのは絞首刑の処刑場でした。目の前で刑が執行される中、リダも刑を待ち構えていました。リダの名前が所長によって呼ばれた直後、処刑場に大臣からの伝令が到着します。それは法務大臣によるリダの処刑免除を伝えるものでした。
全てのいきさつを語ったのち、リダは学生へインタビューの理由を聞きます。学生は論文のため、祖父母をホロコーストへ送った人物をなぜ大女優が愛したのか知りたかったからだと答えます。しかし話を聞くうちに学生の考えは変わっていました。
リダは学生へ明日も来るよう部屋の鍵を渡します。再び部屋の鍵が開いたとき、リダはソファに座りこんでいました。開いた扉から、光りと共にかつて愛したゲッペルスの姿が現れます。ゲッペルスはリダの隣にあるランプの照明を消し、部屋は暗闇に包まれるのでした。
この映画の感想を投稿する