映画「うつせみ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
うつせみの紹介：2004年韓国,日本映画。世界的に知られる映画監督キム・ギドクが監督、脚本、編集、製作をになった本作は、全編を通して一言も言葉を発しない男が主人公の寓話的ラブストーリーである。原題は「空き家」であるが、邦題はせみの抜け殻、転じてこの世に生きる人間及び現世そのものを意味する「うつせみ」となった。優秀な頭脳の持ち主ながら、留守の家を転々としながら生活する男と、夫からDVを受けている女性が出会い、互いに影響を受けていく物語。ヴェネツィア国際映画祭に出品され、監督賞に値する銀獅子賞に輝くなど高い評価を得た。
監督：キム・ギドク 出演者：ジェヒ(テソク)、イ・スンヨン(ソナ)、クォン・ヒョゴ(ミンギュ)、チュ・ジンモ(チョ刑事)、チェ・ジョンホ(看守)、ほか
この解説記事には映画「うつせみ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
テソク(ジェヒ)は外国産の高級バイクで家々のドアにチラシを貼っています。しばらくして戻ってきた彼はチラシが剥がれていない家を見つけて慣れた手つきで鍵をこじ開け、忍び込みます。テソクは留守の家を狙っては家主が戻ってくるまでその家で暮らし、また別の家へ移るというその場しのぎの日々を送る変わった青年でした。
ある日、いつも通り誰もいない家に入ったテソクはそこに住む女性のソナ(イ・スンヨン)と出会います。彼女の顔は痣だらけで、夫から暴力を振るわれているようです。テソクは驚いて一旦外へ逃げますが、ソナのことが心配になり、家に戻ります。そこへ夫のミンギュ(クォン・ヒョゴ)が帰って来て、ソナは殴られてしまいますが、その様子を見ていたテソクは、そばにあったゴルフボールをクラブで何度もミンギュに当て、彼を動けなくさせます。テソクはソナを誘い、共に家を飛び出すのでした。
それから、ソナはテソクと一緒に行動するようになります。テソクは器用かつ優秀な人物で、忍び込んだ家に住まわせてもらっているお返しに、壊れて動かなくなっているオーディオ機や体重計、時計などを修理し、洗濯板とせっけんで洗濯をします。ソナはテソクに髪を切ってもらったり、彼のカメラで記念撮影をして過ごします。いつ家の住人が帰ってくるか分からない状況ながらも、2人はこの不思議な生活を楽しんでいました。
ある日、忍び込んでいた家に帰って来てしまったカップルにばれて2人は追い出されます。行く当てもない中、テソクがソナの家から持ってきていたゴルフボールを気にくくりつけて打ちっぱなしをしていると、ソナがわざと打つ方向に立って邪魔をします。テソクは彼女を避けてボールを打ちますが、留め具が外れてしまい、運悪く走っていた車に乗っていた女性の頭にゴルフボールが当たって大けがをさせてしまいます。テソクは自分のしたことを悔いて涙を流し、そんな彼をソナが優しく抱き寄せます。2人はいつしか愛し合う関係になっていました。
次の日、狙った家に忍び込むと、頭から血を流して亡くなっている老人を目撃します。放っておくことが出来ないソナは、テソクと協力して遺体に丁寧に布を巻いて埋葬し、部屋の掃除をします。しばらくすると息子夫婦が家を訪ねてきて2人を発見し、警察を呼んでしまいます。連行されたテソクはチョ刑事(チュ・ジンモ)から拷問を受け、誘拐や殺人の罪を着せられてしまい、ソナは警察が連絡して迎えに来たミンギュと共に家に戻ります。
2人は離れ離れになってしまいました。ソナはミンギュに徹底的に逆らうようになり、テソクへの怒りが収まらないミンギュはチョ刑事に大金を渡し、クラブでボールを何度もテソクにぶつけます。それを見ていたチョ刑事から挑発されたテソクは暴行を働き、刑務所に送られてしまいます。
ミンギュと共にいると安心して眠ることが出来ないソナは、かつてテソクと過ごした家に向かい、そこで眠ってしまいます。住人は何者か分からないソナを初めは奇妙に思いますが、彼女をそのまま寝かせておきます。ソナはテソクの釈放を今か今かと待っていました。テソクは無実となったため釈放されますが、彼は刑務所にいる間、看守(チェ・ジョンホ)の視野に入らない練習を重ねて習得していました。
テソクはその技術を生かし、住人がいるにも関わらず、家々に入れるようになったことを確かめ、ソナの住む家へと向かいます。ミンギュはテソクを殺そうと彼が家に来るのを待っていましたが、物音に気づいても彼を見つけることが出来ません。諦めて寝てしまったミンギュを見計らい、ソナは寝室を出て、遂に2人は再会を果たします。
その後、テソクはミンギュの視野の外で生活するようになり、ソナも見違えるように明るくなりました。しかし、これが夢か現実かは、誰にも分かりません…。
以上、映画「うつせみ」のあらすじと結末でした。
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