パリ、18区、夜。の紹介:1994年フランス映画。フランスで実際に起きた老女連続殺人事件をベースに、パリ18区に住む人々の姿を描いた群像劇。女優を目指し、パリに住む親戚を頼って移住したタイガ。部屋を借りた安ホテルには、ゲイカップルのカミーユとラファエルが住んでいた。彼らは半ば自暴自棄の状態で、一人暮らしの老女を狙って強盗殺人を繰り返している。カミーユの兄テオは、移住を巡って妻モナと言い争いが絶えない。交わるようで交わらない彼らの生活は今日もパリの夜に消えていく。
監督:クレーヌ・ドニ 出演者:エカテリーナ・ゴルベワ(タイガ)、リーシャル・クルセ(カミーユ)、ヴァンサン・デュポン(ラファエル)、ベアトリス・ダル(モナ)ほか
映画「パリ、18区、夜。」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パリ、18区、夜。」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「パリ、18区、夜。」解説
この解説記事には映画「パリ、18区、夜。」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
「パリ、18区、夜。」のネタバレあらすじ:起・パリ18区の人々
舞台はフランス、パリ。タイガはリトアニアのビリニュスから、遠路はるばる車を運転してやっと到着しました。リトアニアで出会ったプロデューサーのシメートフから、女優にならないかとスカウトされていたのです。正式な話ではありませんでしたが、タイガはすっかり真に受けて、シメートフのいるパリにやって来ました。しかしフランス語を話せない彼女に、パリ市民は冷たい視線を向けます。
苛立つタイガが頼ったのはパリ18区に住む親戚ミラでした。アパートに現れたタイガを、ミラは笑顔で歓迎します。しかし狭いアパートなので2人で暮らすには無理がありました。そこでミラは、上階に住む知人男性ヴァシアの部屋を訪ね、タイガを預かってくれないかと頼みます。しかし彼の部屋には既にたくさんの居候がいて、断られてしまいました。
タイガが煙草を吸うため部屋の外に出ると、階段の下に人だかりが出来ています。どうやら住人の遺体が発見されたらしく、警察官が来ていました。近頃パリでは老女を狙った強盗殺人事件が多発しているのです。次にミラが頼ったのは、安ホテルを経営している知人女性ニノンでした。昔食堂として使っていた物置部屋なら、とニノンは快諾してくれます。
ホテルに着いたタイガは、まず部屋の掃除に取り掛かりました。部屋を出て窓の外を見ると、2人の男性が全裸で抱き合っています。彼らはホテルで暮らしているカミーユとラファエル。カミーユはゲイ・クラブで、ラファエルは病院で働いていました。タイガはホテルの電話を借りてシメートフと連絡を取ろうとしますが、応答はありません。
「パリ、18区、夜。」のネタバレあらすじ:承・疲弊と孤独
ジャズのバイオリニストをしているテオは、カミーユの兄です。妻モナと幼い一人息子と一緒にアパートで暮らしていますが、最近大きな問題を抱えていました。パリの生活に疲弊したテオは、家族でマルティニークに移住するつもりです。モナはそれに猛反発していますが、テオは聞く耳を持ちません。2人にはまだ夫婦としての愛情や絆が残っています。しかし譲れない主張を持つ彼らの心は次第に遠ざかり、モナは妹のアパートへ家出するようになっていました。
ホテルの清掃員として働き始めたタイガは、やっと連絡のついたシメートフに会いに行きます。ついに女優への道が開けると胸を躍らせますが、シメートフは企画が流れてしまったと言い出しました。来年なら可能性があると言われ、タイガは不満を覚えつつも引き下がります。しかしその後もシメートフからの連絡はありませんでした。
モナは自分に相談すらしてくれないテオに激怒し、母親をアパートに呼んで説得を試みます。モナの母親はマルティニークでどう暮らすつもりなのかと尋ねました。原始的な暮らしを夢見るテオの計画はあまりに現実味がなく、モナはますます移住を拒みます。
そこへ深刻な顔をしたカミーユが訪ねて来ました。彼は昼間病院で診察を受けています。カミーユはテオに何か打ち明けようとしましたが、結局何も言わずに出て行ってしまいました。モナは息子と共にパリに残ると言い張り、テオを殴ります。テオはモナの服を乱暴に掴み、息子は渡さないと凄みました。限界を感じたモナはまた妹の部屋に逃げ込みます。
「パリ、18区、夜。」のネタバレあらすじ:転・流されるだけの毎日
ラファエルはカミーユとの生活に限界を感じていました。刹那的に生きるカミーユに対し、怯える様子さえ見せます。ラファエルは別れを切り出しますが、カミーユは決して許しませんでした。彼らは荒んだ心を誤魔化すように外に出て、一人暮らしの老女を襲っては強盗殺人を繰り返します。パリを騒がせている連続殺人事件の犯人は、カミーユとラファエルだったのです。彼らは半ば自棄になって犯行を重ねていきました。
そんな彼らの部屋に、タイガが清掃のため入室します。そこで女物のアクセサリーを見つけ不信感を抱きました。荒んだ生活の末にラファエルは部屋を出て行き、カミーユは行きずりの関係に溺れます。
ある日、タイガは車を売るつもりで商談相手に運転させていました。そしてシメートフの車を見つけます。タイガは衝動的にハンドルを奪い、シメートフの車に故意に衝突しました。彼の言葉が本気でないことに気付いてしまったので、その腹いせです。やって来た警察官に、自分のミスだと説明するシメートフ。タイガは罪には問われませんでしたが、事情聴取のため警察署に連行されました。
そこで老女連続殺人事件の犯人の似顔絵を見つけます。タイガはそれがカミーユとラファエルだと気付きました。実は襲われた被害者の中に奇跡的に助かった老女がいたのです。彼女はカミーユ達の顔をしっかり覚えていました。夜、タイガは街へ出るカミーユの後をこっそりついていきます。テオも仕事のため部屋を留守にしていました。モナはその隙を狙って眠っていた息子を妹の部屋へ連れ去ります。
「パリ、18区、夜。」の結末:それぞれの終幕
パトロール中の警察官が、似顔絵によく似たカミーユを見つけます。尋問のため警察署に連行されたカミーユは、暴れるでもなく罪を認めました。タイガはその隙にカミーユの部屋に侵入。彼らが奪った金を見つけ、それを盗んですぐに荷物をまとめ始めました。
翌日。結局モナは息子を連れてアパートに帰って来ました。しかしテオの姿がありません。彼は朝早く警察署に行っていました。テオとカミーユの母親も呼ばれています。彼女はカミーユに詰め寄ると、「生んだ時にお前を殺すんだった」と言って泣きながら叱責しました。テオは疲れきった目で弟を見送り、警察署を出て行きます。その時、ちょうどラファエルも連行されてきました。タイガが盗んだ金を持ってパリを離れ、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画パリ、18区、夜。のあらすじと結末でした。
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