風の外側の紹介:2007年日本映画。ひょんなことから裕福な女子高生のボディガードを務めることになった若いヤクザ。ともに人種的な葛藤を抱えてきた二人は少しずつ惹かれあっていきますが、やがて悲しき運命が訪れます。俳優としても活躍する奥田瑛二監督の愛娘安藤サクラのデビュー作となった青春恋愛映画です。
監督:奥田瑛二 出演者:安藤サクラ(岩田真理子)、佐々木崇雄(趙聖文 / チョ・ソンムン)、石田卓也 (梁秀一/ヤン スイル)、かたせ梨乃(岩田智子)、綾戸千絵(梁民子/ヤン ミンジャ)、大友康平(刑事)、北村一輝(田丸修)、夏木マリ(林順子/イム・スンジャ)、奥田瑛二(岩田)ほか
映画「風の外側」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「風の外側」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
風の外側の予告編 動画
映画「風の外側」解説
この解説記事には映画「風の外側」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
風の外側のネタバレあらすじ:起
舞台は下関。合唱部に属する女子高生の岩田真理子は通学中のフェリーで若いチンピラ良二に絡まれ、逃げようとしたところでカバンを海の中に落としてしまいます。すると良二の兄貴分の青年が海に飛び込み、カバンを拾い上げてくれました。しかし学校へ着くと大切にしてきた楽譜が一枚紛失していることに気づき、ショックを受けます。学校から帰宅しようと道を歩いているとカバンを拾ってくれた青年が正面から歩いてきます。真理子は青年を呼び止め、貴重な楽譜を紛失してしまったので弁償してもらえないかと迫ります。青年が何も答えられずにいると、弁償できないならば自分のボディーガードになってほしいとお願いします。真理子はここのところ妙な中年男にストーキングされて困っていました。こうして青年は真理子のボディーガードとし帰り道の送迎を務めることになりましたが、真理子が名前を尋ねても、決して本名を明かそうとはしません。ヤクザな青年の仕事は闇金に手を出した債務者達への借金の取り立てです。そして良二達を引き連れ手荒な取り立てに成功したある夜、キャバクラで豪遊します。次の日、飲み過ぎてしまった青年は真理子を迎えに行くのを忘れてしまいます。
風の外側のネタバレあらすじ:承
友人と繁華街を通って帰宅しようとした真理子は若い男達に絡まれてしまいますが、そこに青年が現れ、男達を撃退してくれました。真理子は強く男らしい青年にいつしか心惹かれていくようになっていました。そして自分の夢は音楽大学へ行き、いつかオペラの舞台に立つことだと青年に語ります。真理子はあなたの夢は何かと青年に尋ねますが、夢など持ったことのない青年は答えることができません。青年には夢を語る真理子の姿がとても眩しく映りました。何か夢を持ちたいと思い始める青年でしたが、兄貴分の田丸からはなまじ夢を持ってもいいことなどないと言われ、さらに堅気の女と付き合ってもろくなことにはならないと忠告されてしまうのでした。秋のコンクールの日が近づいてきましたが、真理子は期待していたソロには選ばれませんでした。真理子は放課後顧問の教師にどうして自分が選ばれなかったのか尋ねると、一人目立とうとする真理子の歌声が部の調和を乱していると告げられてしまいます。深く傷ついた真理子は帰り道でも青年に当たり散らします。今までやってきたことは全部無駄だった、歌も学校も全部やめると泣き始めます。さらに素性を明かそうとしない青年に苛立ち、ボディーガードはもういらないと宣言してしまうのでした。
風の外側のネタバレあらすじ:転
田丸の所属する組では薬物を扱うことになり、青年もその仕事を手伝うことになりました。しかし良二が客に売るクスリに手を出してしまい、激怒した青年は良二をぼこぼこに殴ってしまうのでした。青年がアパートで腐っているとそこへ真理子が訪ねてきました。真理子は先日のことを謝ろうとしますが、自暴自棄になっている青年から犯されそうになり、泣きながらアパートを出ていきます。次の日フェリー乗り場で真理子を待ち伏せしていた青年は彼女を実家に連れていきます。在日朝鮮人三世の青年の本名はチョ・ソンムンと言いました。その夜近所の者達がチョの家に集まり、真理子の盛大な歓迎会が開かれます。ソンムンの母イムは真理子の父が海運会社の社長であることを知ってました。真理子の父もまた日本に帰化した在日韓国人であり、イムと岩田は昔恋人同志だったのです。ソンムンは再び田丸から危険な仕事を押しつけられます。それは鉄砲玉となって一人の男を抹殺するという指令でした。標的となった男こそ真理子の父岩田でした。岩田の家を偵察に行ったソンムンは真理子が父と楽し気に語らう姿をみて愕然とします。その後真理子は合唱コンクールの案内を届けようとソンムンの家を訪ねますが不在でした。早急に計画を遂行したい田丸は岩田が娘の合唱コンクールに出席するであろうことから、そこで岩田を始末しろとソンムンを脅します。家族の殺害をほのめかされたソンムンはついに計画を実行する決意を固めるのでした。押し入れから拳銃の入った紙袋を見つけた母イムは息子がよからぬ計画に巻き込まれていることを知ります。そして拳銃を海に捨てると、危機が迫っていることを知らせるため岩田に会いに行きます。岩田は二十年ぶりに再会したイムに自分だけ帰化したこと、結婚できなかったことを詫びます。
風の外側の結末
合唱コンクールの日がやってきました。拳銃のないソンムンは家の包丁を持ち出し、会場へと向かいます。やがて真理子の学校の合唱が始まりますが、ソロを任された女生徒が倒れてしまい、代わりに真理子がソロを務めることになりました。真理子がアベ・マリアを高らかと歌いはじめる中、会場に潜り込んできたソンムンは岩田の腹を刺して逃走するのでした。ソンムンの中学の同級生は町でソンムンを探し回る真理子を呼び止め、港へと連れていきます。真理子は港に佇むソンムンに父が無事であることを知らせます。襲われることを想定していた岩田はあらかじめ身体を防備していました。ソンムンは自分は人一人まともに殺せない半端者だと力なく笑います。その夜二人は港のそばの小屋で一夜を明かしました。真理子は抱いて欲しいと自分から裸になりますが、ソンムンは真理子に上着をかけてやると、夢を大切にしてほしいと言い残して、小屋を出ていくのでした。自首しようと町に戻ってきたソンムンを待っていたのは田丸でした。田丸はソンムンに銃を向けますが、結局引き金を引くことなく去っていきました。ソンムンは刑務所へと輸送されるパトカーの中で帰宅途中の真理子の姿を目にします。真理子は友人達と一緒に楽しそうに歌を歌っていました。ソンムンは隣に座る刑事に夢を持っているかと尋ねますが、刑事は夢は見るもので欲しがるものではないと呟きます。ソンムンは穏やかな表情で前を見つめるのでした。
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