イージー・ライダーの紹介:1969年アメリカ映画。1960年代後半からアメリカで作られた、反体制的な若者の心情を映したアメリカン・ニューシネマというジャンルの初期の作品。ジャック・ニコルソンがアカデミー賞助演男優賞にノミネートにされたほか、その映画史における重要性が再評価され、アメリカ国立フィルム登録簿に登録された。麻薬の密売に成功し大金を稼いだ2人のバイク乗りが、白人主義者たちから差別されても自由を謳歌しながら生きようとするロード・ムービーである。劇中歌には公開当時も絶大な人気を誇っていたステッペンウルフやジミ・ヘンドリクスなどの音楽が使用されている。
監督:デニス・ホッパー 出演者:ピーター・フォンダ(ワイアット)、デニス・ホッパー(ビリー)、ジャック・ニコルソン (ジョージ・ハンセン)、ルーク・アスキュー (ヒッチハイカー)、トニー・バジル (メアリー) ほか
映画「イージー・ライダー」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「イージー・ライダー」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
イージー・ライダーの予告編 動画
映画「イージー・ライダー」解説
この解説記事には映画「イージー・ライダー」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
イージーライダーのネタバレあらすじ:起
ロサンゼルスから来たワイアット(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)はマリファナの密輸で金を稼ぐバイク乗りです。2人の目的はニューオーリンズの謝肉祭に行くことでしたが、2人はその外見などで差別を受けてホテルを取れず、しばしば野宿をしていました。
ある日、タイヤのパンクを直すためにとある家族の家を訪れます。その家族と別れて走っていると、ヒッチハイキングをする男性(ルーク・アスキュー)がいました。ワイアットとビリーは男性を拾い荒野を走っていくと、大勢の旅人を受け入れているコミューンへとやって来ます。そこでは、砂地で雨も降らない場所で懸命に種まきをする人々がいて、ヒッチハイカーはそこにいたサラという女性にかつて会ったことがあるようでした。
ワイアットは集落のリサという女性に好かれます。ワイアットは食事をさせてもらったお礼に、谷の向こうに連れて行って欲しいというリサの頼みに応え、ビリーとサラも連れて4人で出かけます。
イージーライダーのネタバレあらすじ:承
ワイアットとビリーはヒッチハイカーやサラ、リサたちと別れ、とある町に到着しますが、マーチング・バンドにバイクでついて行ったことが無許可デモだと誤解され、警察に捕まってしまいます。2人は酔っぱらって刑務所に入っていた、刑務官さえも味方につけている弁護士のジョージ・ハンセン(ジャック・ニコルソン)と同じ部屋になります。彼の父親は警察でさえも手を出せない人物のようです。
彼に取り合ってもらい、刑務所から出してもらうことに成功した2人は、ハンセンがずっと謝肉祭に行きたがっていることを知り、バイクに乗せることにします。ワイアットとビリーは、ハンセンから南部随一と名高い娼家の名刺をもらうのでした。
イージーライダーのネタバレあらすじ:転
3人はその夜に野宿をして過ごします。ワイアットとビリーはマリファナを毎日吸い続けており、ワイアットはハンセンにマリファナを勧めます。ビリーはUFOを見たと主張しますが、ハンセンはマリファナの効果により、ビリーに宇宙人の存在を長々と説いていました。
翌日、3人は途中でレストランへ入りますが、保安官や男性客たちにずっと罵られて気まずくなったので、すぐに店を出ます。その晩またも3人は野宿をすることになりますが、ハンセンは、あの男たちはビリーたちに自由を見ているから嫉妬しているのだと2人を元気づけます。しかしその後、3人はあの店にいた仲間の暴漢に襲われ、運悪くハンセンが殺されてしまうのでした。
イージーライダーの結末
ニューオーリンズへと着いた2人はハンセンの意を汲み取り、名刺にあった娼家へと向かいます。メアリー(トニー・バジル)という女性に出会ったワイアットはビリーたちも連れて、外へ出て謝肉祭へと繰りだし、ドラッグを使用します。娼家を後にし、いつも通り走っていると、アウトローかつ長髪であるビリーが気に食わない白人主義者の男たちが車で現れ、猟銃を撃って脅かそうとしてきました。
その放った銃が当たり、ビリーが倒れます。衝撃を押さえられないワイアットはバイクに乗り、急いで車を追いかけますが、結局撃たれて亡くなってしまうのでした。
以上、映画「イージー・ライダー」のあらすじと結末でした。
「イージー・ライダー」感想・レビュー
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後半は主人公たちがおかしくなったのではなく、主人公たちを拒絶し、ついには殺してしまう社会がおかしいということを表現していると思います。それこそがこの映画の本当に表現したいコンセプトだと思います。つまり当時のアメリカ社会で支配的だった白人至上主義、権威主義等によって現実に起きている問題のナンセンスさ、残酷さを表現するというコンセプトです。これと同様の問題提起を行ったアメリカン・ニューシネマと呼ばれる作品群は広く大衆に支持され、見事に現実社会の人権に対する意識が近代化する礎になったと思います。そして公開から半世紀以上が経ってまた社会の分断が叫ばれ、多様性の尊重が求められている現代にも通用する、時代を超えた普遍的価値を持つ、真の名作の一つだと思います。
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南部一の娼館は、アニマルズが大ヒットさせた「朝日のあたる家(ライジングサン)だったのですね。南部は元々フランス領だったから、フランス人の女性は植民地に来た英米人にとって憧れの女性でした。ジーン・ビンセンントでヒットしたルイジアナママとはフランス人女性のことです。当時のヒッピー文化と南部の歴史風土を絡ませた傑作映画ですね。
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自由を求めるアメリカ、それを排除しようとするアメリカ。50数年前の映画と思えない、現代のアメリカを表現しているかのような作品。
文句無しの名作。俳優陣の演技も味があり、ミステリアスというか一見意味不明な後半のストーリー展開も魅力的です。主人公のピーター・フォンダとデニス・ホッパーの演技もいいのですが、キューブリック監督の名作「シャイニング」でお馴染みのジャック・ニコルソンの演技が印象的でした。当時アメリカ社会ではアウトローの乗り物というイメージの強かったハーレーダビッドソンとドラッグという要素がこの映画の大きなコンセプトだと思います。ドラッグというコンセプトがあるから、後半の意味不明なシーンがあるのかなとおもいます。このシーンでは主人公たちがドラッグで飛んで段々と精神がおかしくなっていく様を表現しているように感じます。だとしたら凄くリアリティのあるシーンだと思いました。