12人の怒れる男の紹介:2007年ロシア映画。1954年にアメリカのテレビドラマで放送されて以降、世界中で映画化、舞台化されている密室サスペンスの代表格を現代のロシアを舞台にリメイクした作品。陪審員となった12人の男たちが少年の犯した犯罪を評議していく物語である。ヴェネツィア国際映画祭に出品され生涯功労賞として特別銀獅子賞を受賞するなど、世界的な評価も高い。なお、本作を監督、脚本、製作したニキータ・ミハルコフは12人の陪審員のうち「陪審員2番」役で出演している。
監督: ニキータ・ミハルコフ 出演者:セルゲイ・マコヴェツキイ(陪審員1番)、ニキータ・ミハルコフ (陪審員2番)、セルゲイ・ガルマッシュ (陪審員3番)、ミハイル・イェフレモフ(陪審員8番)、ヴィクトル・ヴェルジビツキイ(陪審員11番)、アプティ・マガマイェフ (ウマル) ほか
映画「12人の怒れる男」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「12人の怒れる男」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
12人の怒れる男の予告編 動画
映画「12人の怒れる男」解説
この解説記事には映画「12人の怒れる男」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
12人の怒れる男のネタバレあらすじ:起
学校に隣接する裁判所に12人の陪審員が集まります。彼らは「この事件はすぐに終わる簡単な裁判だ」と告げられ、評議場所の体育館に向かい、互いに見ず知らずの男たちは、それぞれ思い思いに過ごします。
まず、評議を始める前に陪審員長を決めることになりますが、あっさりと陪審員2番(ニキータ・ミハルコフ)にその役目が決まります。彼らの大半は、この後すぐに差し迫った予定があったため、この裁判を早く終わらせたかったのです。
しかし、この12人の議決は、一人の少年ウマル(アプティ・マガマイェフ)が義父を殺害した容疑で終身刑にするか、無罪とするかという決定的なものでした。12人はこの3日間、検察と弁護士の話を聞いていたため、11人が少年を有罪にする方に挙手しましたが、一人だけ陪審員1番(セルゲイ・マコヴェツキイ)のみが無罪を主張します。1番は、一人の命がかかっていることを重く受け止め、話し合いをしようと持ちかけます。
12人の怒れる男のネタバレあらすじ:承
陪審員1番に感心した1人が一転無罪を主張し、これで無罪と思う者は2人になりました。さらにこの男は、少年の弁護士が彼を弁護する気がなかったように見えたと意見を述べます。一方、短気な性格の陪審員3番(セルゲイ・ガルマッシュ)は外国人を毛嫌いしており、チェチェン出身というウマルにも偏見を抱いていました。これでは埒が明かないため、陪審員1番は少年が特殊だと言っていたナイフを廷吏に見せてもらいます。
このナイフはとても殺傷能力が高いものでしたが誰でも手に入るもので、検察が特殊だと強く主張していた根拠がないという結論に達し、無罪だと思う者が増えていきます。このことから、今度は頑なに意見を変えない陪審員3番が皆から攻められてしまう事態となり、再び陪審員長の2番が挙手をさせると、有罪と思う者が7人、無罪と思う者が5人となりました。
12人の怒れる男のネタバレあらすじ:転
そこで、今度は殺人現場の再現を試みます。すると、殺害現場となった部屋の下に住む老人の述べた証言に不可思議な点が見つかり、有罪と思う者が5人、無罪と思う者が7人になりました。しかし、陪審員3番はまだ有罪だと信じ切っています。役者の陪審員8番(ミハイル・イェフレモフ)は、幼い頃に祖母を失った時と同じ孤独感を少年にも感じていました。
次に廷吏から全ての資料を見せてもらった陪審員11番(ヴィクトル・ヴェルジビツキイ)と陪審員1番がある仮説を導き出します。それは、ウマルや老人の住むアパートの隣に高級マンションを建設中の業者の陰謀で、住人をアパートから立ち退かせてマンションの土地を増やそうと目論んだということ、そしてもう一人の証人で、通りを挟んだ家に住む一見無関係に見える女性は、好きになった兵士が妻と離婚したため、チェチェン戦争から帰ってきたら共に暮らそうと思っていたところ、一人の少年と帰ってきた挙句、男性がその少年の面倒を見ることを希望したため、断念せざるを得なかったことによる嫉妬で虚偽の証言をしたのではないかというものでした。
12人の怒れる男の結末
ウマルは両親と、幼い頃から仲の良かった兵士たちをチェチェン戦争によって亡くし、一人で過ごしていました。そこへワロージャおじさんが偶然やって来て、共にモスクワへやって来たのでした。男たちが立てた仮説の兵士とは殺された義父のワロージャおじさん、そして少年はウマルのことだったのです。
こうして真実を突き止めた陪審員たちは少年の無罪にしようとしますが、陪審員長のみが異を唱えます。もし釈放したら、少年は身寄りもなく独りぼっちで生きていかなければならない。警察の再捜査が始まり、真犯人が少年を殺害してしまうかもしれない。だからといって有罪にしてしまうと、無実の罪を着せられた少年は一生を刑務所で過ごさなければならなくなる。
陪審員たちは悩みます。そして、最後の評決は全員がウマルを無罪にすることで一致します。その後、陪審員長だった2番は少年を自分の家へ住まわせ、義父を殺害した真犯人を共に探そうと決意するのでした。
以上、映画「12人の怒れる男」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する