369のメトシエラ -奇跡の扉-の紹介:2009年日本映画。孤独な青年俊介は400年生き続けてきたと語る老婆セツと出会い、二人の間に奇妙な交流が生まれていく。親の愛を知らずに育った青年が老婆との出会いを通して家族の在り方を模索していく様を描いたファンタジーヒューマンドラマです。
監督:小林克人 出演者:大垣知哉(武田俊介)、阿部百合子(伊隅セツ)、日和佑貴(吉村俊樹)、別府あゆみ(江本由美子)、矢内龍之介(大石太郎)、河野正明(丸山課長)、神山寛(加藤浩三)、中野誠也(筒井文夫)、ほか
映画「369のメトシエラ 奇跡の扉」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「369のメトシエラ 奇跡の扉」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
369のメトシエラ-奇跡の扉-の予告編 動画
映画「369のメトシエラ 奇跡の扉」解説
この解説記事には映画「369のメトシエラ 奇跡の扉」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
369のメトシエラ-奇跡の扉-のネタバレあらすじ:起
区民課で働く公務員・武田俊介(大垣知哉)は自殺未遂を起こしたゲイの青年、吉村俊樹(日和佑貴)を助けたことから付きまとわれ始め、今は古いアパートで半同棲生活をしています。両親の愛情を知らずに育った俊介は人と深く関わることを疎ましく感じており、俊樹が鬱陶しくて溜まりません。しかし俊樹は俊介を慕っており、淡い恋心を抱いています。
職場では福祉課の江本由美子(別府あゆみ)からの要請により保護された捨て子・大石太郎(矢内龍之介)の記録調査を任されることになり、太郎に会いに行きます。
ある夜、俊介が寝ていると、アパートの369号室から老婆の子守歌が聞こえてきます。369号室を訪ねてみると、家主の老婆(阿部百合子)は俊介を見るなり、「400年あなたを待ち続けてきました。あなたの妻になります」と呟きます。そしてこの子守歌は熊野の小森の里に伝わる村の歌だと語り、家のない子供に響く歌なのだと続けます。
369のメトシエラ-奇跡の扉-のネタバレあらすじ:承
俊介は老婆の認知症を疑い、保護して施設に入居させるよう由美子に頼みますが、本人の素性も分からないままでは進められないと言われてしまいます。俊樹は彼女の素性を調べ始めますが、戸籍を調べてみても、老婆の記録が見つかりません。不動産管理会社に行くと、老婆が少なくとも昭和三十年以前からアパートに住んでいたことが明らかになり、名前はセツだと分かりました。
俊介はセツが語った小森の里について調べますが、村はすでに60年前に廃村となっていました。ある晩、俊樹の部屋を訪ねてきたセツは小さな布袋を渡し、これはあなたの足りないものを満たすものだと告げます。一方、俊樹は新しい恋人ができたと言い、アパートを出て行きました。
369のメトシエラ-奇跡の扉-のネタバレあらすじ:転
ある日、郷土史家の筒井(中野誠也)が俊介を訪ねてきます。筒井によると、深い山の谷にある小森の集落には真田幸村の侍大将であった伊隅重清が落ち延びた場所であるという伝説があるのだといいます。さらに伊隅重清は幸村の軍資金を預かり、それを隠したという言い伝えがありました。伊隅の家は代々男児に恵まれなかったため、生まれた女児に代々セツと名付けて家を継がせ、孤児を養子として受け入れ続けてきたと言います。集落ではセツは若姫と呼ばれ、孤児の母親代わりを務めてきたといいます。しかし戦時中、当時の若姫であったセツが突然失踪したため、伊隅家は衰退したのだと言います。
369号室の老婆は失踪したセツなのではないかと推測されました。その後、俊介のもとに警察が訪ねてきました。俊樹がホテルで手首を切って自殺したのです。罪悪感に苦しむ俊介は自分が俊樹を殺したのだとセツに吐露します。セツはあなたは彼を好きだったはずだと優しく語りかけます。その後、セツが腹痛を訴え倒れます。セツは末期がんを患っていました。筒井はセツの後見人になりたいと申し出ますが、俊介は筒井が隠し財産目当てであることを見抜きます。俊介はセツと結婚することを決めました。しかし財産目当てでセツと結婚しようとしていると筒井が吹聴したことで、俊介の区役所での立場は悪くなっていくのでした。
369のメトシエラ-奇跡の扉-の結末
それから一年後。福祉課の由美子が俊介のアパートを訪ねてきます。俊介はセツと過ごしたこの一年について振り返ります。ある晩のこと、セツは自分には子供がいたと俊介に語り始めました。セツが東京に出てきたのは20歳の頃。村の青年・加藤(神山寛)と恋に落ちたセツは伊隅の家を捨て、青年と駆け落ちをしたのです。しかしその後、加藤は戦地へと趣き、行方知らず、セツも授かった子供を戦争により失ってしまったのだと言います。俊介は加藤は存命であることを知り、セツを連れて会いに行きますが、認知症を患う加藤はセツのことを覚えてはいませんでした。それでもセツはやっと肩の荷が下りたと俊介に感謝の気持ちを伝えます。そしてその後、俊介に看取られ、静かに息を引き取ったのでした。セツが俊介に渡した布袋には、伊隅家が代々受け継いできた印が入っていました。俊介はセツの残したこの形見を守っていく決意しました。由美子は太郎との養子縁組の許可が下りたことを俊介に知らせます。太郎と交流を続けていた俊介は太郎の親となる道を選びました。俊介は学校から帰ってきた太郎を温かく出迎えるのでした。
以上、映画「369のメトシエラ -奇跡の扉-」のあらすじと結末でした。
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