闇を横切れの紹介:1959年日本映画。ストリッパー殺人事件は市政や警察の腐敗とからんでいた。事件を調べる若い記者に意外な妨害者が。増村保造が同郷の先輩映画人で黒澤明作品等の脚本家である菊島隆三と共同で脚本を執筆。映画音楽が一切使われていない。
監督:増村保造 出演者:川口浩(石塚邦夫)、山村聡(高沢渉)、叶順子(鳥居元美)、滝沢修(広瀬陽吉)、高松英郎(生田)その他
映画「闇を横切れ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「闇を横切れ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「闇を横切れ」解説
この解説記事には映画「闇を横切れ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
闇を横切れのネタバレあらすじ:起・市長候補の逮捕
市長選挙たけなわの玄界市。夜、ラブホテルでストリッパーが殺されて発見される。死体の側に倒れていた男が容疑者にされるが、彼はなんと保守党の現職市長に挑戦している革新党の市長候補、落合だった。地方紙である西部新聞の若手記者、石塚は交番の老警官片山から、彼が死体を発見する直前、あごに傷痕のある男を見たことを聞き出す。
編集局長の高沢は石塚を激励してあご傷の男を調べさせる。三年前に編集局長になった高沢は三流紙だった西部新聞を一流紙にした立役者であり、石塚の目標だった。高沢もまた昔の自分に似ている石塚を高く買っていた。
石塚は片山が温泉旅館の一室に隠れていることを知る。警察で殺人事件を担当する生田部長は片山のあご傷の男の報告を無視し、クビにして恩給がつかないようにすると脅して片山に休暇を命じていた。殺し屋に怯える片山を安全な場所に保護しようと石塚は新聞社の仲間を連れて温泉旅館に戻るが、片山は死んでいて、生田は自殺として処理していた。
闇を横切れのネタバレあらすじ:承・警察、市政、そして新聞社の闇
翌日石塚は、市政を牛耳る有力者、広瀬運輸社長の広瀬に呼び出される。事件から手を引くよう促されるが石塚は拒否する。さらに石塚は殺されたストリッパーが妊娠5か月だったことを解剖の行われた大学病院で調べる。妊娠5か月の女が落合と逢引きとはおかしい。しかし、解剖を担当した教授は妊娠の事実について生田から口止めされていたのである。そして事件の核心に汚職があることがわかってくる。米軍基地の跡地の利用計画が撤回され土地は広瀬に払い下げられたのだった。西部新聞の記者たちは市長や市議と広瀬の癒着について調査を進める。
西部新聞主催の写真コンクールの応募作品の中に、あご傷の男の顔が見つかる。撮影者は、片山が殺された旅館の前の写真館の主人だった。その写真を警察に照会した結果、男が殺し屋とわかる。広瀬から圧力を受けていた警察署長も生田部長を休職させ、殺人事件の見直しと汚職の調査に乗り出す。だが、写真館主人が変死体で見つかり、写真館では殺し屋の写っている写真のネガが紛失していた。新聞社内にスパイがいるとしか考えられない。高沢編集局長になだめられるが、石塚は憂さ晴らしに泥酔する。
闇を横切れのネタバレあらすじ:転・意外な敵
石塚は殺されたストリッパーの同僚だった元美から電話で楽屋に呼び出されるが、ストリッパーの愛人だったトランペット奏者の掛川たちによって袋叩きにされる。しかし、自分のアパートで目覚めた時、石塚を元美が訪れていた。何度も元美を訪れて熱心に真実を追い求める石塚を好きになり始めていたのだ。元美は殺された同僚をあご傷の男が連れだしたことを告げる。しかも同僚は元美に汚職関係者一覧表すら残していたのだ。石塚は勇んで高沢に会いに行くが、高沢の電話の会話を聞いて意外な事実を知る。電話の相手は広瀬。高沢こそがスパイだったのだ。石塚は怒って新聞社を辞めると宣言してその場を去る。
闇を横切れの結末:深夜の記者たち
石塚はアパートに戻ったが元美が連れ出されていた。彼は掛川に談判に行く。ストリッパーが掛川の子供を妊娠していたことを教える。掛川は自分が騙されていたことに気づき、元美を解放する。石塚と元美は海に行って二人だけの時間を過ごす。だが、夕刊が食堂に配達されるのを見ると石塚はやはり新聞社に戻ることにする。元美も石塚にとって新聞が大事なことはわかっていた。
広瀬の息のかかる新聞販売店が西部新聞から大手全国紙東都日報に取引先を変えることを知って高沢もついに決断する。記者たちを前に自分と広瀬が癒着してきたことを告白したうえで、朝刊に合わせて今回の事件と市政の汚職について大々的に記事にすることを宣言し部下を鼓舞する。そこに石塚も戻り、記事に取り組む。
外に出た高沢がいつもの癖でラ・マルセイエーズを口笛で奏でながら歩いていくと、ひと気のない道であご傷の男が待っていた。高沢は射殺されるが、あご傷の男も隠れていた掛川に襲われる。拳銃と掛川のドスとで相打ちになる。
深夜の新聞社に高沢の訃報が届く。一瞬動揺があるが、今はまだ編集局長に線香をあげるときではないという石塚の呼びかけで記者たちは仕事に戻る。
以上、映画「闇を横切れ」のあらすじと結末でした。
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