快盗ルビイの紹介:1988年日本映画。小泉今日子が扮する快盗ルビイが、真田広之が扮する純朴なサラリーマンと繰り広げる、おしゃれでチャーミングな恋物語です。原作はヘンリー・スレッサーの『快盗ルビイ・マーチンスン』です。主題歌は小泉今日子の『快盗ルビイ』で、若き日のキョンキョンと真田広之が楽しめる作品です。
監督:和田誠 出演:小泉今日子(加藤留美・ルビイ)、真田広之(林徹)、水野久美(徹の母)、岡田真澄(マンションの住人)、木の実ナナ(マンションの住人)、陣内孝則(留美の恋人)、天本英世(食料品屋の親父)、ほか
映画「快盗ルビイ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「快盗ルビイ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「快盗ルビイ」解説
この解説記事には映画「快盗ルビイ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
快盗ルビイのネタバレあらすじ:起・怪盗ルビイ
DM発送会社に勤めるしがないサラリーマン・林徹は、まだ独身で母と2人で暮らしていました。ある日、そんな徹のマンションに可愛い女の子が引っ越してきました。加藤留美というフリーのスタイリストの彼女は、実はルビイという快盗でした。「協力して。私と組むの」「ダメだよ。僕は犯罪者向きじゃないよ」「あなたには素質がある」真面目な徹は断りますが、ルビイに言い寄られ、早速、相棒として犯罪の手伝いをさせられます。
まず2人は小さな食料品店の親父から巧妙な計画で売上げ金を盗み取ります。しかし、その成果は大金とは程遠いもので、経費などを差し引くと結果は赤字でした。「返しましょ。私たちは大犯罪者よ。こんなはした金じゃ、プライドが許さないわ」ルビイの言うまま、徹は盗んだものを食料品店の親父に返しに行きました。意外なことに徹は親父から感謝され、事なきを得ます。
快盗ルビイのネタバレあらすじ:承・失敗つづき
頭が切れるルビイと自転車もまともに乗れない頼りない徹の2人は、次に銀行強盗を計画します。それも徹がしがない預金をしている銀行でした。もちろん、徹は嫌がりますが、ルビイは聞く耳を持ちません。またもや徹は協力させられます。「心臓がもたないよ…」徹は変装して銀行に乗り込みますが、脅迫文を書いた手紙と母が書いた買物メモとを間違え、見事に失敗します。
「金儲けの近道は詐欺よ」懲りないルビイは次の計画を企みます。それは宝石店をターゲットにした詐欺でした。「詐欺の基本は相手の欲望を最大限に利用すること」徹は大金持ちに変装して宝石店に乗り込み、続いてルビイが宝石店に乗り込みました。目標は50万でしたが、この企みもあっさり店主に見抜かれ、失敗に終わってしまいます。
「今までみたいにかったるいことはしてられないのよ。そうでしょ」次にルビイは乃木坂にある高級マンション「ザナドゥ(XANADU)」に目をつけます。今度は空き巣でした。セキュリティが万全のマンションに入ることは困難ですが、ルビイは巧妙に計画を練っていました。2人は計画通りに事を進め、ターゲットの部屋へと侵入する事に成功します。今度はうまくいくかと思いきや、徹は鍵が壊れた浴室に閉じ込められてしまいます。徹はルビイに助けを求めますが、道具がないと助けられないとルビイは出て行ってしまいます。その内、その住人が帰ってきました。密室をいいことに徹は大胆にも風呂に入りながら、ルビイを待ちました。すると修理業者に変装したルビイが現れました。「バカ!何やってんのよ」ルビイは徹を助け出し、2人は何とか逃げ出しました。この計画も脱出するのが精一杯で盗むどころではありませんでした。
快盗ルビイのネタバレあらすじ:転・カンゲワーチ
一目会った時から徹はルビイに魅かれていましたが、彼女には恋人がいました。ある夜、ルビイの部屋で徹はその恋人と鉢合わせしてしまいます。それをきっかけにルビイは恋人と喧嘩してしまい、別れの手紙を恋人に送ってしまいます。「読んでもらいたくないの。今は…」ルビイは今度、恋人に宛てた手紙を徹に取り戻してほしいと言い出します。それは配達の時間を狙って、郵便受けからその手紙を盗むというものでした。「それは犯罪だよ。相手は郵政省じゃないか」「今までやってきた事から比べたら何でもないわ」徹は拒みましたが、ルビイに押し切られ、泣く泣く徹は引き受けます。しかし運悪く、徹は警察に捕まってしまいます。
「感染すると必ず死ぬという未知のウィルスがついている。早く焼かないといけない」徹は嘘を言い、何とか切り抜けようとします。直ぐにばれて大事になるかと思いきや、警察の白衣の男は手紙を鑑識にかけ、言いました。「この青年の言ったことは本当ですよ。確かに恐るべきウィルスがついていた。問題は中身だ。この青年は病気が広がるのを防いだ」「どんなバイ菌だったんですか?」「“カンゲワーチ”という名だったかと思う。差出人は大事な人?」「そうです」「君はいい奴というか…バカな奴というか…」と。
快盗ルビイの結末:2人の計画
釈放された徹はルビイの部屋に駆け込みました。「ほんとに毒がついてたんだ」「何言ってんの。デタラメ話じゃないの」ルビイはふて腐れる徹に言い、ウィルスの名前を聞きました。「カンゲワーチ」と聞いたルビイは言いました。「話の分かるお医者さんね。事の成り行きが分かって、手紙を処分してくれた」ルビイは微笑みました。「カンゲワーチ」は「チワゲンカ(痴話喧嘩)」のアナグラムでした。「警察にもしゃれた人がいるじゃない」2人は笑いました。
ようやくルビイは、自分の我儘を全て聞き入れてくれる徹に対する気持ちに気づきます。徹がかけがえのない存在と知ったルビイは徹にキスしました。そして今度は徹の方が、新しい犯罪計画をルビイに持ちかけ、2人は新しい計画を練り始めたのでした。
一点ものの控え目なルビイの指輪のように、愛らしくてキラキラした、ハッピーな映画。
映画オタクの和田誠監督の描くイラスト人物画のように、簡潔でスマートなファンタジーが楽しめる作品ですね。
若かりし頃の小泉今日子と真田広之のコンビのチャーミングなこと。
真田広之は、黒縁の度付き眼鏡に、髪は真ん中分けのグズで弱気なマザコンぽくて、漫才で言えばボケの役。
これがわざとらしくなく、似合っていて、すこぶる新鮮だが、観ているだけでウキウキするのは、ツッコミ役のキョンキョン。
ある時は、ハードボイルドの姉御風、ある時は、いたずら好きの女の子、また姉さんぶったり、甘えてみたり、それもやり過ぎず、でしゃばらず、あくまでもスマートにお洒落っぽく、口跡の良いセリフ廻しも、実に小気味良い。
スケールこそ小味だが、古き良きハリウッド映画のエッセンスは確かに感じられ、美術、小道具、ファッション、音楽もポップでカラフル、軽くてスマートで、劇中、この二人がデュエットする歌も実に愛らしい。
ほとんど二人だけで進行するが、お楽しみのゲストがユニークで、それも楽しめましたね。