ラグタイムの紹介:1981年アメリカ映画。米国の小説家E・L・ドクトロウによる同名小説を映画化した作品。人種差別が渦巻く20世紀初頭のアメリカを舞台に様々な人々の人生模様を描いた群像劇です。監督は「カッコーの巣の上で」や「アマデウス」などで知られる巨匠ミロシュ・フォアマンが務めました。
監督:ミロシュ・フォアマン 出演者:ジェームス・キャグニー(ウォルド警視総監)、ハワード・E・ロリンズ(コールハウス・ウォーカー・ジュニア)、エリザベス・マクガヴァン(イヴリン)、モーゼス・ガン(ワシントン牧師)、ノーマン・メイラー(スタンフォード・ホワイト)、マンディ・パティンキン(ターテ)、ほか
映画「ラグタイム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ラグタイム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ラグタイム」解説
この解説記事には映画「ラグタイム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ラグタイムのネタバレあらすじ:起
1910年代のアメリカ。ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンに女性の彫像が建てられることになり、彫像の設計者スタンフォード・ホワイトの邸宅では華やかなパーティーが開かれます。しかしそこに若い男達が乱入してきて、大富豪の青年ハリー・K・ソウがホワイトに彫像を降ろせと要求します。ハリーは踊り子だった妻のイヴリンを彫像のモデルにされたことに激怒していました。しかしホワイトはパーティーには警視総監のウォルドも出席していることを明かし、ハリーの要求を一蹴してみせます。
郊外のニューロシェルには花火などの祭事用グッズの工場を経営する主人とその妻と幼い息子、工場で働く妻の弟らが一緒に暮らしています。弟が設計した花火の売れ行きは好調で主人は後を継がせてもいいと考えていました。一家で食事をしていると外からメイドの叫び声が聞こえてきて、夫妻らは慌てて外へ飛び出します。すると庭には黒人の赤ん坊が裸で放置されていました。赤ん坊を捨てた母親サラは即座に身柄を拘束されますが、母子を心配する妻はサラと赤ん坊をしばらく家に置くと言い出し、主人を困らせます。
一方追い詰められたハリーはマディソン・スクエア・ガーデンでホワイトを射殺し、その場で逮捕されます。イヴリンは弁護士からハリーが心神喪失状態であることを証明した上で離婚に応じれば報酬として100万ドルを支払うと持ち掛けられます。イブリンを嫌うハリーの母は息子の無罪を勝ち取るとともに夫妻の仲を引き裂こうと考えていました。大金に目が眩んだイヴリンはこの条件を受け入れ、法廷で過去にホワイトから受けた暴行について暴露し、このことを知った夫が精神的に追い込まれていたと証言します。
ラグタイムのネタバレあらすじ:承
ニューロシェルからニューヨークへ出てきていた花火師の弟はハリーの裁判を傍聴し、あろうことがイヴリンに好意を抱いてしまいます。イヴリンは法廷に立った帰り道、路上で店を開いていた切り絵師のターテに自身をモデルした切り絵を作ってもらおうとします。しかし妻が不貞を働いたことに激怒したターテはイヴリンや幼い娘そっちのけで妻と派手な喧嘩を繰り広げるのでした。その後ターテとその幼い娘の消息が気になったイヴリンは彼らの自宅を訪ねますが、ターテは娘を連れてすでに家を出た後でした。イヴリンはそこで彼女の後をつけてきた花火師の弟から熱烈に口説かれ、二人は関係を持ちます。
ニューロシェルの家では姉夫婦が連絡もなく外泊を続けている弟のことを心配していました。そこにピアニストの黒人青年コールハウス・ウォーカー・ジュニアが訪ねてきます。コールハウスはサラの恋人で赤ん坊の父親であり、サラに会うためにこの家を訪ねてきたのですが、サラは頑なに会うことを拒絶します。
一方心神喪失状態であることが認められ無罪となったハリーでしたが、精神病院への入院を強要されてしまいます。イヴリンは100万ドルが手に入ることにすっかり歓喜し、花火師の弟と二人で祝杯をあげます。しかし二人が抱き合っているところへ弁護士がやってきて、イヴリンの不倫を理由に報酬を2万5千ドルに減額されてしまうのでした。イヴリンを助け出したい花火師の弟はニューロシェルの義兄に弁護士を雇ってもらうため彼女を姉夫婦に紹介しようとしますが、イヴリンはその約束をすっぽかします。
失意の中で自宅に戻ってきた花火師の弟はそこでサラを訪ねてきたコールハウスと出会います。コールハウスは貧しさからサラを捨ててしまったものの、今ではバンドにピアニストとして採用され、生活が安定したことからサラと子供を引き取りたいと考えていました。コールハウスがサラにプロポーズすると、頑なに心を閉ざしたサラもようやく彼を受け入れます。二人は結婚式を挙げることになり、夫妻や弟も二人を祝福します。
ラグタイムのネタバレあらすじ:転
ニューロシェルから仕事に戻ろうと車を走らせていたコールハウスは消防車に道を阻まれてしまいます。白人の消防団長は黒人のコールハウスが高級車に乗っていることが気に入らず、通行料を払うよう言い放ちます。コールハウスが警官を連れて戻ってくると車の座席は馬糞で汚されていました。コールハウスは今すぐ掃除するよう消防団員達に詰め寄りますが、消防団長は消防団詰所のまえで車を停めたコールハウスを非難、警官も自分で清掃するよう冷たく告げます。なおも主張を曲げなかったコールハウスは警官から道の封鎖、公務執行妨害で逮捕されてしまうでした。
連絡を受けたニューロシェルの主人のおかげでコールハウスは釈放されますが、車は消防団員達によってひどく傷つけられていました。怒りを募らせるコールハウスは黒人弁護士や警察に相談しますが、相手にしてもらえません。一方ニューロシェルの主人からコールハウスがトラブルを抱えていることを知らされたサラは、演説に来ていた副大統領に彼を助けてほしいと訴えかけます。しかし警官に阻止された挙句群衆の波に飲み込まれ大けがを負い、ニューロシェルの家に運び込まれます。瀕死のサラにコールハウスは結婚式を挙げようと囁きますが、サラは静かに息を引き取ります。復讐に燃えるコールハウスに花火師の弟が爆弾を作ろうと持ち掛けます。花火師の弟はイヴリンに振られてヤケになっていました。
コールハウスは仲間とともにまず消防団詰所を爆破します。ニューロシェルの家には警察やマスコミが大挙して押しかけ、身の危険を感じた夫妻は幼い息子とサラの息子を連れて、リゾート地へ避難します。辿り着いた海辺では切り絵師から映画監督に転身したターテが女優となったイブリンを主役に迎えて映画を撮影していました。主人は妻に色目を使い始めるターテを警戒しはじめますが、妻も次第にターテに惹かれていきます。一方コールハウス達はニューヨークにある図書館を乗っ取り、館内に大がかりな爆弾を仕掛けはじめます。
ラグタイムの結末
図書館を包囲した警察が強硬突入しようとすると、コールハウス達はすぐさま図書館の一部を爆破します。電話でコールハウスと接触することに成功した警視総監のウォルドはまず黒人のワシントン牧師を交渉役としてコールハウスの元へ送り込みます。ワシントン牧師は報復など意味がないと訴えかけますが、コールハウスには彼の言葉は響かず、交渉は決裂します。
コールハウスはウォルドに車を元通りにすること、消防団長を図書館に連れてきて謝罪させるよう要求します。しかし電話口に立った消防団長は謝罪するどころかコールハウスに暴言を浴びせ、事態はますます悪化してしまうのでした。コールハウスが図書館を占拠したことを知ったニューロシェルの主人は妻と息子を置いてニューヨークへとやってきます。そしてコールハウスと話すことを許された主人は図書館に入り、義弟の行方を知らないか尋ねます。図書館には花火師の弟も潜んでいましたが、コールハウスは知らないと言い切ります。コールハウスは仲間達を見逃してくれるならば、自分が投降してもいいと主人に告げます。
ウォルドはコールハウスの要求を飲みました。夜仲間達が無事に逃亡したのを確認したコールハウスは両手を挙げて図書館から出てきますが、ウォルドの指示により簡単に射殺されてしまうのでした。その後ターテと恋仲になった妻は子供達を連れてニューロシェルを出ていき、家には主人だけが残されました。ハリーは精神病院を退院し、やがて時代は第一次世界大戦へと突入していくのでした。
以上、映画「ラグタイム」のあらすじと結末でした。
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