新・平家物語の紹介:1955年日本映画。吉川英治の代表作のひとつを映画化した大作。後に続編が2本作られて3部作となった。女性映画の得意な溝口監督としては異色の題材だが、名コンビを謳われたカメラマン宮川一夫の助けを得て、格調高い歴史劇に仕上げている。
監督:溝口健二 出演:市川雷蔵(平清盛)、久我美子(時子)、林成年(藤原時忠)、木暮実千代(泰子)、大矢市次郎(平忠盛)、柳永二郎(白河上皇)、ほか
映画「新・平家物語」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「新・平家物語」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「新・平家物語」解説
この解説記事には映画「新・平家物語」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
新・平家物語のネタバレあらすじ:起
平安朝末期、一部の貴族や寺社が荘園を勝手に拡張したため、国の経済は疲弊していました。都の治安は乱れ、地方でも反乱が相次ぎましたが、権力を握る藤原氏にはそれを抑える力がありません。しかも白河上皇が自ら政務を取り始めたため、天皇との確執を生じ、それぞれの派閥に分かれた権力闘争まで起こることになりました。この混乱の中、貴族たちが頼ったのが新たに台頭してきた武士階級の男たちです。
新・平家物語のネタバレあらすじ:承
保延3年、西海の海賊征伐から平忠盛とその郎党が帰京しましたが、彼らもそのような武士の一族でした。しかしまだ貴族の下僕のような扱いで、ちょうど通りかかった叡山の僧兵たちからは「院の御所の番犬ども」と罵られる始末です。しかも院の貴族からはねぎらいの言葉もなく、4ヶ月も平定にかかったことにかえって文句を言われた上、上皇へのお目通りも叶いません。忠盛の郎党たちはそんな屈辱に対して怒りをたぎらせ、帰京祝いの席でその不満を忠盛の嫡子である清盛に対してぶつけます。海賊に対して一緒に戦ってきた清盛も同じ気持ちでしたが、まだまだ武士の地位は低く、「春を待つのだ」と彼らをなだめるしかありません。
新・平家物語のネタバレあらすじ:転
恩賞を賜らないことに関しては公卿の中でも反対意見があり、その中の藤原時信は図書寮に左遷されます。それを気にかけた忠盛は時信の家へ清盛を挨拶にやるのですが、そこで清盛は娘の時子と知り合い、のちに妻にもらうことになります。また、清盛は母である泰子が白河上皇の寵愛を得ていたこと、そして自分が月足らずで生まれたことから、父親は忠盛ではなく上皇なのではないかと疑い、悩み始めます。
新・平家物語の結末
一方、天皇の朝廷と上皇の院との争いは苛烈となり、所領没収に関して白山の僧兵たちが騒動を起こします。忠盛は郎党とともに出陣し、その功績により院の昇殿を許されることに。しかしこれには一部の公家が反対し、参内する忠盛一行に対する闇討ちを計画します。時信によってそのことを知った清盛は、忠盛の後を追い、その暗殺を未然に防ぎます。さらに翌年、荒法師と義弟の時忠との喧嘩に巻き込まれた清盛は叡山の怒りを買うことになってしまいます。二千に及ぶ僧徒が祇園に集まってくる中、忠盛が死去。武士の血筋に誇りを持った清盛は、僧徒たちに立ち向かい、その神聖とされる神輿に矢を放つのです。
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