マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年の紹介:2017年イギリス映画。繊細で独創的な靴を作り続けるマノロ・ブラニク。彼が持つ靴へのこだわりとは何なのか、何が人を魅了するのか、その現場に迫る。
監督:マイケル・ロバーツ 出演:マノロ・ブラニク、アナ・ウィンター、リアーナ、パロマ・ピカソ、シャーロット・オリンピア、ジョン・ガリアーノ、ソフィア・コッポラ、イマン、アンジェリカ・ヒューストン、ルパート・エヴェレット、ほか
映画「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年の予告編 動画
映画「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」解説
この解説記事には映画「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年のネタバレあらすじ:起・マノロを育んだもの
最高の靴職人と名高いマノロ・ブラニクが、初めて作った靴は、子供の頃チョコレートの包み紙で作ったトカゲの靴だった。
少年時代をカナリア諸島のサンタクルス過ごしたマノロ・ブラニクは、靴を自分の持ち物でカスタマイズして使う独創的な母親と、何語でも話し毎朝身繕いのチェックを欠かさない偉大な父親の下で育った。父親は環境への適応と躾のためマノロ・ブラニクを14歳でジュネーヴの学校へ入れた。
子供のころから洋服に興味があり、小遣いは雑誌に費やした。そして大人になったマノロ・ブラニクは、デザイナーになるためにパリへ行った。
マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年のネタバレあらすじ:承・靴職人になるまで
骨董屋で働き始めたマノロ・ブラニクは、71年に流行の発信地ロンドンへ渡った。そこでフェザーズのオーナーと出会い、広報として働いた。この店で彼は商売について学び、永住ビザも手にした。そして、そこで靴のデザインを見せた。その後、ダイアナ・ヴリーランドの引き会わされた彼が靴のデザインを見せると、彼女から靴に集中しなさいと助言され、「マノロ・ブラニク」ブランドが誕生した。
同年初の靴のコレクションを発表し、有名人たちと出会った、そこでマノロ・ブラニクはショーの手伝いを頼まれたが、まだ素人だった彼はゴム底の靴に鉄板を入れ忘れ、モデルが歩きづらいという失敗をしてしまった。そしてビアンカ・ジャガーのために靴を作った彼は、ロンドンのファッションシーンの表舞台に出た。
マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年のネタバレあらすじ:転・マノロ・ブラニクの靴
72年に店を開店したマノロ・ブラニクは、いつも店にいた。独自の世界観と表現のある彼の靴は、どの時代でもマッチした。彼自身も上品で完璧でヴォーグ誌の表紙にもなったが、モデルをすることは嫌がった。
80年代に入り、ダイアナ妃がマノロ・ブラニクの靴を履いたことによって、彼の名は知れ渡ることになった。83年に開いた店は繁盛し、ハイヒールでも履き心地の良い彼の靴はファッションショーの靴としても使われ、新聞や雑誌などで取り上げられた。しかしマノロ・ブラニク本人には名声や人に知られたいという考えはなく、ビジネスとして仕方はないけれど、対処の仕方がわからなかった。
その後も『セックス・アンド・ザシティ』や『マリー・アントワネット』等映画に使われる、ますます人に知られるようになった。しかし彼は故郷と呼ぶバースの自宅にこもりがちになり、脳卒中で右手がマヒしていた頃も協力者を得て、デザインを描く事に疲れていた時も仕事と生きた。そしてバルセロナで受賞をすると、ピカソと並ぶ20世紀の偉人の一人に名を連ねた。
マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年の結末:生き方と靴
マノロ・ブラニクが最初に触れた生き物は花。今でも植物の世話のために庭にいる。自然を愛する彼の精神は靴にも影響している。
自由を求める彼は結婚を考えたことはない。孤独ともとれるが、彼はその孤独を楽しんでいた。マノロ・ブラニクと同世代の人々は競争社会の中で仕事をしていた。しかしそれではエネルギーをそがれてしまうので、彼は人と距離を置き、工房で過ごす時間を好んだ。靴の素材の質と、職人の技術にこだわり、今でもデザインをしている。彼は自分を芸術家ではなく、あくまで靴を作る職人と称する。
マノロ・ブラニクは自分の誕生日は祝わない。気持ちは若いままで、めったに老いについては考えない。遺産や名声、有名かどうかに興味はなく、ただ日々の瞬間を楽しんでいる。大事に思っているのは継承する事と、この靴を作るという専門職への貢献。靴が注目されるのは嬉しいし、靴で女性を美しくしたと覚えていて欲しいと望んでいる。そして、一般の人が彼の靴を履きこなしているととても嬉しいのだと語った。
マノロ・ブラニクは、靴のラインも好きだけれど、色や装飾を考える事が一番楽しいとデザイン画を描きながら話す。デザイナーが自分で作ることは少ないが、昔は全部自分で作っていた。今は一部を手掛けるだけ。高級さより美しさを求め、高価であることを嫌った。流行は追わず、マノロは靴の履き心地の良さを今でも求めている。
以上、映画「マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年」のあらすじと結末でした。
マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年のレビュー・考察:職人気質ゆえに
ドキュメンタリーのインタビューは、デザイン画を描いている最中に行われている。描きながら話す事で、彼が常に『靴を作る』という自分の仕事の側にいて、向き合い続けているというのがわかる。工房でのインタビューも、ヒールを削りながら行われている。子供の頃を語る時、ファッションの仕事について語る時、どんな時でも、彼の傍らには靴がある。そして、靴や靴を履く足、靴を履いた女性について語るマノロ・ブラニクの生き生きとした語り口に職人気質の愛情を強く感じる。
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