ぼくの国、パパの国の紹介:1999年イギリス映画。在英パキスタン人の父、イギリス人の母、そして7人の子ども達が繰り広げる騒動を描いたコメディ・ドラマ。誇り高いパキスタン人ジョージは、子ども達を立派なイスラム教徒にしようと情熱を燃やしていた。しかしイギリスで生まれ育った子ども達は価値観がまるで違うため、大人しく従おうとしない。自分の正しさを信じるジョージは息子の結婚を勝手に決めてしまい、一家に崩壊の危機が訪れる。
監督:ダミアン・オドネル 出演者:オム・プリ(パパ(ジョージ))、リンダ・バセット(ママ(エラ))、ジョーダン・ルートリッジ(末っ子(ザジ))、イアン・アスピナル(長男(ナジル))、ラジ・ジェームズ(次男(アブドゥル))ほか
映画「ぼくの国、パパの国」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ぼくの国、パパの国」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ぼくの国、パパの国の予告編 動画
映画「ぼくの国、パパの国」解説
この解説記事には映画「ぼくの国、パパの国」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ぼくの国、パパの国のネタバレあらすじ:家族のトラブル
舞台は1971年のイギリス、マンチェスターの小さな町ソルフォード。在英パキスタン人のジョージ・カーンは、第二夫人であるイギリス人エラとの間に7人の子をもうけました。真面目な次男アブドゥル、女性にモテる三男タリク、敬虔なイスラム教徒の四男マニーア、美大生の五男サリーム、活発な長女ミーナ、そしていつもオーバーコートのフードを被っている末っ子のザジ。今日は長男ナジルの結婚式で、一家は揃って会場に移りました。しかしナジルはパキスタンの伝統的なお見合い結婚を拒否し、式の最中に逃げて行方を晦ませてしまいます。顔に泥を塗られたジョージは激怒し、ナジルを死んだものとして扱うことにしました。
6ヶ月後。ジョージは嫌がる子ども達を無理やりモスクへ連れていきます。ジョージは子ども達を立派なイスラム教徒にしたいと考えていましたが、本人達にその気はありません。ある日、ザジの割礼が済んでいないことを知ったジョージは怒って喚き散らし、無理やり手術を受けさせます。ぐったりしているザジを見たエラは、自分は良い母親だろうかと悩んでしまうのでした。
ぼくの国、パパの国のネタバレあらすじ:お見合い結婚
ジョージは白人と結婚し、その上子ども達がモスクに通わないことに負い目を感じています。友人ムッラーに相談すると、彼はパキスタン人の女性と息子達を結婚させてはどうかと提案しました。ブラッドフォードに住んでいるシャーという男性が、ちょうど娘2人の結婚相手を探しているというのです。ジョージはまたしても勝手に縁談を決めてしまいました。ジョージは縁談の話をエラにすら黙ったまま、ブラッドフォードに行ってシャーと約束を取り付けます。
夜、アブドゥルとタリクの結婚を決めてきたと言い出したジョージに、エラは非難の目を向けました。今度こそ本人達に話すべきだと言い募りますが、ジョージは聞く耳持ちません。その話を、偶然ザジが聞いていました。ザジが兄達に教えると皆驚愕し、特にタリクは怒りを爆発させます。彼はザジ達が止めるのも聞かず、ジョージが勝手に用意していた婚礼用の衣装を滅茶苦茶にしてしまいました。ジョージが帰宅すると、マニーアが必死に衣装を元に戻そうとしています。ジョージは誰の仕業だと詰問しますが、マニーアは決して口を割りませんでした。激怒したジョージはマニーアを連れ、経営しているフィッシュアンドチップスの店舗へ向かいます。働き詰めのエラの目の前でマニーアを殴るジョージ。マニーアを庇ったエラに非難されると、今度は彼女にも激しい暴力を振るいます。
ぼくの国、パパの国のネタバレあらすじ:様々なギャップ
我慢出来なくなったタリクは家を出て行くことにしました。サリームとミーナ、更にタリクの恋人ステラとその親友ペギーも一緒です。彼らはパリで帽子のデザイナーになったナジルを頼りました。ナジルはすっかりフランス文化に染まり、その上どうやら男性の恋人と同棲しているようです。タリク達から事情を聞いたナジルは、ジョージを説得するためソルフォードに戻って来ました。しかしナジルの身の安全を考えたエラは、ジョージに会わせることなく帰します。
カーン一家は笑顔もなく、皆が沈み込んでいました。ジョージは何もかも気に食わず、エラや子ども達に当たり散らします。タリクはうんざりだとジョージに言いました。イギリスで生まれ育ち、英語を喋る自分はパキスタン人ではないのだと。しかしジョージが聞き入れるはずもなく、言い募るタリクにナイフを向けて怒鳴ります。諦めたタリクは、ジョージの命令通りパキスタン人と結婚すると言いました。そしてその後、イギリス人と結婚して第二夫人にすると。その目には諦めと侮蔑が滲んでいました。
ぼくの国、パパの国のネタバレあらすじ:混乱のお見合い
日曜日。ついにシャー一家がやって来ます。初めて自分達の相手を見たアブドゥルとタリクは、お世辞にも美しいとは言えない娘達に絶句しました。嫌味なシャーの妻にエラは笑顔を引きつらせます。ザジ達は別室で娘2人の容姿を馬鹿にして笑っていました。そこへ大学からサリームが帰って来ます。彼は女性差別を芸術として表現したオブジェを製作していました。やっと完成したと誇らしげに箱を開けるサリーム。そこには女性の裸の下腹部を模した作品が収められています。
一方、居間は思いがけない流れになっていました。カーン家は狭いので、アブドゥルとタリクが婿入りすべきという話になったのです。動揺したエラは居間を出て、サリームのオブジェを見てまた驚きました。オブジェを処分させまいと逃げ出したサリームは居間に飛び込んで転んでしまい、オブジェはシャーの妻の膝に投げ出されます。彼女は悲鳴を上げ、こんな野蛮で白人の血が混ざった家とは結婚させないと騒ぎました。この発言でついにエラが怒りを爆発させ、純血なゲテモノよりマシだと言い放ってシャー達を追い出します。
ぼくの国、パパの国の結末:家族のかたち
縁談をぶち壊されたジョージは怒りに震え、エラを一家の面汚しだと非難しました。しかしエラは、ジョージこそ自分や子ども達の面汚しだと諭します。激怒したジョージはエラを殺さんばかりの勢いで殴りつけました。子ども達が慌ててエラを庇い、気付くとジョージの味方は1人もいません。ジョージは殴りたくて殴ったのではなく、助けたい一心なのだと呟きます。しかし子ども達は拒絶を示し、エラは泣き出してしまいました。打ちのめされたジョージは1人家を出て店に向かいます。
子ども達はジョージに不満を抱いていましたが、エラはあくまでジョージを侮辱するのは許さないと告げました。先ほどのもみ合いでフードが壊れたザジは、騒ぎを離れ1人隠れて泣いています。しかし迎えに来たアブドゥルに、もうフードは必要無いと伝えました。ジョージは店内で1人、打ちひしがれた様子で座っています。そこにエラがやって来ました。2人が何気ない会話を交わし、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ぼくの国、パパの国」のあらすじと結末でした。
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